経済産業省は16日、2040年度時点の電源種類別の発電コストで、原発が火力発電よりも割安になるとの試算結果を公表した。21年に行った検証では30年度時点で液化天然ガス(LNG)火力が最も安い電源としていたが、燃焼時に排出される二酸化炭素(CO2)に対応する費用がかさむと見込む。
同日開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の作業部会で提示した。17日には、国の中長期的なエネルギー政策の方向性をまとめた「エネルギー基本計画」の改定案を発表する予定。原発のコスト優位性を示す試算結果は、改定案で掲げる40年度の電源構成の検討に向けた有力な材料となる。
試算によると、1キロワット時当たりで原発は16円40銭〜18円90銭が下限。安全対策工事費や建設費の増加で30年度時点の14円50銭から引き上げたが、事故リスクは低下させた。
最も発電量が多いLNG火力は20円20銭〜22円20銭で、CO2排出枠の購入費用や燃料費の増加で30年度時点の2倍程度に膨らむ。石炭火力は水素・アンモニア燃料やCO2を回収して地中に貯留する「CCS」と組み合わせて試算し、LNG火力よりも割高になると見込んだ。