「高血圧ですね」と係の人にそう言われた。びっくりだ。健康診断で今まで高血圧などと言われたことは一度もなかった。むしろ低血圧だ。生命力が弱いのか、よくそれで生きてるな、と言われたことはある。ところが、上が151、下が95という結果。これがいわゆる「仮面高血圧」なのか? 「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」を試用した際の計測結果だ。血圧計つきスマートウォッチともいえるこの新製品。クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」でプロジェクトが進行中だ。5万円を超える高額品ながら、12月19日現在、1200人以上、6100万円を超える支援を集めている。
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「HUAWEI WATCH D2 ウェアラブル血圧計」を試用。
上が151、下が95と、結構な高血圧であることが発覚
緑色の光を発して血流を計測し、心拍数を測るところまでは理解できる。それぐらいの機能なら余裕でスマートウォッチに入るだろう。しかし血圧計となると話は別だ。計測方法は通常とほぼ同じ。時計のベルトに空気を入れて手首をしっかり圧迫し計測する。その間およそ1分程度。空気を入れる超小型ポンプはスマートウォッチの筐体内部に仕込んである。よくもまあ、腕時計の中に空気ポンプを入れたものだと感心する。おかげで、頻繁に測ることが難しかった血圧の計測を、いつでも、あるいは一定間隔で好きなようにできるようになった。診察室で測る時だけ正常でも、日常生活の場面場面では、実は異常値が出ている「仮面高血圧」ということが分かれば、早期に対策が打てるというものだ。私がそれに該当するかは不明だが、計測時はこの新製品に興味津々。いささか興奮気味だったのがしっかり値に出た、ということにしておこう。
6月の健康診断では、
血圧だけはA判定で安心していたのだが……
新製品は自動測定機能もあり、15分間隔から1時間間隔まで、5種類の測定間隔で24時間自動的に血圧を測定することもできる。もちろん、計測の度にベルトに空気を送り込んで手首を圧迫することになる。これは正直、かなりうざったい。寝ている間も測定するというのだが、手首ががっつり圧迫される。前モデルよりだいぶ改善されているものの、起きてしまうのではないかと心配だ。しかし、普段は普通のスマートウォッチとしても使えるわけで、血圧計としての利便性はこの上ない。日常的に24時間計測する、という使い方ではなく、定期的に終日にわたって計測する日を設けたりして、健康管理に役立てる、という類の使い方がふさわしいだろう。
空気が入る特殊なベルトで血圧を測定する。
装着してみると、それほど大げさではなく、
普通のスマートウォッチに近い感覚で使用できそうだ
具体的な利用方法として、ファーウェイジャパン、端末統括本部マーケティング部の中野彩子 PRマネージャーは「まだ血圧の測定カレンダーのようなものを用意しているわけではない」としているが、医療機器認証も受けており、計測データは医師に相談する際にも利用可能だ。今後は、頻繁に測定できる利点を利用して、さまざまな予防医療に役立てることができそうだ。このスマートウォッチ一つで、さまざまな身体データ、いわゆるバイタルデータが集積される。データはクラウドに送られスマホで管理したり、家族で共有したりすることも可能だ。クラウドでのデータ管理となると、セキュリティーが心配になるところだが、現在は「セキュリティーをしっかり維持したうえ、中国以外の海外サーバーで管理している」(中野PRマネージャー)という。究極の個人情報ともいえるバイタルデータ。どこでどのように管理されているか、一応は知ったうえで利用したほうがいいだろう。
身に着ける健康管理デバイスとして最もふさわしいのは、やはり違和感なく利用できる腕時計型だろう。最近では、スマートウォッチをトラックドライバーの事故防止や健康管理に役立てるサービスも稼働している。そう遠くない将来、個人レベルでも健康管理の要として活用されるようになりそうだ。AIと組み合わせれば、ライフスタイルそのものをコントロールするようになるかもしれない。とはいえ、もうちょっと運動しろだの酒を控えろだの野菜を摂れだのと「アドバイス」を、時計にチクチク言われるような世界は勘弁してほしいものだが。(BCN・道越一郎)