「遺体安置所で10分間過ごしてください」葬儀会社の採用試験が物議醸す(中国)

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2024年12月25日 16:01  Techinsight Japan

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中国の葬儀会社が「特殊な環境に適応する能力が必要」として、面接前に独特の採用条件を提示した(『South China Morning Post 「China funeral home asks jobseekers to spend 10 minutes in morgue
中国・山東省乳山市の葬儀会社が「遺体安置所管理者」を募集し、独特の採用条件を提示した。この職種の月給は2200元(約4万5000円)で、面接に進むには低温管理された遺体安置所で10分間過ごす試験に合格する必要がある。この条件に対し、ネットユーザーたちの反応は多岐にわたり、笑いや批判の声が広がった。中国のニュースメディア『手机搜狐网』などが報じた。

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―遺体安置所での現場試験

乳山市葬儀サービスセンターが提示した募集要項によれば、「遺体安置所管理者」に応募するには、乳山市に永住権を持つ45歳以下の男性であり、中学卒業程度の学歴を有することが条件となる。また、24時間勤務や夜勤に対応できる健康状態であることも求められている。

さらに、70元(約1400円)の試験料を支払い、低温管理された遺体安置所で10分間過ごす現場試験が必須となる。その試験に合格した応募者は、面接、身体検査、6か月の試用期間を経て正式に雇用される。


―SNS上では「給料が低すぎる」と批判も

今回の求人広告は、中国のSNS上で瞬く間に拡散し、多くのユーザーからコメントが寄せられた。あるユーザーは「火葬場に10分間いさせられるよりはずっとマシだ」と冗談を言い、別のユーザーは「死者は怖くないが、給料が幽霊より怖い」と皮肉を込めてコメントした。

特に、月給2200元(約4万5000円)という報酬について、「この給料では恐怖を乗り越える価値がない」との批判が少なくない。「2200元では10分どころか1分も滞在できない」「10時間いても良いが、給料が低すぎる」といった声が目立つ。

一方、「これは働くことの厳しさを知らない人にはちょうど良い試練だ」とする肯定的な意見も一部で見られた。

―背景にある職務の特殊性

葬儀業界には、遺体管理や火葬といった業務が含まれるため、他の職種とは異なり、精神的に特有の負担が伴う。

乳山市葬儀サービスセンターの職員は、「この仕事では特殊な環境に適応する能力が必要であり、現場試験はその適性を測る方法の一つ」と主張している。

―面接前の試験は「不適切」と専門家

中国南西部で葬儀業に詳しい専門家は、「遺体安置所での10分間滞在という試験には、倫理的な問題が含まれる可能性がある」と指摘する。

「このような職種には高い専門性が必要であり、通常は心理テストやインターンシップ期間を設けるべきです。面接前に直接現場試験を行うのは不適切でしかありません。」

―「応募者はいます」

今回の求人広告は、受付期間が17日までであった。

中国のニュースメディア『上观新闻』が採用担当者に電話で確認したところ、「応募者はいます」と回答を得た。しかし、採用者が決まったのかどうかは今のところ公表されていない。

画像は『South China Morning Post 「China funeral home asks jobseekers to spend 10 minutes in morgue, sparks public amusement」(Photo: Shutterstock)』『手机搜狐网 「凭胆量入职?一殡葬单位面试需先在遗体冷藏室待10分钟!工作人员:已有人报名!」(乳山市人力资源和社会保障局)』より
(TechinsightJapan編集部 八田理子)

このニュースに関するつぶやき

  • 高い専門性が必要とか言いながら、たった2200元(笑)スーパーの店員より低いくらいじゃん(笑)
    • イイネ!9
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