限定公開( 1 )
2024年は、2023年にも増してデジタル製品の値上がりが目立った年だった。iPadのように製品の進化と連動しての値上げならまだしも、KindleやEchoといったAmazon製デバイスのように、実質マイナーチェンジながら1万円後半だった価格が2万円台後半に、2万円後半だった価格が4万円台後半に跳ね上がるなど、これまでの相場感が覆るような値上げもちらほら見られた。
そうなると、ユーザーとしても予算を理由に購入を見合わせたり、購入する点数を絞ったりといった措置を取らざるを得なくなる。製品自体はなかなか粒ぞろいの、紹介に値する製品が多かっただけに、ユーザーの手に取ってもらえる機会が少なくなるのは、非常にもったいない。円安などやむを得ない事情があるとはいえ、そんなことを考えさせられた1年だった。
【過去のベスト5一覧】
・2023年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
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・2022年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
・2021年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
・2020年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
・2019年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
・2018年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
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・2017年にグッと来た「デジタル仕事道具」ベスト5
【連載一覧】
・山口真弘のスマートスピーカー暮らし
・モバイルディスプレイの道
・執筆記事一覧
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本稿ではそうした紹介に値する製品の中から、ジャンルがかぶらないように厳選した、2024年に筆者のツボにハマった5つのアイテムを紹介する。「面白そう」と感じた製品があれば、ぜひ機会を作って手に取ってみてほしい。
●多ボタンマウス部門:I-CHAIN「MK21C2」
多ボタンマウスが備える10個以上のボタンに、マクロを含むさまざまな機能を割り当てて作業に活用している筆者だが、2024年はここ数年使い続けてきたモデルが終息したことにより、新しい製品を探さざるを得なくなった。
多ボタンマウスは、ボタン数がより少ない製品への移行は極めて困難で、それゆえ選択肢も限られる。特に10ボタン以上を搭載したマウスは1万円の大台を超えるのが普通だが、筆者がこれまで使っていたモデルは実売2千円前後とコスパは抜群だったため、後継探しには困難が予想された。
また、海外製品には重量が恐ろしくヘビーな製品もあり、それらも考慮する必要がある。
最終的に「予算5千円程度」にまで条件を下げて行き着いたのが、 I-CHAINの「MK21C2」だ。ボタン数は最大14個で、キー割り当ては本体内ではなくPC上に保存する仕様である。かつ持ちやすさも従来製品ほどではないが、ユーティリティーは日本語対応で、マクロの作成などの操作も手軽に行える。何より実売価格は5000円前後と安く、懸念していた重量も約120gと及第点だ。
側面の拡張ボタンが、3列×3段というレイアウトなのもポイントだ。こういった拡張ボタンを指先だけで判別するには、「前/中/後」および「上/中/下」の3×3が限界で、どちらかが4つになると途端に判別しづらくなる。
ボタン数が9個なのはやや物足りないのだが(実は筆者にとって14個というのは最低限必要な数である)、使い勝手も考慮するとベターな選択肢というわけだ。
Amazonのブラックフライデーで入手したこのマウス、直後にやや値上がりして現在は5000円を超えているが、この価格をキープしてもらえれば、今後製品が壊れた時も気兼ねなく買い足しできる。ひとまず最小限のスペアは入手済みだが、後はとにかく製品が長きにわたって継続してくれることを祈るばかりだ。
続いては、一風変わった時計部門だ。
●時計部門:ノア精密「MAG無線LANアナログ掛時計シグナルキーパー」
2024年に購入した製品の中で、2025年以降も間違いなく追加購入するだろうという確信があるのが、Wi-Fi経由でNTPサーバにアクセスして時間を自動的に合わせる機能を持った、いわゆるWi-Fi時計だ。
一般的な電波時計が、住宅環境によっては電波を受信しづらいケースが多いのに対し、このWi-Fi時計はWi-Fiさえ利用可能ならば、1日1回、正しい時刻をNTPサーバから取得してくれる。窓際に持っていって強引に時刻を合わせたとしても、置き場所を戻してしまうと次回以降うまく行くか分からない電波時計と違い、信頼のおける時刻を常時表示できるというわけだ。
筆者が購入したのは、発売後すぐに終息したニトリの「SW 009TG」と、ノア精密から発売中の「MAG無線LANアナログ掛時計シグナルキーパー」の2点だが、両者を並べて設置しても秒針の位置まで一致していることからして、正確に時刻は取得できていると見て間違いない。
単三形乾電池2本で寿命は8カ月ないしは1年と、もう少し長いとベターなのだが、電池切れでもWi-Fi設定は保存されるそうなので、致命的な問題ではない。
現時点では、まだデザインはベーシックでホームユースにはやや無機質で、年月日や温度/湿度が分かるなどの付加価値もないのだが、今後これらのバリエーションや付加価値が増えれば、自宅の各部屋にある全ての壁掛け時計を置き換えていくことになるだろう。他メーカーの算入も含め、来年以降の展開に期待したいジャンルだ。
続いては、いざというとき役立つデバイスだ。
●置き忘れ防止タグ部門:MOMAX「Pincard Pro Mini」
2024年、密かにホットなカテゴリーだったのが、AirTagと同じくAppleの「探す」アプリで置き場所を探せる、カード型の置き忘れ防止タグだ。本家のAirTagは厚みもあって財布に入れるのが難しいのに対し、これらは薄型ゆえ財布の中に入れて持ち歩くのも余裕だ。
製品によって充電の可否、充電の方法、およびメーカー独自のアプリが利用できるか否かという相違点があるが、複数を購入して試した上での現状のベストバイは、MOMAXが販売しているハーフタイプの製品「Pincard Pro Mini」だ。
このサイズであれば、財布はもちろんより幅広い製品に取り付けられる。バッテリー寿命は他製品よりやや短いが、市販のワイヤレス充電器で充電できるのは手軽でよい。
もっとも、これだけの薄さになると面積はあまり問題ではなく、段差がない方が使いやすいので、本製品のようなハーフタイプよりもカードと同じフルサイズの方がベターと考える人ももちろんいるだろう。
今後は、さらなる価格競争に突入していくと考えられるこのジャンルだが、身の回りのさまざまな持ち物にタグを取り付けていく中で、財布だけがフィットせずに困っていた人にとっては、注目に値する製品だ。
続いては、タブレットのベストバイだ。
●タブレット部門:Apple「13インチiPad Pro(M4)」
2023年はシリーズを通じてモデルチェンジのなかったiPadだが、2024年はiPad ProにiPad Air、そしてiPad miniと、3つのモデルがリニューアルされた。この中で最もインパクトがあり、個人的にも進化を実感したのは、大幅な薄型化(厚さは約5.1mm)を成し遂げた13インチiPad Pro(M4)だ。
とはいえ、購入して半年が経過し、実感するメリットは薄型化よりもむしろ軽量化(約579g)だ。従来よりも軽くなったことで、Magic Keyboardと組み合わせた場合の総重量は実測で1.2kgと、軽量タイプのノートPC並みになった。画面を開いた状態では頭でっかちで後ろに倒れやすい問題は依然として解消されていないが、実用レベルで困らない範囲には収まっている。
また、こちらもリニューアルしたMagic Keyboardのキー配列もポイントだ。筆者は普段はWindows PCを使っており、Macのキー配列にはいまひとつなじめていないのだが、これまでなかったEscキーがキーボード左上に追加されたことで、何らかの取り消し操作を行いたい場合でも、Windowsと同じく左上に指を伸ばすことで対処できるようになった。無意識にWindowsのキー操作が出てしまう筆者にとっては大きな利点だ。
購入から半年がたち、やや困るのは冬を迎えてパームレストが冷たすぎることだ。素材がアルミニウムということで、夏場はひんやりして利点の1つだったのだが、冬場にキンキンに冷えたパームレストに素手を置くのは少々キツい。画面サイズはもちろん、キーのサイズや配列も不満はないが、パームレストの上にサードパーティー製のシートを貼るか否か迷っているというのが、現在の筆者の状況だ。
最後は、ユニークだが役立つデバイスをピックアップした。
●カメラ部門(オプション製品):Ring「Ringソーラーパネル」
2023年から2024年にかけて、Ringの屋外用セキュリティカメラ複数台を購入し、自宅に設置している。機能的にも性能的にも十分に満足しており、今後さらに台数が増える可能性もある中で、2024年に新たに購入したのが、それらを太陽光から給電するためのソーラーパネルだ。
もともと筆者は、ソーラーパネルにあまり期待しておらず、今回の導入にあたっても、バッテリーの減りが多少緩やかになればもうけもの程度にしか思っていなかったのだが、その効果はてきめんで、これまで月一ペースで行っていたバッテリーの交換が完全に不要になってしまった。日当たりなどの条件にも左右されるとはいえ、正直これには驚かされた。
そのせいもあって、このソーラーパネルに対応したRing製品全てにソーラーパネルを追加し、一通りの設置を終えたのが現在の状況だ。中でも「Ring Spotlight Cam Plus」は、スロット2つにそれぞれバッテリーを入れていたのが1つで済むようになったため、他のカメラの予備バッテリーとして運用できるようになったのもうれしい誤算だ。
余剰ケーブルは本体に巻き付けるしか処理方法がなく、ソーラーパネルとカメラをまとめて取り付けるためのオプションであるポールマウントが供給難で、一度欠品するとなかなか入荷してこないなどの問題はあるが、性能自体に文句は全くない。
他社製品はどうか分からないが、少なくともこのRingシリーズのソーラーパネルについては、十分にお勧めできる存在だ。
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