過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2020年12月30日 記事は取材時の状況) * * *
もうすぐ今年も終わりを迎える。年末年始は、実家に帰省するか悩んでいる人も多いはずだ。この時期の帰省といえば、新幹線の大混雑や、悪天候による遅延が風物詩的なニュースとして扱われることも少なくない。さらには、“帰省うつ”という言葉もあるように、さまざまな事情から実家に帰るのが苦痛という人もいる。そこで今回は、年末年始の帰省にまつわる悲惨体験を紹介しよう。
◆電車が9時間半の大遅延
飯島晴子さん(仮名・40代)が、秋田に住む甥っ子を預かり、新潟の実家まで帰省した際の過酷な道のりを赤裸々に語ってくれた。
「甥っ子と秋田駅のホーム。13:00発の電車が強風で遅延し、27分遅れで発車しました」
なんとなく嫌な予感がした飯島さん。
「通常なら30分ほどで次の停車駅に着くのですが、秋田駅を出発してから徐行と停車を繰り返し、強風のためしばらく停車するアナウンスが流れました。それが、4時間27分もの長時間立ち往生する事態となったのです」
飯島さんは、本来なら1時間以上も前に新潟駅に着いているはずなのに、全く動かない電車に困惑していた。多くの乗客も苛立ち、車掌に食って掛かる人もいたという。
「甥っ子は携帯ゲームをするなどして辛抱強く我慢していましたが、バッテリーも切れてしまい仮眠するしかありませんでした」
僅かながら進んでは止まりを繰り返す。やっとJRの駅に到着したのは発車から7時間42分も経過した頃だった。そこから、JRが手配したバスに乗り換えて新潟まで向かうことになった。
「真っ暗な駅に乗客全員が降ろされました。乗り換えるバスを探すと、皆が思い描いていた大型バスではなく古いマイクロバス2台。驚きましたよ。あちらこちらから怒りの声が上がりました。だって帰省ですから、ほとんどの乗客がキャリーケースやら大荷物だったのですから。マイクロバスにそれらを積む余裕なんてないんです」
秋田駅まで戻るマイクロバスも用意されたそうだ。しかし、ここまで待たされた挙句、戻されることを良しとする人はいなかった。
◆出発から13時間で実家にゴール!
全員がぎゅうぎゅう詰めのうえに、重いキャリーケースなどを膝の上に抱えて新潟駅を目指すことになった。
「乗り込む際にお茶とパンの支給がありました。でも身動きできないので誰も口にすることができず、疲れているのに空腹で眠れないという最悪な状況でした」
一刻も早く新潟駅に着いてほしいと願うばかりだったという。しかし、苦しい状態はさらに続き……。
「こんな時に、不慣れなドライバーが道を間違えたのです。冬の峠で遭難するのではないかと恐怖を覚えましたよ。しかもマイクロバスは一向に高速道路は使わずに一般道を進むんです。さすがに甥っ子は疲れ果て寝てしまいました」
甥っ子に可哀相な思いをさせてしまったと反省する飯島さん。こうなったら、なるようにしかならないと腹をくくった。そして飯島さんも目を閉じてうとうとし始めた、その時……。
「急に停車したので何事かと思っていたら、とある駅で何名か降ろすとのことでした。補助椅子まで満席で、車内から数名の乗客と荷物を降ろすのに全員が協力しなければならない状況でした。ここでも大幅な時間ロスです」
そして目的地の新潟駅に到着したのは深夜2時30分だった。秋田駅を出発してから13時間も経過していた。もうこんな経験は二度としたくないと飯島さんは嘆いた。
◆夫の実家で義母と大バトル
数年前、娘と夫の3人で暮らしていた田中真理さん(仮名・20代)は、娘も産まれたばかりで両家共に帰省しない予定でいた。しかし、マザコン夫が言った。
「帰省しないなんてありえない、お前は親不孝者だ! 娘を産んだのは親孝行するためだ」
そこで、田中さんは生後5か月の娘を連れて、渋々行くことにしたという。そして帰省前日、夫が唐突に……。
「娘に対する配慮もなく朝4時に出発するというのです。しかも、夫は仕事を理由に準備すらせず、すべて私に任せっきりでした」
前日から、すでに苛立っていた田中さん。旦那の実家に到着すると、義母が車のドアを開け、娘だけを抱き上げて家の中に消えていったという。元々義母は失礼な発言ばかりで、他人への配慮が一切なかった。自分が最優先されないと気が済まない性格だったので、ここまでは田中さんの想定内だった。
「朝食を義家族と一緒に取りましたが、その間も娘は義母が抱っこ。朝が早かったこともあって娘がまだ寝ていたこともあり、そのまま起きるまで抱っこしてもらうことにしました」
朝食の後片付けを行い、夫はリビングでテレビを観ていたので娘を見ておくよう頼んだ田中さんだったが……ここで驚愕の出来事が襲い掛かる。
「片付けが終わってリビングに行くと夫は寝ており、義母が乳を娘に吸わせようとしていたんです。言葉を失いました。人間はあまりに驚いたときって、声がでないんだなって」
その後も、娘を預かろうとしても渡してくれない義母。仕方なく、監視のため義母の近くにずっといた田中さん。夫は寝ているし、話しかけても義母は田中さんを完全無視。苦痛の時間だったという。
「ここまでで、帰りたさMAXでしたが、お昼ご飯を食べているときに、これを上回る悲惨な事件が起こりました。娘は離乳食を始めたばかりだったので、この日は離乳食を休む予定でした」
◆義母の行動はエスカレート
義母が離乳食の話を始め、田中さんは念入りに離乳食について説明したのだが……。その5分後。
「義母が『娘ちゃんも食べたいよね? ママの我儘に付き合わされて可哀相』と嫌味を言いながら、自分が1度口に入れて噛み砕いたものを娘の口に入れました。もう、今思い出すだけでもハラワタ煮えくり返る思いです。すぐに娘を引き離し、口の中を綺麗にしました。クソババア……と喉元まで出かかりましたが、心の声が漏れそうになったのも、その日が初めてです」
義母は謝ることもなく、「娘ちゃんも口開けたし食べたがっていた」と、田中さんを責め続けた。
「条件反射で口を開けるのは当たり前だろ、と思いながら、夫に助けを求めても『俺も小さい頃そうしてもらってた。お前は常識に囚われ過ぎだ。虫歯くらい誰でもなるから気にするな』と、完全に義母の擁護をしていました』
怒り爆発の田中さん。もう何を言っても意味がないと呆れ、頼りにならないマザコン夫を放置して娘を連れて帰宅した。田中さんは最後に、もう2度と娘を義母に会わせることはないと言い切った。
それが直接のきっかけではないが、その後もいろいろあって田中さんは夫と離婚。今は幸せな毎日を過ごしている。
帰省することが、楽しいことだけではないのだと思い知らされるエピソードだ。年末年始は家でまったり、ストレスフリーな状態で過ごしたいものだ。<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。