スポーツ強豪校として知られる私立埼玉栄高(さいたま市)で11月、男子生徒4人が深夜の校庭でグラウンド整備用の軽乗用車を走らせ、横転して1人が死亡する事故が起きた。鍵は車内で保管されており、学校側はずさんな管理だったとして謝罪。事故から間もなく1カ月となるが、保護者らからは同校の管理体制を疑問視する声も上がっている。
事故は11月16日午後11時20分ごろ発生。生徒4人が校内の寮を抜け出し、整備用車両で校庭を走行中に横転。死亡した2年生の男子生徒(17)は助手席の窓から身を乗り出しており、頭を強く打って搬送先の病院で亡くなった。4人は運転免許を持っていなかった。
同校によると、車両はサッカー部の整備用で普段は監督やコーチが運転。複数人で使うため、車内の小物入れなどに鍵を入れ、ドアは施錠していなかった。学校側はこうした管理実態を把握していなかったという。
県警によると、事故前に校庭を複数回周回していたことがタイヤ痕から判明。押収した生徒のタブレット端末からは、以前もこの車両を運転している動画が発見された。事故を起こした生徒4人は、サッカー部以外の所属だった。
事故を受け、埼玉県教育委員会は中学などを含む県立学校全176校に、車両の管理状況を緊急点検するよう通知。71校で計113台が使われていたが、鍵を車内に置いていた学校はなかった。
同校は同月20日に保護者説明会を開き、事故の経緯や生徒の心のケアについて説明した。3年生の息子が通う50代の父親は「当たり前の管理をしていれば防げた事故だと思う」と首をかしげた。
埼玉栄中・高を運営する学校法人「佐藤栄学園」の田中淳子理事長は「責任は校長と管理職、理事長にあることは明確」として謝罪。管理体制の見直しと生徒らの心のケアに努めるとしている。