【ワシントン時事】アイルランド中央銀行のホノハン元総裁(元欧州中央銀行=ECB=理事会メンバー)は15日までに時事通信のインタビューに応じ、トランプ次期米政権は政策運営が予見不可能で、経済を不安定化させる恐れがあると警戒感をあらわにした。また、株価や暗号資産(仮想通貨)価格の急上昇が、次の金融リスクをもたらす可能性を警告した。
ホノハン氏は「次期米政権で顕著なのは、極めて予見不可能なことだ」と分析。関税引き上げや減税、規制緩和、移民規制強化を掲げているが、政策実現に向けた「道筋が定かでなく、(経済などを)不安定化させる可能性がある」と懸念した。
その上で、先行き不透明感は「米企業の事業計画や意思決定にとって非常に良くない。これは米国に関わる他国にも言えることだ」と指摘。予見不可能なことはチャンスにもつながるが、経済全体で幅広く享受されるのではなく「よりプライベート(非公式)」な性格にとどまるとして、トランプ氏に近い実業家らに有利に働く可能性を示唆した。
一方、トランプ氏の政策は、金融危機リスクというよりも「(経済の)構造的な弱さや鈍化につながる」と予想。「次のリスク」として、極めて高い水準にある株価やノンバンクの融資拡大、暗号資産の価格高騰を挙げた。特に暗号資産は、「複雑な形で金融システムに波及すれば」、リスクが大きくなるとの見方を示した。
ホノハン氏は2009〜15年の総裁在任時、アイルランドを含めた欧州債務危機に対処した。