現役時代にわずか1勝の種牡馬から大物誕生となるか。良血サイアーのヘンリーバローズが、ホープフルステークス(2歳牡牝・GI・芝2000m)のジェットマグナム(牡2、栗東・安達昭夫厩舎)で産駒GI初制覇を狙う。
ヘンリーバローズは父ディープインパクト、母シルヴァースカヤ、母の父Silver Hawkの血統。母は海外で5勝。04年にともに仏G3のロワイヨモン賞とミネルヴ賞を制覇。同年の凱旋門賞はバゴの8着だった。15年のセレクトセール当歳では1億2000万円(税抜)の高値に。その後に全兄のシルバーステートが活躍したことで、さらに注目度が上がった。しかし、現役時代は2戦1勝。新馬は後に日本ダービーを制するワグネリアンにハナ差競り負けて2着。続く未勝利は大楽勝だったが、これからという時期に脚部不安のため長期休養へ。そのまま復帰することなく種牡馬となった。種付け料は初年度の20年から受胎条件30万円、出生条件50万円で変わらず。これまでに産駒は2世代が走り、JRAでの勝ち上がりは4頭。岩手ではラポジートが今年のビギナーズCを制するなど、まずまずの成績を収めている。
ジェットマグナムはここまで3戦2勝。7月福島の新馬(芝2000m)でデビュー勝ちを果たした。続くコスモス賞は最下位の7着だったが、心房細動だったので参考外。前走の芙蓉Sを番手から押し切り、うっ憤を晴らしている。決して派手な勝ちっぷりを見せるタイプではないが、ここまで実質的には2戦2勝と底を見せず。もちろん、前走と同舞台のGIでも侮れない存在となる。
JRAで1勝止まりながら種牡馬となった馬は決して多くない。しかし、その中からミラクルアドマイヤ(半兄はフサイチコンコルド)がカンパニー、オンファイア(全兄はディープインパクト)がウキヨノカゼ、シングンオペラがシングンマイケルを送り出すなど、関係者の期待に応えている。ヘンリーバローズもここから人気種牡馬の仲間入りとなるか。ジェットマグナムが孝行息子となることを期待したい。