今年も大掃除の季節がやってきましたね。なかなか落ちない汚れと格闘しながら、「普段からやっておけばよかったぁ……」と後悔するのは毎年のこと。キッチンの掃除も、日々の汚れが溜まっていて時間がかかる場所の一つです。そこで今回は、年末の大掃除前に知っておくべきキッチンの大掃除の仕方を、お掃除職人歴35年のきよきよさんに聞きました。 お掃除のプロの技を使って、ピカピカのキッチンで新しい1年を迎えましょう!
マネしやすいお掃除方法を伝えるYouTubeチャンネル
――YouTubeチャンネル「お掃除職人きよきよ」は、大掃除をする前には要チェックのYouTubeチャンネルですよね。きよきよさんがYouTubeチャンネルを始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
お客さまのおうちを掃除をすると、「どうやったらこんなにきれいになるんですか?」と聞かれることがあったので、その工程を見せられたら良いなと思ったんです。私自身、職人さんの技を見たり、工場見学が好きだったり、何かの工程を見るということが好きだったので、お掃除の裏側を見てもらったらおもしろいかな? と、2016年にYouTubeチャンネルを開設しました。開設当初は、お客さまから多く質問いただく内容を動画に撮ってアップしていたのですが、視聴者のほとんどが同業者だったと思います(笑)。
――確かに、プロのお掃除方法や工程が見られるのは嬉しいですね。きよきよさんの動画は、私たちでも簡単にマネできるものが多いですよね?
お掃除って誰でもできるものですが、誰にも教えてもらっていないんですよね。私はお掃除のプロとしていろいろなお掃除方法を知っていますが、YouTubeでは一般の方がマネをしても安全な掃除の仕方を紹介しています。使う洗剤も市販のものを基本的に使用しているのでマネしやすいと思います。ユーザーの方からも、「どんな洗剤を使っていますか?」という質問が多く届くので、手に入れやすく、使いやすいものをご紹介しています。
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マスト洗剤は4つでOK!「何の汚れ」を落とすのかに着目せよ
――きよきよさんのお掃除テクが詰まった新刊『やみつき掃除術 市販洗剤4本で感動的に汚れが落ちて家じゅう試したくなる!』(SBクリエイティブ)では、家じゅうの汚れを落とすのに市販の洗剤4本があればいいということですが、詳しく教えて下さい!
汚れには大きく3種類あります。調理用や食品の油、人間の体から出る皮脂などが原因となるアブラ汚れは「酸性の汚れ」、水道水のミネラル成分が固まった水アカ汚れは「アルカリ性の汚れ」、浴室や排水溝の黒カビ・ヌメリなどのカビ汚れは「中性の汚れ」です。
『やみつき掃除術 市販洗剤4本で感動的に汚れが落ちて家じゅう試したくなる!』(SBクリエイティブ)より
これらのこびりついた汚れを落とすには、その汚れを中和してゆるめればいいのです。すると備えておくべき洗剤は、汚れを中和するアルカリ性の洗剤1本、酸性の洗剤1本、除菌漂白(カビ取り用)の塩素系の洗剤1本、そして中性の洗剤1本、このたった4本なんです。
『やみつき掃除術 市販洗剤4本で感動的に汚れが落ちて家じゅう試したくなる!』(SBクリエイティブ)より
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どこから始める? プロに聞く、キッチン掃除の段取り
きよきよさんがおすすめする、キッチンの大掃除の段取りをご紹介します。
1. 五徳など、頑固な油汚れがあるものは、前日の夜から浸け置きをしておく
ガスコンロの掃除は、頑固な汚れが多い場所なので時間がかかります。できれば、前日の夜から五徳などは洗剤につけて汚れを落としやすい状態にしておきましょう。
2. お掃除当日は、換気扇からスタート
上から下へ汚れを落としていくのが掃除の基本。キッチンでもまず上部にある換気扇からスタートします。換気扇のお掃除が終わったら、レンジフードフィルターを使いましょう。これは、100均でも購入できます。フィルターをかけておくことで予防掃除になり、次の大掃除がとっても楽になります。フィルターは定期的に交換するのが望ましいので、忙しくて忘れてしまうという方は、次回は◯月◯日に取り替えると予定を入れてしまうのも一つの手です。
3. 次はコンロの掃除
こびりついてかたまりになったしつこい油汚れには、使わなくなったクレジットカードやポイントカードが便利です。カードで汚れを削ってから、アルカリ性洗剤に中性洗剤を数滴混ぜ、コゲ取りスポンジで壁の表面を磨いていきます。
4. キッチンの壁を掃除する
壁紙に油や汁が飛んでシミになった場合は、アルカリ性洗剤をスポンジにつけて洗ってみてください。取れない場合は、塩素系洗剤を使用してシミを取ります。このときは、ゴム手袋を必ず使用してください。
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5. シンクの掃除は最後に
シンクは、水アカが落ちずに悩まれている方が多いです。酸性の洗剤とスポンジを使用します。クエン酸水が使いやすく安全です。 クエン酸水をまいたら、キッチンペーパーとラップをおいて浸透させます。
頑固な油汚れやシンクの水アカ、プロはこうする!
――教えていただいた段取りは一切の無駄がないですね。段取りの通り進めていく中で、なかなか取れない汚れや水アカがある場合はどのように対応したらいいですか?
換気扇やコンロの油汚れにおすすめなのは、アルカリ性洗剤と消毒用アルコールを8:2で混ぜた洗剤を使用すること。洗剤のパワーがアップするので、しつこい汚れも落ちやすくなります。使っていないカードや100均で購入できるヘラで汚れをこそげ取ったあとに、パワーアップさせた洗剤を浸透させたらスポンジで簡単に汚れが落とせます。
五徳の汚れをすっきり落とすには、沸騰するほどの温度のお湯と洗剤で洗うことですっきり落ちます。おうちで難しい場合は、五徳に洗剤をかけ、キッチンペーパーとラップでまいておくことで、洗剤が乾かず浸透させることができるので、汚れが落ちやすくなります。
動画でお掃除方法をチェック!
コンロからシンクまで、キッチン掃除のやり方がわかる動画
意外に汚れている魚焼きグリルの掃除の仕方も
――シンクの水アカに効果的なものは?
クエン酸水を浸透させても落ちない、シンクのしつこい水アカは、研磨剤入のクレンザーで磨いてみてください。最近は、この研磨剤入りクレンザーが、100均で“多目的クレンザー”などの名称で販売されているのでチェックしてみてくださいね。
――キッチン掃除の中で、「これは、プロじゃなきゃ無理なのでは?」と思う場所の一つに排水口のヌメリがあります。排水口はどのように掃除したらいいですか?
食器洗いが終わったあとに、塩素系洗剤を食器を漂白するくらいの濃度に薄めて流すと排水口のヌメリが取れやすくなります。また、普段から使うゴミ受けがプラスチック製の場合は、ステンレス製のものに変えるだけでヌメリがつきづらくなるのでおすすめです。
100均で揃う!おすすめのキッチン掃除グッズ4選
――きよきよさんのYouTubeチャンネルでは、100均で揃えられるお掃除アイテムがたくさん登場します。100均で買えるお掃除アイテムの中で、特におすすめのものを教えてください。
メラミンスポンジ
いろいろな汚れを落としてくれる万能研磨グッズ。
コゲ取りスポンジ
プロのお掃除業者が愛用しているスポンジ。100円で買えるなんてすごい! というアイテム。
ツインブラシ
排水口の奥や、蛇口の接地面のお掃除に便利。
多目的クレンザー
100円で買えていいの? と思うほどのクオリティ。研磨するときに大活躍。
大掃除は、家族みんなで!
――最後に、きよきよさんから読者のみなさんへ、大掃除に向けてのアドバイスをお願いします。
今の時期、家中の掃除に追われているかと思います。大掃除は、誰か一人が担当するものではなく家族みんなで取り組むといいですよね。例えば、キッチンの掃除は、普段お料理をする人ではなく、作ってもらっている人が率先してやってみるのはどうでしょうか。
私もそうですが、男性はルーティンが苦手なように思います。「毎日、必ず◯◯してね」というのはできなくても、大掃除のように「このときだけはとことん取り組む!」というのは好きな方が多いと思うんです。私のYouTubeチャンネルの「鏡のように徹底的に磨き上げる」動画の視聴者の多くは男性なんですよ。最初から最後までが無理であれば、旦那さんに磨き上げを頼んでみるとか、好きなこと、得意なこと、おもしろそう! と思って取り組めることを任せることで、家族みんながハッピーになるのではないでしょうか。
(TEXT:上原かほり)
※2024年12月23日更新
画像提供:Adobe Stock
お掃除職人きよきよさんの新刊著書
『やみつき掃除術 市販洗剤4本で感動的に汚れが落ちて家じゅう試したくなる!』(SBクリエイティブ)
今回は、キッチンの大掃除についてお話を伺いましたが、この本にはきよきよさんが、35年のお掃除職人歴の中で培ったお掃除に関しての知識がぎっしり! まさに、一家に一冊のお掃除本。この本を読むと、お掃除したくてウズウズしてきます。
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お掃除職人きよきよさん
ハウスクリーニング、ビルの清掃 、ショッピングセンターの清掃などさまざまな場所でのお掃除を約35年間経験してきたお掃除のプロ。 2016年に、YouTubeチャンネル「お掃除職人きよきよ」を開設。当初は清掃業者に多く視聴されていたが、次第にプロの技を学びたい一般の視聴者が増えていき 、人気チャンネルとなる。登録者数は21万人を超える(2021年12月現在)。 毎週金曜日の夕方に更新される動画は、「落ちにくい汚れがキレイに落ちる!」とプロから一般の方まで幅広く支持されている。
>>YouTubeチャンネル「お掃除職人きよきよ」