女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年12月16日 記事は取材時の状況)
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クリスマスイブの夜は、恋人とロマンティックに過ごしたいものですよね。
ですがそんなイブが、忘れたくても忘れられない最悪な思い出になってしまう事も…。
今回は、そんな女性のエピソードをご紹介しましょう。
◆彼氏にケンカをふっかけ、イブに逆プロポーズする計画
田辺加奈子さん(仮名・30歳・派遣社員)は、Sさん(33歳・メーカー勤務)とお付き合いを始めて5年になります。
「Sとは共通の友達が企画した飲み会で知り合いました。何度も結婚の話はでているのですが、なんだかタイミングが掴めず、気がついたらマンネリ気味になってしまって」
放っておくと、一週間位は平気で連絡をしてこないSさん。最初はお互いが安心しきっている証拠だと思っていましたが…。
「近頃、私の周りが結婚ラッシュな事もあって、Sとこのままズルズル付き合っていないで、ケジメをつけたいという思いが強くなってきたんですよ」
そして何か良い方法はないかと考えた加奈子さん。
「Sの誕生日がクリスマスイブなので、その前にわざと喧嘩をふっかけ、イブに私がサプライズでSの部屋に“結婚しよ”とデコレーションされたケーキを持っていって逆プロポーズするってどうだろう?とパッと頭に浮かんで」
◆思っていた以上にヒドい喧嘩に
最近、なんの刺激もない2人の関係にドラマチックな演出をしたい、そしてSさんの誕生日&イブの日がプロポーズ記念日になるなんて最高だと考えたそう。
「そしてついにイブの一週間前になり、Sに『いつも同じようなデートの繰り返しで飽きちゃった。まわりの皆んなは彼氏が情報収集して、あちこちに連れてもらっているのに』とチクチク言ってみたら…思っていた以上にヒドい喧嘩になってしまって」
ですが、ここで大喧嘩しておいた方がイブの夜の仲直り&逆プロポーズが盛り上がると思い、一週間何の連絡もしなかった加奈子さん。
「Sからも何の連絡もなかったのが気になりましたが…まぁいつもの事だし大丈夫だろうと思い、イブの夜に予約しておいたケーキを持ってSの部屋に向かったんです」
◆知らない女性と抱き合う彼氏
Sさん宅の玄関をそっと合鍵で開けると、見た事のない女性の靴がありました。
「嘘でしょ?と信じられない気持ちで、リビングの扉を開けてみると、チキンやらケーキやらがテーブルにいっぱい並んでいて…ソファーでパーティー帽を被ったSと知らない女が抱き合っていたんですよ」
「ちょっと誰この女!?どういう事」と怒鳴る加奈子さん。
「するとSがその女を抱きしめながら、冷静な声で『そっちこそ今さら何?そっちがもう僕には飽きたってイチャモンつけてきたくせに』と言われて、血の気が引きました」
その言葉に動揺したものの、知らない女性がいる手前、素直に謝れず「合鍵置いて帰ってよ。もうこの彼女の物だから。僕も返すし」と言う彼氏に「こっちこそ、もうお前の顔なんか2度と見たくないわ!」と鍵を投げつけ帰ってきてしまったんだとか。
「『逆プロポーズするはずが、なんでこんな事になっちゃったんだろう?』って泣きながら2時間かけて歩いて帰りました。幸せそうなカップル何組もとすれ違いながら」
◆彼のインスタに結婚報告がアップされた
家に帰ってケーキの箱を開けてみると、ボロボロに崩れた生クリームの海で、砂糖菓子のサンタがおぼれて泣いているように見えました。
「そのケーキを食べながらまた泣いて、やっぱりSの事をあきらめきれないと思い『本当は今日、仲直り&逆プロポーズするつもりでした。怒らせてごめんなさい。また以前のような仲に戻れませんか?』とLINEしましたが…何日経っても既読にもなりませんでしたね」
その4ヶ月後、Sさんのインスタに「私達、結婚しました」と例の女性との笑顔の写真がアップされていたそう。
「コロナの影響で、式は挙げないと書いてありましたが…そんなこと関係ないぐらいSが幸せそうで、今まで見た事ないワクワクした表情をしていてショックでしたね。それからしばらく何も手につきませんでした」
それ以来、出会いもなく今年は独りぼっちのイブを過ごす予定の加奈子さん。
「コロナを理由に、独りでもしょうがないよねって言い訳出来て正直ホッとしています。Sの事を忘れるにはまだしばらく時間がかかりそうなので」とため息をつく加奈子さんなのでした。
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop