2024年1〜11月、女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとにtop5まで紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は7月6日 記事は取材時の状況です)
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高橋一生さん&飯豊まりえさん(17歳差)、堂本剛さん&百田夏菜子さん(15歳差)、山本圭壱さん&西野未姫さん(31歳差)――。
これらはいずれも、近年「年の差婚」で話題になったカップルと、その年齢差です。2011年に「ザ・ドリフターズ」の加藤茶さんと加藤綾菜さんが45歳差での結婚を公表して以来、「年の差婚」はさほど珍しいものではなくなってきています。それでも、結婚したカップルの組み合わせを見ていると、ある「法則」に気付きます。それは多くの場合、「男性が年上で、女性が年下」だということ。
法則が物語るのは、結婚において男性は自分より年下の女性を求める傾向が高い、という現実です。
◆19歳差の「年の差弁護士カップル」
厚生労働省が発表する人口動態統計年報「初婚夫妻の年齢差別にみた婚姻件数・構成割合の年次推移」によれば、2021年に婚姻届が出された初婚夫婦計45万304組のうち、夫が年上のケースは56.3%。昭和45年時点では79.5%だったため割合としては下がってきてはいますが、「夫が年上」のパターンは、今なお半数以上を占めているのが現状です。
そんな中、少数派ながら、「妻が年上」の年の差婚もあります。弁護士の青木美佳さん(43歳)と、司法修習中の青木(旧姓・甲斐)友貴さん(24歳)は2023年6月に入籍し、2024年元旦、X(旧Twitter)でフォトウェディングの写真を添えて結婚を報告しました。
同じ業界にいながらも20歳近い年の差(結婚当時、美佳さんが42歳、友貴さんが23歳)がある2人はどこで出会い、いかにして結婚への道を辿ったのでしょうか。
◆弁護士とアナウンサー、二足の草鞋を履く妻
妻の美佳さんは1981年、東京都八王子市生まれ。日頃は企業法務や一般民事事件などを担当しています。XではファンであるV6や日常の何気ないことをつぶやいたり、匿名で質問や回答ができる「質問箱」というWebサービスを使って法曹志望者などの質問にも答えており、気さくな印象です。
特徴的なのが弁護士だけではなく、フリーアナウンサーとしても活動していること。弁護士1年目から3年目頃まではネットラジオのニュース番組でキャスターを務めていました。現在は第二東京弁護士会(通称「二弁」)の広報も担当し、二弁公式YouTubeチャンネルの動画ナレーションや、修習生や学生向けのイベント司会などをしています。背景には、弁護士になる前に、専業の「アナウンサー」だったという経歴が関わっています。
新卒採用では在京キー局を中心に受験をしたものの夢叶わず、1年間ほど民間企業に勤務したのちに大学院に進学。再度の就職活動を経て、フリーランスのアナウンサーとして各局の番組に出演し始めました。
幼い頃から憧れていた職業に念願叶って就けたものの、契約は1年ごとの更新、報酬は番組出演の本数に応じた支払い体系で、待遇はきわめて不安定でした。とくに女性アナウンサーは若さが重視される傾向にあり、周囲の優秀な先輩が30歳を過ぎて急に仕事がなくなる姿に不安を抱いていたといいます。
仕事と並行して早稲田大学大学院法務研究科(ロースクール)に入学し、34歳、4回目の挑戦で司法試験に合格。当初はアナウンサー業を中心に弁護士として仕事を行う予定でいましたが、「いざ始めてみたら結局、弁護士業が8割になっていました」と笑います。
◆司法試験、気象予報士試験、行政書士試験に合格した夫
夫の友貴さんは1999年、愛知県名古屋市生まれ。司法試験のほか、12歳で気象予報士試験、15歳で行政書士試験と、難関国家試験を3つ突破しているというのだから驚きです。
幼い頃から天体や気象に関心を持っていたという友貴さん。10歳の頃、気象予報士・森田正光さんの著書を読んで、気象予報士試験を受けることを決め、中学1年生の時、史上最年少(当時)の12歳で合格を果たしました。
法律の分野にも興味があり、こちらも当時、最年少の15歳で行政書士試験に合格。高校合格が決まると今度は司法試験の勉強を始め、2020年、神戸大学理学部1年時にして司法試験の受験資格が得られる司法試験予備試験に、翌年には司法試験本試験に合格しました。
現在は司法修習中で、来年度からは大手の法律事務所に勤務する予定です。法律と気象は一見異なる分野のように見えますが、「どちらの分野もロジックで物事を考えるという意味では共通しており、近い部分がある」と話します。
◆夫が好意を寄せたきっかけは、妻のつぶやき
年齢も出身地も異なる2人を結びつけたきっかけとなったのは、Xでした。
30代半ばで弁護士のキャリアをスタートし、仕事に打ち込んでいた美佳さん。経済的にも自立し、結婚願望も強くはありませんでした。しかし、40代に入り、出産可能年齢のリミットが視野に入るようになったことがきっかけで、「10年20年先を見据えたときに、仕事だけに時間を費やしていいのか」と悩むようになりました。
美佳:仕事では色々な経験をさせてもらってきて、人生であと何をしていないかと言われれば、結婚や出産ぐらい。不妊治療に国からの保険が適用されるのも43歳未満と決まっているので、40代前半の間に何もしなければ、この先に後悔するのではないかと思いました。
出会い目的の合コンや婚活アプリには抵抗がありましたが「『食わず嫌い』はよくない」と期間と期限を決め、いわゆる婚活市場に飛び込んでみます。
しかし、年齢や収入など「スペック」で異性を判断しとっかえひっかえする印象を受け、短期間で離脱することに。「日常生活の中で自然に知り合った人を好きになり、その先に結婚出産を考えるという流れが私にとっては理想。結婚や出産を目的として条件が合いそうな人を選ぶやり方は合わないと改めて思いました」と苦笑いします。
◆会う前にDMで好意を告白
Xのアカウントを開設した初期の頃から「質問箱」を使っていたという美佳さんですが、Xで自身の恋愛・結婚観をつぶやけば「同年代は育児で追われているのに、未だに恋愛だ何だ言っていて幼いと思いませんか」など辛辣な質問が複数届き、世間の年齢に対する画一的な見方に疑問を感じていたといいます。
それでも質問を無下にせず、真摯に対応し続けていました。そんな彼女の姿を目に留めていたのが、気象情報をつぶやくためにXを活用していた友貴さんだったのです。
友貴:Xは実は、人の本質が見えやすいツールだと思っています。どんなに繕っていたとしても、よく読んでみると、その人の人柄や考え方を感じ取れます。(美佳さんのポストは)人を傷つけないよう、多方面に気を遣って言葉を選んでいた。優しい人だというのはつぶやきを見ている段階でわかっていました。
Xを通じて、美佳さんがアナウンサー兼弁護士として、著作権法などの知的財産権分野に詳しいことも知っていたという友貴さん。すでに司法試験に合格していた2022年夏、「自分も特許など知的財産権に興味があるので弁護士の先輩として話を聞かせてほしい」とXからDM(ダイレクトメッセージ)を送り、美佳さんもこれを承諾。
当時、美佳さんは東京、友貴さんは神戸に住んでいたためにすぐには会えず、数か月間はDMを通じてやり取りをすることになりました。Xから美佳さんの恋愛観や結婚観を把握しており、「今お付き合いしている人がいないのであれば、直接アピールしてしまおう」と考え、やり取りの中で、「女性としても素敵だと思っています」と、好意を先に打ち明けていました。驚きこそしたものの、美佳さんの側も決して悪い気持ちを抱くことはありませんでした。
美佳:法曹界は、先輩と後輩の繋がりが密接な風土です。Xを通じて後輩から話を聞きたいと連絡が来ることは、以前からも複数あったので、DM自体は特に不自然には感じませんでした。いわゆる婚活市場で感じたものとは違って、彼は私個人の人柄を唯一無二のものとして見てくれているのが伝わって嬉しかったのを覚えています。
初めてDMを送って約半年が過ぎた2022年12月、就職活動のため、友貴さんが上京することになり、2人は東京駅にあるカフェで対面を果たします。意中の相手と対面を果たし、歓喜する友貴さんでしたが、この時美佳さんはあくまで「恋愛」の対象だったそう。そして、ここから美佳さんとの間で結婚に向けて怒涛の交渉が始まっていくことになります。
<取材・文/松岡瑛理>
【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部へ。博士課程まで進学したレアな経歴から、高学歴女子の生態に関心がある。Xアカウント:@osomatu_san