ドコモの「motorola razr 50d」はココが違う 閉じたまま即「d払い」、5G「n79」にも対応 若年層向けの仕掛けも

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2024年12月13日 21:21  ITmedia Mobile

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ドコモが取り扱う「motorola razr 50d M-51E」(画像=上段左)。その他は既に販売されている「motorola razr 50」「motorola razr 50s」

 NTTドコモは折りたたみスマートフォン「motorola razr 50d M-51E(以下、razr 50d)」を12月19日に発売する。カラーはホワイトマーブルのみだ。開けば大きな画面を使え、閉じればコンパクトになる。大型のアウトディスプレイを搭載したrazr 50dでは閉じたままでもWebや地図を閲覧したり、決済を行ったりできる。


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 ドコモオンラインショップにおける販売価格は11万4950円(税込み)で、「いつでもカエドキプログラム」を適用して23カ月目に端末を返却すると実質5万9510円で利用できる。ドコモによる発売に先立ち、モトローラ・モビリティ・ジャパンが13日に説明会を開催。次の4人が登壇し、製品概要や戦略を説明した。


・米Motorola アジア太平洋地区エグゼクティブディレクターのプラシャンス マニ(Prashanth Mani)氏


・モトローラ・モビリティ・ジャパン マーケティング部長の清水幹氏


・モトローラ・モビリティ・ジャパン テクニカルサポートグループ開発事業部長の伊藤正史氏


・NTTドコモ プロダクトマーケティング本部プロダクトクリエーション部長の佐々木啓三郎氏


●razr 50dは閉じたまま即「d払い」決済、ドコモバンドの「n79」にも対応


 razr 50dはMotorolaが6月25日(現地時間)に米ニューヨークで発表した、「motorola razr 50(以下、razr 50)」のドコモ向けモデルとなる。オープンマーケット向けモデルと、ソフトバンク向けモデルの「motorola razr 50s(以下、razr 50s)」が発売済みだが、ドコモの取り扱いは販路拡大を意味する。razr 50は折りたたみスマートフォンとしては縦方向に折りたためる端末。いわゆるフリップタイプとも称される。


 閉じた状態でもできることが増えたのが先代との違いで、アウトディスプレイのサイズが「motorola razr 40(以下、razr 40)」の約1.5型から約3.6型に拡大した。razr 40は外側に通知や情報を表示するためのパネルとアウトカメラしかなかったが、razr 50ではより大きなディスプレイでアプリも操作可能になった。さらに、常時表示により閉じた状態でも時刻などの情報をすぐに確認できる。


 razr 50sではアウトディスプレイに「PayPay」のQRコード/バーコードを表示でき、閉じたままでも決済を行える。razr 50dも「d払い」でこれと同じことができる。セキュリティロックをかけている場合、画面のロックを解除せずに決済アプリを起動できるわけではないが、ロック解除後に電源キーを素早く2回押せば、すぐにd払いのバーコードを起動できる。おサイフケータイにも対応している。


 開いた状態で操作する際に利用するインナーディスプレイは6.9型のフルHD+でPOLEDを搭載。アスペクト比は22:9とやや縦長で、リフレッシュレートは最大120Hzとなっている。屋外での視認性を重視し、ピーク輝度は3000ニトと高い。


 アウトカメラは5000万画素のメインカメラと1300万画素の超広角/マクロで構成される。インカメラは3200万画素となっており、開いた状態で自分を撮影する際に利用できる。これらのカメラで撮影した写真を利用し、壁紙を生成する「Style Sync」と、文字から壁紙を作成できる「Magic Canvas」という機能も備え、単に折りたためるだけでなく、生成AIを活用した体験も可能だ。


 razr 50dの通信規格に関してはドコモの「n79」というバンドに対応したのが注目点だ。n79(4.6GHz帯)は日本の携帯キャリアの中で、ドコモだけに割り当てられているバンド。衛星との干渉が少なく、ドコモが2020年夏から出力を上げたマクロ局の展開で有利に働く。一方、日本や中国など、一部の国で扱われるバンドでもあることから、「Google Pixel」を含め海外メーカーが新規採用しづらい面があった。


●motorola razr 50d、約18年の時をへてドコモから発売 主要ターゲットはZ世代


 Motorolaのマニ氏は、モトローラが今後2年以内に、中国以外で第3位のブランドになることを目標に掲げていることを話す。


 グローバルでの販売台数と売り上げはともに2桁成長を遂げ、「グローバルでの収益が前年比で43%アップ」(マニ氏)した。北米におけるプリペイドと折りたたみスマートフォンの市場シェアはトップで、南米でも第2位のポジションに位置する。EMEA(欧州、中東、アフリカ)での収益は対前年度比で約35%アップし、アジア太平洋地域での収益は対前年度比で284%アップし、「モバイルインダストリーでもまれに見る高成長企業」(マニ氏)と胸を張る。


 インドでは第2四半期の売り上げアップが244%となり、成長速度としてはインドで第2位となった。日本ではモトローラとFCNTを合わせると、増収率が前年度比で9倍アップし、モトローラは「日本で最も成長しているスマートフォンブランド」として認識している。オーストラリアでの前年度比増収率が78%アップした。


 海外、国内ともに成長するモトローラだが、ドコモとモトローラの歴史を振り返ると、35年前の1989年に「ダイナタック」を発売した。世界初の携帯電話で、ボディーの下半分の物理キーパッドで操作するスタイルだ。2005年7月1日にはSymbian OS 7.0搭載の「FOMA M1000」を発売。ドコモ初のスマートフォンで、当時は法人用途の「ビジネスFOMA」端末として訴求。複数のメールアドレスを利用でき、PDFなどの閲覧機能も備えた。2006年12月にはMotorolaの「RAZR V3xx」をベースとした、厚さ14.9mmの携帯電話「M702iS」を発売した。


 ドコモでプロダクトマーケティングを担当する佐々木氏によると、それから約18年の時をへてドコモが発売するのがrazr 50dだ。マニ氏は「モトローラとドコモが共通する目標を掲げている」ことを挙げ、ドコモが「2040年ネットゼロ」と題した環境への取り組みと、親和性の高いスマートフォンとしてrazr 50dを紹介した。


 なお、ドコモは自社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにする「2030年カーボンニュートラル宣言」を推進しているが、2023年11月6日に温室効果ガス排出削減目標の対象をサプライチェーン全体に拡大し、2040年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする2040年ネットゼロを発表した。


 モトローラ・モビリティ・ジャパン テクニカルサポートグループ開発事業部長の伊藤氏はrazr 50dを「サステナブルな素材を使用したボディーと美しさを兼ね備えたデザイン」と紹介した。具体的には綿や木材パルプから得られる天然繊維素材を使用し、個装箱は竹とサトウキビを原料とした土に返る素材を使用している。ちなみに、「個装箱を種とともにプランターに入れると、植物栽培に再利用できる」(伊藤氏)そうだ。これらの取り組みにより、「razr 50dのCO2排出量はベースモデルのrazr 50と比較して約4%削減した」(伊藤氏)という。


●さらなる認知向上へ カフェでrazr 50dの実機体験、Gemini考案の料理も


 マニ氏は説明会の中で、ドコモとともに「日本のZ世代の若い方々のニーズを満たしていけるようにと頑張っていく所存だ」と意気込んだ。2006年発売のM702iSから、2024年発売のrazr 50dまで約18年もの間、ソフトバンクやIIJmioなどからMotorola端末の発売があったとはいえ、ドコモからはMotorola端末が出なかった。それゆえに若者の認知不足に一定の影響を及ぼしている思われる。


 こうした背景から同社は9月17日に開催した記者発表会で、男性アイドルグループSnow Manのメンバーである目黒蓮さんをブランドアンバサダーに起用し、テレビCMを打つなどしている。同社マーケティング部長の清水氏は「とにもかくにもブランドの認知を獲得しようという」考えから、「テレビCM、野外広告デジタル、SNSと、Z世代を含む若年層の方々に向け、包括的なアプローチを展開してきた」と経緯を振り返る。


 包括的なアプローチの1つにアバターを利用したキャンペーンがある。同社では「ご自身(人)の写真からAIがアバターを生成するWebサイトを立ち上げた結果、12万を超えるアバターが作成され、SNSで拡散される」(清水氏)までに至った。新CMには1万人以上もの一般公募で当選した11人のアバターが出演している。また、これまでは東阪中心だった野外広告を福岡や北海道にも展開している。


 さらなる認知向上へ向けた新たな施策として、同社は12月13〜15日の3日間限定で東京・表参道のRAND AOYAMAで、「motorola cafe」を開催する。予約制のこのカフェではrazr 50dを各テーブルに設置し、実機を触りながらGoogleのAIアシスタント「Gemini」考案のメニューに基づく、サンドイッチやドリンクを楽しめるようにした。razr 50dで若者をさらに魅了できるのだろうか? 今後の注目度に期待したい。



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