「実効性ある再発防止策示せ」 米兵少女暴行実刑で沖縄の住民ら

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2024年12月13日 21:09  毎日新聞

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米兵による少女への性的暴行事件に抗議し、記者会見する「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表(左から2人目)ら=沖縄県庁で2024年6月27日午前10時4分、喜屋武真之介撮影

 沖縄本島で16歳未満の少女を車で誘拐し、自宅で性的暴行を加えたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交等の罪に問われた米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属の米空軍兵長、ブレノン・ワシントン被告(25)に対し、那覇地裁は13日、懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した。約1時間にわたった判決理由読み上げの間、被告は落ち着かない様子で弁護士に視線を送ったり、顔を触ったりした。


 米軍関係者による事件や事故が絶えない沖縄。6月以降、米兵による性的暴行事件が相次いで明らかになり、県民から憤りの声が上がった。今回を含む2件の事件では、報道されるまで政府や捜査当局が事件について県側に伝えていなかったことも問題となった。


 7月の初公判でワシントン被告は「私は無実です。誘拐も性的暴行もしていません」と起訴内容を全面的に否認。その後の公判では、被害を受けた少女が証人として出廷し、当時の状況を詳細に尋ねられた。少女の代理人弁護士によると、「本人の様子や幼さが裁判官に伝わるようにしたい」という検察側の意向を受け、少女も「意味があるなら頑張りたい」と応じた。


 この日の判決で佐藤哲郎裁判長は少女の証言を「信用できる」と判断。少女の行動に「落ち度はない」と述べた。


 沖縄での米軍関係者による性犯罪を記録し続ける「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表は判決公判を傍聴した。「性犯罪では『被害者にも落ち度がある』と責める風潮がいまだにあり、被害を言い出せないケースが多い。今回は勇気を持って訴えた少女の証言の信用性が認められ、良かった」と語った。


 事件が県に伝わっていなかったことに対する批判を受け、県警は7月から情報共有の運用を見直し、米軍関係者を性犯罪で逮捕や書類送検した段階で、捜査に支障がない範囲で県に伝えることにした。また、在日米軍司令部は7月、在日米軍幹部や沖縄県、地域住民が意見交換する「フォーラム」を日本政府と連携して創設すると表明した。だが、フォーラムは表明から約5カ月たっても開催されていない。高里さんは「日米両政府は真剣に再発防止に取り組んでいるという姿勢を示していない」と批判する。


 判決を受け、沖縄県の玉城デニー知事はコメントを発表し、「二度とこのような事件が起こらないよう、これまで米軍や日米両政府に強く抗議し、再発防止策を求めてきた。今後も、真に実効性のある再発防止策を議論していきたい」とした。嘉手納基地を運用する米空軍第18航空団司令官のニコラス・エバンス准将は「被害者とその家族に与えた傷に心を深く痛めている。(ワシントン被告が)裁判所から命じられた刑を確実に全うするよう、地元自治体と協力を続けていく」とコメントを出した。【喜屋武真之介、比嘉洋】



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