スマートフォンのバッテリーの耐用年数を少しでも伸ばしたい場合、バッテリー残量が100%のまま充電し続けるのは良くないといわれている。iPhoneではiOS 13以降で、そうした状態を予防するために「バッテリー充電の最適化」という機能が用意されている。80%程度の充電量が確保されると、その後の充電を遅らせて、ユーザーの生活サイクルにあわせて使い始める時間帯にちょうど100%になるよう調整する賢い機能だ。
一方、iOS 18では、iPhone 15シリーズ以降の一部機種において、この機能の挙動が少しカスタマイズできるようになっている。本稿では同機能の概要について改めてチェックしたい。
●「バッテリー充電の最適化」とは
冒頭で紹介したように、iPhoneではもともとiOS 13以降のOSバージョンにて「バッテリー充電の最適化」機能が利用できた。
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この機能は、オンデバイスでの機械学習によってユーザーの日々の充電傾向を把握した上で、「iPhone がある程度長い時間、充電器に接続されるだろう」と予測されるときのみに実行されるものだ。
充電の習慣を学習するのには、14日以上の時間が必要で、さらに特定の場所で9回以上、毎回5時間以上の充電をしてからでないと機能しないようになっている。つまり、自宅や職場など普段過ごす場所でしか機能せず、旅行先などでは機能しない。
言い換えると、「バッテリー充電の最適化」は、その端末で位置情報サービスが有効になっていないと機能しない。具体的には、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「位置情報サービス」→「システムサービス」→「利用頻度の高い場所」と進み、「利用頻度の高い場所」をオンにしておく必要がある。
具体的な挙動としては、iPhoneの充電が80%まで確保されたタイミングで、その後の充電が遅くなる。その後は、起床時など、iPhoneが使われるタイミングに合わせて、ちょうどフル充電になるよう充電が進められていく。
なお、バッテリー充電の最適化が機能している際には、いつ満充電になるのかを知らせる通知がロック画面に表示される。急いでiPhoneを充電しなくてはならない際の対処法も用意されており、この通知を長押して「今すぐ充電」をタップすればよい。
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そして、そもそも不要な場合には、「設定」アプリの「バッテリー」→「バッテリーの状態とサービス」の画面にある「バッテリー充電の最適化」というスイッチをオフにすることで、機能を無効にもできる。
こうした「バッテリー充電の最適化」は、iPhone使用時にデフォルトでオンになる機能であり、あまり目立つトピックでもないため、おそらく挙動を理解して使ってきた人の方が少数派だろう。長くなったが、ここまでが前提となる情報である。
●iOS 18で変わったこと
さて、ここからが本題だ。iOS 18ではiPhone 15以降の機種において、「バッテリー充電の最適化」を使わずに、「充電上限」という値を設定できるようになった。
具体的には、「設定」アプリから「バッテリー」の欄を開き、次画面で「充電」をタップしよう。上部にはスライダが表示されており、バッテリー充電の上限値を80%から100%まで5%刻みで選択できるようになっている。
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挙動は少々ややこしい。前提として、先述した「バッテリー充電の最適化」機能を利用するには、充電上限を100%にしておく必要がある。こちらは同設定画面の下部にオン・オフを切り替えるスイッチがある。一方、充電上限を80%〜95%にしている場合には「バッテリー充電の最適化」機能は有効にできない。
充電上限を80%〜95%にしている場合の挙動も複雑だ。まず、設定した上限との差が数%以内になると、その後の充電が停止する。また、端末を放置してバッテリー残量が5%を下回ると充電が再開するという。なお、充電上限が100%未満に設定されている場合でも、バッテリーの状態を確認することを目的に、たまに100%まで充電されることがあるとされている。
●いつカスタマイズすべきか?
こうした情報を整理すると、今まさにAI機能に力を入れる同社が、なぜこのタイミングで手動での充電上限の設定機能を用意してきたのかはやや謎だ。
とはいえ、充電上限を手動で設定することで、従来の「バッテリー充電の最適化」が機能しないタイミングでもバッテリーの耐用年数を伸ばすことができるのは、ユーザーにとっては実用的かもしれない。
例えば「使用開始後も、iPhoneを電源に接続したまま使う・放置する」ような生活スタイルでも、「起床時刻がバラバラなシフト制で働く」人でも、「出張先など自宅以外でも充電に注意したい」ユーザーなどでも、バッテリーの劣化を抑えやすいということだろう。
なお、iOS側が使用状況を判断し、充電上限を何%に設定した方が良いと勧めてくることもあるようだ。大部分のユーザーとしては、基本的には充電上限を100%のまま「バッテリー充電の最適化」を使っておき、もしOS側から推奨の値が表示されたらそれに切り替えるという方針で問題ないだろう。また、先述のように、手動での切り替えも容易だ。iPhone操作にこなれたユーザーならば、シーンに応じた使い分けも可能だろう。
ちなみに、近い将来には、本稿で解説した「バッテリー充電の最適化」の進化版である「Battery Intelligence」なる機能も提供される見込み。こちらの動向にも注視しておきたい。
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