AIボイスレコーダーメーカーのNicebuildは、新型AIボイスレコーダー「PLAUD NotePin」を間もなく発売する。同社名になじみがない人でも、スマートフォンの背面に貼り付けて使用する「PLAUD NOTE」を知っている人は多いかもしれない。PLAUD NotePinはその新モデルというわけだ。
ただし、新モデルとはいっても、そのスタイルは大きく異なる。これから購入を検討している人の中には、機能的な違いが気になる人もいるだろう。そこで本記事は、PLAUD NOTEとPLAUD NotePinを比較しつつ、新モデルPLAUD NotePinの特徴も紹介する。
なお、価格はPLAUD NOTEが2万7500円、PLAUD NotePinが2万8600円だ。
●通話録音に対応する「PLAUD NOTE」
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従来モデルのPLAUD NOTEは、約54.1(幅)×85.6(奥行き)×2.99(厚さ)mmと薄型カードサイズのAIボイスレコーダーだ。薄いながらも容量400mAhのバッテリーを内蔵しており、最大で30時間の連続録音を行える。ストレージ容量は64GBで、最大480時間分の録音データを保存しておける。
付属のMagSafe対応ケースを使用すれば、iPhoneの背面に貼り付けることもできる。MagSafe型のスチールリングも付属しており、Android端末の背面にも装着可能だ。
使い方はシンプルで、本体上部にあるボタンを1秒長押しすると録音が開始される。LEDが点灯するので録音中だということが分かる。もう一度1秒長押しすると録音が終了する。
スライドスイッチはモードの切り替えで、上側にスライドすると「通話録音」モードになる。PLAUD NOTE内部の振動伝導センサーが、スマートフォンのスピーカーから直接音を拾うことで、通話相手の音声も録音できる。
なお、このモードはスマートフォンの背面に貼り付ける必要がある。
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本体スピーカーの音を拾っているので、Bluetoothイヤフォンなどで通話をしている場合には、当然ながら相手の声を録音することができないので注意が必要だ。
録音したデータは、スマートフォンのアプリを開くと自動的に同期される。録音データはスマートフォンに転送後、自動で本体からは削除される仕様だ。
●アクセサリーのような「PLAUD NotePin」
一方、新モデルのPLAUD NotePinは、従来モデルからデザインが大きく変わり「ウェアラブルAIメモリーカプセル」としてカプセル状のスタイルを採用している。
PLAUD NotePinは、マグネットピン/リストバンド/クリップ/ネックストラップの4つのスタイルで、アクセサリー感覚で身に着けることができる。バッテリー容量は270mAhとNOTEから大分少なくなっており、連続録音も最大20時間までとなる。
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ボタン類はないが、表面を軽く押し込むと録音が開始、もう一度押し込むと終了する。
●利用シーンによる使い分け
PLAUD NOTEもボイスレコーダーには見えないのだが、会議の席などで机上に出しておいても違和感はないだろう。「録音します」と声を掛けて操作すれば、すんなりと受け入れられそうだ。
通話録音に関しては、ケースバイケースといったところだろうか。iOS 18.1以降では、iPhone自体に通話録音機能が追加されている。Pixelでは利用できないが、Galaxyなどの一部Android端末でも通話録音は利用できる。こうしたOSやデバイスの機能なら、Bluetoothヘッドセットを利用した通話も録音できるので、汎用(はんよう)性は高い。
対してPLAUDE NotePinは、アクセサリーにしか見えないので、そもそも会議などの場に身に着けていくのが難しいかもしれない。ただ、それ以外の場では常に身に着けていられるデザインなので、思いついたアイデアを音声で記録しておくなどの使い方に向いていそうだ。最大20時間の録音が可能なため、その気があれば起きてから寝るまで、常に録音しておくこともできる。
●録音後の機能は同じ AI関連はクラウド処理
見た目が大きく異なるPLAUD NOTEとPLAUD NotePinだが、録音後の機能に差異はない。というのも、PLAUDのサービスにおいて、NOTEもNotePinも単なる外付けマイクに過ぎないからだ。
PLAUDの売りであるAI関連は、基本的にはスマートフォンを経由してクラウドで処理される。PLAUD NOTEやNotePin以外で録音した音声データでも、アプリに取り込んで利用することが可能だ。ただし、アプリはPLAUD NOTEかNotePinがないと利用を開始できない。
スマートフォンに取り込んだ録音データは、まず、クラウド上で文字起こしを行う。文字起こしには、OpenAIのWhisperが利用されており、話者認識にも対応する。文字起こしの体感的な精度は7〜8割と言ったところだ。一部専門用語などは正しく認識できない部分もあるが、全体的な内容は問題なく理解できる。
そして、PLAUDの特徴的な機能は、文字起こしの後にある。文字起こした文章を元に要約したり、マインドマップを作成したりといったことを行ってくれる。この要約については、設定したテンプレートに応じてキーポイントを箇条書きでまとめたり、議事録を作成したりといったことが可能だ。
文字起こしの内容を細かく確認しなくても、要約を見るだけで重要なポイントを確認できるのでとても便利で助かる。
このテンプレートはデフォルトではあまり数が多くないのだが、有料のProプランに加入すると利用できるテンプレートの数が増える他、自分でカスタムテンプレートを作成できるようになる。
なお、PLAUD NOTEあるいはNotePinの購入者は、300分/月までの文字起こしが利用できるが、Proプランに加入すると、これが1200分/月に増加する。Proプランに加入しなくても、文字起こしの時間だけなら120分400円から追加もできる。Proプランは年間契約なら2万8000円(1200分/月)なので、大量に文字起こしをするならProプランへの加入がお得だろう。
また、Proプランに加入すると「Ask AI」という機能が利用可能になる。文字起こしや要約の内容をもとに、AIに質問できるというものだ。例を挙げると、「会議中にこんなことを言っていた気がするが、どんな文脈だっただろうか」といったことをそのまま質問できる。
●利用し始めると手放せなくなるデバイス
筆者は10月末からPLAUD NotePinを使用しており、既に取材には欠かせないツールとなっている。これまでも、Pixelのレコーダーアプリなどを利用して発表会や製品説明会などの音声を録音はしており、記事を書く際に音声を聞き返したり、文字に起こされたものを確認したりはしていた。
しかし、発表会の会場などでは机がないことが多く、スマートフォンの置き場所に困ることもある。そんな場所でもPLAUD NotePinは首から下げて使えるのでとても助かっている。また、PLAUDの文字起こしは、話者が識別されるだけでなく適宜改行されるため、Pixelのレコーダーよりも数段読みやすい。
また、全文を読み返さなくても、要点をまとめてくれるので、必要なポイントをすぐに確認できる。
議事録などを作ることがないので自分には必要ないと考える人もいるかもしれないが、例えば病院で医者の説明や服薬指導を録音して帰宅後にゆっくり確認したり、店頭で家電の説明を聞いて機種選定の参考にしたりと用途は広い。そういった場合には、無料のプランでも十分だろう。
実際に使用してみて初めてその価値が分かるデバイスだが、議事録作成に忙殺されていたり、日々の記録方法に悩んでいたりする人にはぜひ試して欲しい。
なお、12月16日までは「年末感謝セール」として、PLAUD NOTEが15%オフの2万3375円、Proプランが57%オフの1万2000円で購入可能だ。また、クラウドファンディングのMakuakeでは、映画「BACK TO THE FUTURE」の劇場公開40周年を記念したコラボレーションとして、PLAUD NOTEの「BTTF40周年限定コラボデザイン」が応援を受け付けている。
興味がある人はチェックするといいだろう。
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手書きvs.タイピング 脳活動比較(写真:ITmedia NEWS)106
手書きvs.タイピング 脳活動比較(写真:ITmedia NEWS)106