◆ 期待の若手有望株
今季開幕から負けが込み、首位ソフトバンクから42ゲーム差の最下位に終わった西武。今季まで二軍監督を務めた西口文也氏が新監督に就任し、心機一転巻き返しを図る。
西口新監督は就任会見で「どうやって選手の力を伸ばしていけるかに気持ちを置いて取り組んでいきたい」と意気込みを語っており、既存戦力の底上げが最重要事項となるだろう。
このオフは、阪神からFAとなっていた大山悠輔と原口文仁の両獲りを画策しているとの報道も出たが、巨人とのマネーゲームになった大山の争奪戦から早々と撤退するなど、目立った補強はなかった。
11月には新外国人選手4人の獲得を発表したものの、日本の野球に適応できるかは未知数だ。10月のドラフト会議でも1位で指名した明治大学の宗山塁をクジで外し、外れ外れ1位で金沢高校の齋藤大翔を指名。高卒ルーキーだけに来季すぐに一軍で戦力になるというわけにはいかないだろう。
ただチーム内には将来の活躍が期待される若手の有望株が決して少なくない。
打者では渡部健人、山村崇嘉、長谷川信哉あたりが来季のブレイク候補。西口監督が「レギュラーは源田(壮亮)のみ」と話しているように、今季までベンチや二軍でくすぶっていた選手にもレギュラー獲得のチャンスは出てくるはずだ。
若手投手に目をやると、地元・所沢市出身の羽田慎之介が注目の的だ。
今季一軍デビューを果たしたばかりの3年目左腕は、クリスマスの12月25日が21歳の誕生日。191cmの長身から最速156キロのストレートを投げ込む姿は、メジャー最後の“300勝投手”ランディ・ジョンソンを彷彿とさせる。
羽田は今季序盤に二軍で結果を残すと5月に待望の一軍デビューを飾った。6月末までに救援で3試合に登板し、4イニングを無失点に抑えていたが、満を持して初先発のマウンドに上がった7月2日の試合で3回5四球2失点。拙守もあり、その後は約2か月にわたって二軍で汗を流す日々を送った。
そのまま二軍暮らしが続くと思われた羽田だったが、9月中旬に一軍再昇格すると、閉幕までに5試合(2先発、3救援)に登板。前半戦に比べて、投球内容は成長の跡を感じさせるものだった。
特に目についたのが奪三振率で、7月までの4試合は2.57(7回2三振)だったが、9月以降の5試合で一気に8.68(9.1回9三振)に良化。今季二軍でマークした8.85と大差ない数字を残している。
また、救援時の防御率が0.00だったように、一軍では試合途中からの短いイニングで好投していた。台所事情にもよるが、来季はブルペンで力を発揮したいところだろう。
ただ、そのポテンシャルの高さに間違いはなく、将来的にはやはり先発でこその投手。課題の制球力や守備力を磨けば、本家ランディ・ジョンソンのように大きく羽ばたく未来が待っているはずだ。21歳新星のブレイクを期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)