22日に中山競馬場で行われる第69回有馬記念(3歳上・GI・芝2500m)。ファン投票で断トツ1位となり有終の美を狙うドウデュース(牡5、栗東・友道康夫厩舎)、2連勝で菊花賞を制覇したアーバンシック(牡3、美浦・武井亮厩舎)、日本ダービーで世代の頂点に立ったダノンデサイル(牡3、栗東・安田翔伍厩舎)、昨年の有馬記念2着馬スターズオンアース(牝5、美浦・高柳瑞樹厩舎)らが集結した。
この豪華メンバーのグランプリをプロ予想家はどう見るか。21世紀生まれの新世代予想家・こうせい氏による展望を紹介する。
(文=こうせい)
◆レースの特徴
有馬記念の特徴としては、外捲り差しが決まりやすいレースである。その理由としては、以下の2点が影響して【先行負荷大・差し負荷小】の外差し決着に振れやすくなるためだ。
1. 有馬記念を前半・中盤・後半の3分割した時、急→緩→急のペースで推移しやすい。
2. 開催が進んだ冬の中山芝で内が傷みやすい。
しかし今年については、先述した例年の傾向は破綻するとみている。1については、今年は絶対的な逃げ馬が不在と言えるメンバー構成で、前半から無理をして飛ばす状況が考えにくい。2については、近年の高速感が強い中山芝で内が傷みにくい状況となっているからだ。今年の展開としては、緩→緩→急のスロー進行での後半4,5F戦になると想定して、先行馬でも後半性能に長ける馬ならむしろ恵まれるようなレースをイメージしたい。
◆人気馬評価
・ドウデュース(1人気想定)
他馬が一気のギアチェンジに苦しむ状況下において、楽にギアを上げられる点が最大の武器。その強みを活かしやすいのが中山や阪神内回りといったコーナー角がキツい条件になるため、昨年の前残り決着だった有馬記念でも唯一外捲り差しの立ち回りで馬券内まで食い込んだ。今年は東京でも持ち味を引き出してGI2連勝を決めている関係上、打点を出しやすい有馬記念では基本的に逆らえない存在とみるべき。20年ぶりの秋古馬GI三冠制覇も十分期待できるだろう。
・アーバンシック(2人気想定)
ルメールJに乗り替わり後、菊花賞制覇を含む2連勝。元々不器用なタイプだった中で、上手く立ち回れるようになって成長を感じるレースぶりだったと評価している。ただし、勝利した近2走いずれも鞍上が能力以上の実力を引き出している感は否めない。今回も継続騎乗とはいえ、世代限定戦比較でポジション争いはシビアになるので、周りに対して受ける立ち回りを強いられる確率が上がるだろう。その場合、中山での緩い流れから後半のギア上げ勝負だと踏み遅れる世界線は頭に入れておきたい。
・ダノンデサイル(3人気想定)
菊花賞は結果的に内枠を引いたことが仇となり、勝負所で一気にポジションを落としてしまった。絶望的な状況下でも最後は強襲している辺り、能力の高さは申し分ないと言える。スロー進行での後半4,5F戦への対応については、日本ダービーで打点の高さを証明済み(後半5Fダービー史上最速)。主張すれば好位を引けることも示しているので、打倒ドウデュース筆頭格は当馬になるとみている。
◆注目穴馬
・ベラジオオペラ
スロー進行での後半4,5F戦となった大阪杯を勝利。今年の逃げ馬不在の有馬記念では、逃げの手を打つ可能性も高いとみており、立ち回りの上手さと高いレベルの後半力を兼ね備える当馬は、相当恵まれる状況にあるはず。宝塚記念での反動がどれだけ回復しているかに尽きるが、状態さえ戻ってくれば激走シーンも十分あるだろう。