三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から十数億円相当の金品を盗んだ問題。半沢頭取が問題発覚後、初めて会見を開き、謝罪しました。前代未聞の“銀行員による窃盗”はなぜ、4年半にもわたり見逃されてきたのでしょうか。
三菱UFJ貸金庫窃盗 半沢頭取が謝罪一礼し、会見場へと入った三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取
「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を、揺るがすものであると厳粛に受け止めており、お客様や関係者の皆様に心よりお詫びを申し上げます」
銀行ビジネスの根幹を揺るがす事態だとして、頭取自ら謝罪しました。
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貸金庫について、ホームページで「かけがえのない財産を、安全にお預かりします」と安全性を謳っていた三菱UFJ銀行。
その貸金庫から客の現金や貴金属などを盗み出していたのは、当時、三菱UFJ銀行の支店に勤務していた40代の女性行員でした。
窃盗が始まったのは、女性行員が東京の江古田支店に在籍していた2020年4月のこと。その後、2024年10月に玉川支店に異動し、31日に事態が発覚するまで約4年半にわたり続いていたとみられています。
女性行員は11月、懲戒解雇になりました。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取
「被害を受けられた可能性が高いお客様は、約60名であり、被害の総額は時価十数億円程度となる見込みです」
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また、会見では他にも数十名から「被害に遭った可能性がある」と申告があることも明かされました。
なぜ4年半も? 元行員は投資などに利用か前代未聞の銀行員による窃盗はどのようにして起きたのでしょうか?
貸金庫を開けるためには2種類の鍵が必要で、銀行と顧客がそれぞれ保管しています。しかし、三菱UFJ銀行では、顧客が鍵をなくした場合などに備え、支店で顧客のスペアキーを保管。
スペアキーは封筒に入れ、割印をして保管されていましたが、女性行員はこのスペアキーを管理する立場で、鍵を持ち出し、盗みを働いていたとみられます。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取
「貸金庫領域においては、これまで不祥事が発生していなかったこともあり、リスク認識が低かった」
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今後は、各支店で保管されていたスペアキーを、本部で一括して保管するなど、再発防止策を実施していくとしています。
ただ、自身の経営責任を問われると…
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取
「役員の処分については、このあとの調査・分析を進め、真因・責任を明確にする中で、具体的に検討していきたい」
「再発防止策の実行に取り組むことが最大の責任」と述べるに留まりました。
元行員は、銀行の調査に対し、「盗んだ資金は投資などに利用した」と話しているということです。