たけのこの里、量は2割減で300円目前に、根深い背景「菓子の価格じゃない」

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2024年12月15日 15:00  Business Journal

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「たけのこの里」公式サイトより

 明治の人気菓子「たけのこの里」が、「もはやお菓子の値段じゃない」「子どもが買えない」と話題になっている。現在、たけのこの里の参考小売価格は265円(税抜)で、かつて89グラムだった内容量も70グラムにまで減っていることから、高級品の様相すら漂い始めている。1年半前までの価格は200円で、急激に高騰したわけだが、その背景にはチョコレートをめぐる特別な事情があった。


 インターネット上に「たけのこの里がもはやお菓子の価格じゃない」と驚く書き込みがあり、これに対し同様に驚く声や、「どのお菓子も今はそのくらい」とほかの菓子も変わらないと諭すような声もある。この驚きの投稿にはたけのこの里が「税抜き263円、税込み284円」との表示で販売されている写真が添付されている。スーパーマーケットやディスカウントストアなどでは、これよりも安い価格で販売されているケースもあるが、現在の参考小売価格は265円(税抜、以下同)となっている。


 実は今年10月から価格が改定されており、それまでの230円から大きく値上がりした。発売された1979年からしばらくは150円程度だったが、2000年前後からコロナ明けの2023年までは長らく200円をキープしてきた。それが2023年6月に215円、2024年6月に230円、同10月に265円と、短期間に大幅な値上げとなった。


異常気象でカカオの生産量が減少

 なぜこれほどまでに急速に値上がりしているのだろうか。消費経済ジャーナリストの渡辺広明氏によると、背景にはチョコレートの急激な値上がりがあるという。


「今年の春ぐらいから言われているんですが、“カカオショック”と呼ばれるほどカカオの値段が非常に大きく上がっています。異常気象でカカオが採れなくなっていることが一番の要因です。今後も下がる見込みがなく、もっと上がる可能性すらあります。子どもが買えない価格になっているとの声もありますが、メーカーとしても利益を出さないわけにはいかないので、苦渋の決断ではあると思います。さらに、これだけカカオの価格が高騰しても、カカオ生産者は儲かっていません。そのため、カカオ以外の農産物に移行する農家が出てくる可能性も指摘されています。


 カカオの値上がりは世界的な問題ではありますが、日本ではほかにも値上がりの理由があります。人件費、物流費など、これからも上がっていく可能性のあるコストが背後にあり、チョコレートについても値段はさらに上がっていくのではないでしょうか。


 つまり、今回たけのこの里の価格がクローズアップされていますが、チョコレート全般の問題なのです。


 一部ではチョコレートの代替となる原料の開発も進んでいますが、現在と同じ原料、同じ製法を続ける限り、現在販売されているチョコレート菓子の値段は上がり続けるとみています。たとえば来年、アメリカ大統領にドナルド・トランプ氏が就任してから原油を大量に生産する、といった大胆な政策によってエネルギーコストが劇的に下がるようなことがない限り、値下がりに向かうプラス材料はほとんど見当たりません。


 もしくは、国民の給料が全体的に上がり、商品が値上がりした分を受け入れられるようになれば、数百円のお菓子にも慣れてくるでしょう。それでも、子どもが小遣いで買うような商品ではなくなっていくと思います。


 安い物には必ず理由があります。これまではアフリカの農家が低賃金で働いてカカオを安く供給してきたわけですが、それが今後は、世界的に問題視されるようになってきて、価格が上がると考えられます。そうすると、チョコレートの“適正価格”はいくらなのか、大きく現在の価値と変わってくる可能性があります」


 ちなみに、たけのこの里のライバルである「きのこの山」も同じ価格推移をたどっている。


 日本貿易振興機構(JETRO)によると、2023/2024収穫年度は、世界のカカオ豆生産の約6割を占めるコートジボワールとガーナでの天候不順と病害による生産の減少で、供給不足が懸念されており、国際市況が急騰しているという。


 生産量の減少に加え、需要が増えていることから、世界在庫量は前年度比2割以上減少するとみられている。需給バランスが需要過多に傾いていることから、多くのメーカーがチョコレート菓子の値上げを発表しており、今後も値上げの動きが広がるとみられている。さまざまなチョコレート菓子が、“子どもが食べるもの”から“大人の嗜好品”へと変わっていくのかもしれない。


(文=Business Journal編集部、協力=渡辺広明/消費経済ジャーナリスト)



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