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「資さんうどん」を展開する資さん(福岡県北九州市)は12月27日、関東1号店となる「資さんうどん 八千代店」(千葉県八千代市)を開業する。
【画像】人気メニュー「肉ごぼ天うどん」や「資さんしあわせセット」、八千代店店内の様子など(計10枚)
北九州を地盤にローカルチェーンとして展開してきた資さんうどんは、すかいらーくホールディングス(HD)による買収を受け、本格的な全国進出に動き出した。2025年度は約20店舗を新規出店する構えだ。「丸亀製麺」「はなまるうどん」といった全国チェーンにどう立ち向かっていくのか。12月23日に開かれたメディア向け内覧会を取材した。
●ローカルチェーンが急浮上
資さんうどんは1976年に創業。鯖や昆布、椎茸を出汁に用いた北九州風のうどんのほか、そばやカツ丼、ぼた餅といった幅広いメニューがそろったチェーン店だ。
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製鉄所で肉体労働に従事する人たちに向けて考案されたレシピが発祥となっており、人気メニューはスティック状のごぼうの天ぷらが入った「肉ごぼ天うどん」(九州での価格は770円)や「カツとじ丼(あおさみそ汁付)」(同770円)など。組み合わせのバリエーションも含めると商品数は100を超えている。店舗の多くが「24時間営業」と、利便性を高めていることも特徴だ。
資さんうどんは長らく北九州市内でドミナント展開をしていたが、2009年に山口県下関市に初出店し、その後九州全域に広がった。2023年11月には、関西1号店として大阪にも出店。2024年8月期の年商は152億円で、店舗数も右肩上がりに伸びている。八千代店の開業により、2024年12月末現在、74店舗を展開することになる。
2024年10月にすかいらーくHDの傘下に入り、本格的に全国進出に踏み切る。関東への進出を決めた背景に、関西エリアでの好調がある。
すかいらーくHD出身で、10月に資さんの会長に就任した崎田晴義氏は「うどん文化が根付いた関西で、九州発の資さんうどんが認められた。24時間たくさんのお客さまに来店いただいており、当初は中部への進出を考えていたが、『関東でもしっかりやれる』と判断した」と話す。
●すかいらーくは何を狙う?
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八千代店のスタートを皮切りに「『北九州の資さん』から『日本全国の資さん』を目指す」と意気込みを見せる崎田会長。全国展開を目指すにあたり、すかいらーくHDは資さんうどんをどのように位置付けているのか。
ガスト・バーミヤン・ジョナサン・しゃぶ葉など20を超えるブランドを抱えるすかいらーくHDだが「ファミリーで日常使いできる、客単価1000円未満のブランドは少ない」と崎田会長は話す。実際に同社が「低単価」として位置付けているのは、20以上のブランドのうち、八郎そば・から好し・とんから亭の3ブランドにとどまる。
「さまざまなコストが上がっていく中で、どうしても低価格帯のブランドが少なくなってきた。資さんでは、1000円未満の価格帯でしっかりとニーズをつかみ、店舗を拡大していきたい」(崎田氏)。グループの規模を生かし、食材の調達・加工・輸送を自社完結させることで、低価格帯を維持していくという。
●「味は変えてはならない」
ローカルチェーンとして親しまれてきた資さんうどんだが、大規模グループの下でどのように変化していくのか。
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崎田氏は「店舗を広げていくので『変わるもの』もあると思うが、『変えないもの』もある。特に48年間愛されてきた旗艦商品の味は、変えてはならないと思っている」と話す。水質の違いなども踏まえてレシピは調整し、賃料などの違いから価格は上げているものの、基本的には「北九州の味」をそのまま提供したい考えだ。
関東に進出するにあたって、資さんうどんは東京・神田にポップアップレストランをオープン(7月13〜15日)。用意した「1日400食」が完売したことを受け、大井裕之COOも「味に関してはそのままで勝負していきたい」と意気込む。
●八千代店はどんな店舗に?
今回オープンする八千代店は国道沿いのロードサイド型店舗で、2025年2月22日に関東2号店としてオープンを予定する両国店(東京都墨田区)も駐車場が充実している。“お膝元”の北九州ではロードサイド型の店舗が多いので、関東でも同じ形で軌道に乗るかどうかを試す狙いもあるようだ。
お客の声を受けてメニュー開発を行ってきた流れも引き継ぎ、八千代店では新しい挑戦にも取り組む。「従来のメニューではボリューム的に物足りない」という声を受け、「資さん満腹セット」(1110円〜)を新たにメニューに追加する。
資さん満腹セットは、小さめのうどん・小さめの丼もの・甘味の3点がセットになった人気メニュー「資さんしあわせセット」(八千代店での価格は1030円〜)のうち、うどんか丼ものを通常サイズで提供する新メニュー。全国の資さんうどんで、こうした試みは初めてだ。八千代店での売れ行きを見て、他店舗での販売も検討していくという。大井COOは「目指すのはうどんを中心とした大衆食堂。週に何度でも使っていただける店舗を目指す」と意気込みを見せた。
資さんうどん八千代店は客席数130席を備え、年中無休・24時間営業を実施。駐車場は65台を確保している。
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