守るべき労働法規を平気で無視して、「嫌なら辞めればいい」と居直る会社はブラック企業そのものだ。投稿を寄せた40代女性は、内装工事の職人として、そんな会社にもう10年も勤務しているという。
「残業代の計算がおかしい会社に勤めています」と口火を切ると、勤務先のおかしい点を次々に挙げた。
「面接時には日給プラス残業代と聞いていましたが、日給が9500円になっても1万円になっても何年もの間ずっと残業代は時給800円でした」
残業代だけずっと据え置きで誤魔化されてきたのだ。これは「都の最低賃金が1000円を超えてしばらくした頃やっと時給1200円に」なったというが、それまでのおかしな差分は支払われていないという。(文:篠原みつき)
「他の職業では当たり前の事がこの業種では守られていないと感じます」
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さらに「今は日給1万1000円なので、(残業代の)時給1200円でもおかしいのですが」とも言い添える。確かに、それで仮に8時間勤務なら時給は1375円、残業代は割増でさらに増えるはずだ。しかし会社は「職人なので、上の世代は残業代が出るだけ良いでしょという考え方」だという。
「一般企業(事務職)から転職してきた私からすると、建築業界は異質で他の職業では当たり前の事がこの業種では守られていないと感じます。残業代の件もですが、有給休暇も無いし社会保険にも労災にも加入していない」
どんな逃れ方をしているかは不明だが、労災保険や雇用保険への加入は義務なので、会社は必ず加入しなくてはならない。また建設業界だからといって、もちろん社会保険料や有休を無視する会社ばかりでもない。ただ、女性の勤務先を含めた現場にはゼネコンの下請けとなる小規模な会社が多く、そうしたルール無視が横行しているように感じるのだろう。
「社長は『ブラックですが何か?嫌なら辞めれば良い』という考え方」
さらに女性はこうぶっちゃける。
「社長の人柄や仕事のやり甲斐で10年勤めてきていますが普通に考えたら潰れるべき会社だよなと思いますし、ごくたまに新人が入社すると『求人票に騙されたか…可哀想に』と思います。ハローワークに出してる求人票は嘘だらけなので」
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さらに先日、勤続3年で退職した社員にこんな事があったという。
「失業保険を受けようとしたらハローワークで『雇用保険に加入されていない』と言われたそうで。 その子から相談された時に私もビックリして『はぁ?!何それ?そんな事ありえるの?』って(笑) 本来なら義務とされている事が、何も守られていない会社なので……たまに労働局から監査が入ります」
監査が入った後も是正されないのだろうか。一体給料明細はどうなっているのか。謎だらけだが、これが正される見込みは薄そうだ。
「社長は『ブラックですが何か?嫌なら辞めれば良い』という考え方なので改善はしません。 段々と他の上司達も『嫌なら辞めるしかないじゃん』という考え方になっていくので会社の体質が変わる事は無さそうです」
これほどのブラックぶりでも辞めない理由として、現在の心境をこう語っていた。
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「私は、趣味でお金貰ってるくらいの気持ちでやろうと割り切ったので諦めました。会社に勤めてると思ったらやってらんないので」
というのも、過去に接客業や事務職だった頃は精神的に苦しんだが、職人になってからは「肉体疲労は大きいものの精神疲労は少なくなった」のだとか。「ブラックな会社だけど自分には合ってるんだな」と自嘲気味に明かした。
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