限定公開( 1 )
東京都内にある“鳥焼肉店”で、たて続けに食中毒が発生していた疑いがある。12月12日、X上に腹痛を訴える投稿があり、その原因が4日ほど前に食べた“鳥刺し”ではないか、との見方が広がった。その鳥刺しを提供している店舗では、2カ月ほど前にも食中毒を出していたことが発覚し、同店の食中毒対策や衛生管理を疑問視する声が噴出している。実際に同店を訪れた食の専門家は、「この店の食中毒対策はおかしいと感じた」と明かす。鳥刺しは危険な食べ物なのか、食べる際に気を付けるべき点は何か、話を聞いた。
「人生で一番お腹痛いレベルなんだけど原因これでは???????」
12月12日にX上に投稿されたポストに添付されていたのは、自身の4日前の投稿で、都内の“鳥焼肉店”で食事をした際の写真。「ビクビクしながら鳥刺し食べたけど無事だから勝った。美味しかったからまた行く」との記述があり、鳥刺しを食べたことを報告。だが、それから4日経過し、激しい腹痛に襲われる。つまり、この鳥刺しで、食中毒を起こした可能性があるというわけである。
すると、SNS上では「鶏肉は絶対に刺し身で食べたらダメ」「鳥刺しは鹿児島か宮崎以外は信用するな」と警告する声が続出。投稿者は特に店名などを明かしていないが、X上では鳥刺しなどの写真から、店を特定する動きが活発化。すると、この店では2カ月前にも、食中毒を起こしていたのではないか、との指摘が出てきた。当該店舗のインターネット上の口コミを見ると、次のような書き込みがある。
「鳥刺しだけは絶ッ対食うな!!! 新装開店したそうで、確か1回火事になったとか。 そんなことはさておいて深夜に綺麗なお店空いてると思い5名で入店、店員さん気さくな方でした。オススメ聞くと鳥刺しとのこと、危なくないですか?とちょっと失礼な質問した自負はあるのですが朝採れた鳥をその日に捌いて、次の日には焼きに回すくらい徹底してると言われたので信じて注文。あとはご察しの通りです。5人中鳥刺し食べた4人だけ綺麗にウイルス性胃腸炎と診断、しかも全員同時に。40度近い熱が2日、トイレと24時間一緒を1週間ほど、ご飯も食べれません。申し訳ないけど、あの鳥刺しにこの代償を払ってまでいただく価値は到底見いだせなかったです。身を削ってチャレンジしたい方は是非」
|
|
つまり、店の“お勧めメニュー”が鳥刺しで、それを食べた全員が同時にウイルス性胃腸炎を発症している。明らかに食中毒と推察される。その店で今回、再び同じような問題が発生したとみられる。
そこでBusiness Journal編集部は、この鳥焼肉店に連絡したところ、店長に直接、話を聞けた。すると、2カ月前に食中毒が発生したのは事実で、保健所の調査が入り、その後は保健所の指導に従って衛生管理や調理手順を守っているという。さらに、今回、食中毒らしきトラブルが発生して、X上に投稿されていることも「把握している」と述べたが、衛生管理の中身や食中毒対策などの詳細については教えてもらえなかった。
そもそも、鶏肉や鶏の内臓を刺し身で食べることは、どれほど危険なのか。また、店舗などで提供されている刺し身も、信用してはいけないのだろうか。管理栄養士の資格を持ち、都内で飲食店を経緯するオーナーは、「一般的に鳥刺しは食べないほうがいい」と語る。
「鶏は高確率で腸内にカンピロバクターという菌を持っています。これは熱や乾燥に弱い性質があるので、十分に加熱すれば大丈夫ですが、刺し身は危険です。表面を軽く炙った程度の刺し身も危ないと考えたほうがいいでしょう。
実は、問題の店は行ったことがあるのですが、やはり鳥刺しを勧められました。その際に『刺し身は危なくないですか? 特別な殺菌処理をしているんですか?』と聞きましたが、『今朝しめたばかりの新鮮な鶏肉なので安心してください』と言われました。この認識はあり得ないです。飲食店を開く際には、一般的に店舗責任者が食品衛生責任者の講習を受けます。6時間ほどの講義なのですが、そのなかの食品衛生学で食中毒の対策なども学びます。そこで、“鶏肉は新鮮なほど危ない”と聞くと思います。
|
|
カンピロバクターは鶏の体内で生きているので、さばいた直後は菌も元気です。したがって、『新鮮だから安心』などというセリフは、鳥刺しを扱う店としては不適切なんです」
一部で「鳥刺しを食べるなら鹿児島や宮崎」との声もあるが、鳥刺しは古くから九州南部で食べられてきたことが背景にある。特に鹿児島は鳥刺しの食文化を守るため、県や業界関係者が独自の安全基準を設け、食中毒対策を徹底している。飲食店で提供されている食べ物は、衛生基準が守られているものとの先入観で安心しがちだが、肉の生食は危険だ。
(文=Business Journal編集部)
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 Business Journal All Rights Reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。