自動車や電機など五つの産業別労働組合で構成する金属労協の梅田利也事務局長はインタビューに応じ、2025年春闘では「公正な分配の実現が課題だ」との認識を示した。梅田氏は「中堅(社員)以上に賃上げが十分行き渡っていない」と指摘。配分のひずみを是正し、企業の規模や職種、世代によらず、広く賃上げ効果の波及を目指す方針を強調した。
24年春闘は人材確保の必要性を背景に、新卒者の初任給を引き上げる企業が相次いだ。一方で住宅ローンなどの負担が増える中堅以上への配分が少なくなっており、金属労協は25年春闘の取り組み方針に、賃金カーブのひずみといった「制度上の課題が見られる場合は労使で協議する」と初めて明記した。
金属労協は25年春闘で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を月1万2000円以上とする過去最高水準の要求方針を掲げる。物価高を背景にこの2年は大幅な賃上げが実現したことについて、梅田氏は「大幅な賃上げを要求してもいいと、組合側の意識が変わってきた」と評価。ただ「賃金水準は国際的にまだ見劣りする」として、賃上げの継続が必要だと訴えた。
25年春闘では、工場などで働く従業員の処遇改善や価格転嫁の支援についても、引き続き訴えていく構えだ。