窓から腕を出して「来い! 来い!」“あおり運転”してきた黒いセダンが警察に捕まるまで

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2024年12月27日 09:21  日刊SPA!

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※写真はイメージです。
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険は今年、『2024年あおり運転実態調査』を実施。あおり運転をされたことがあるドライバーは72.5%であった。昨年の53.5%よりも大幅に上昇し、この半年間でも24.1%と多くのドライバーがあおり運転に遭遇していることがわかった。

 今回は、あおり運転をしてきた相手が警察に捕まるまでのエピソードを紹介する。

◆川沿いの狭い道での恐怖
 
 川の付近の住宅地に住んでいるという加藤好江さん(仮名・30代)は、通勤時に土手沿いの細い道を通ることが多いそうだ。その細い道で起こった驚きの出来事を話してくれた。

「この道は、車1台が通れるほどの幅しかなく、運転が得意ではないので常に緊張して運転しています。

 ある日、後ろの車が徐々に私の車に迫ってくるのが見えました。はじめは小さな点のように見えていたのですが、猛スピードで接近してきて、ぴったりと張りついてきたんです」

 中年の男性が運転しているようだった。しかし、相手はサングラスをかけていたため、表情は分からなかったという。

「肩をすくめたり、イライラしたりしているような仕草をしていました」

 この時、加藤さんの車の後部座席には幼い子どもが座っていたため、安全を最優先に運転をしていた。前方には自転車に乗る高校生たちがおり、道幅が狭い中では追い越すことは危険だったようだ。

「それでも後ろから迫る車のプレッシャーに、無理にでもスピードを上げなければいけないと思って不安になりました」

◆「お巡りさん、かっこいい!」

 あおり運転は続いた。

「信号待ちの長い時間が、さらに私を追い詰めました」

 緊張の中、やっと2車線の道路に出る交差点に差しかかる。対向車とすれ違えるほどの広さになったものの、待機している車列は長く、通過できるまでには時間がかかりそうだったという。

「その時、後ろの車が急にアクセルを踏んで、信号待ちの列を無理やり追い越していったんです。交差点の脇にある衣料品店の駐車場へ入ろうとしていました」

 その瞬間、加藤さんは後部座席に座る子どもに、「見て!」と声をかけた。駐車場には、青い制服の白バイ隊員が仁王立ちしていたのだ。

「運転手は、その存在に気づいていなかったようですね。駐車場をショートカットしようとしたみたいですが、待ち構えていた白バイ隊員に停車を求められていました」

 運転手は言い訳をしているようすだったが、現行犯であることは明らかだった。

「私はその一部始終を見守りながら、『お巡りさん、かっこいい!』と賞賛しましたね」

◆窓から腕を出して「来い! 来い!」と挑発的なジェスチャー

「毎週金曜日は、社用車を運転して複数の取引先を回るのが私の仕事のルーティンです」

 高島博さん(仮名・40代)は、その日も朝から取引先への納品が続き、少し急いでいたという。

「運転をしていると、バックミラー越しに黒いセダンが迫ってくるのがわかりました。先に行きたい雰囲気でした」

 はじめは、「速く追い越してくれ」と思っていた高島さんだが、信号待ちで相手の表情を確認すると、こちらに対して敵意があるのがわかったそうだ。そして、信号が青に変わり、セダンは一気に高島さんの車を抜き去った。

「すると、私の前に割り込み、突然急ブレーキをかけたんです。私は衝突を避けるためにブレーキを踏み何とか停止しましたが、心臓はバクバクです」

 セダンの運転手は窓から腕を出し、「来い! 来い!」と挑発的なジェスチャーをしていたのだとか。

「怖い状況でしたけど取引先への納品があったので、安全を考え、相手のジェスチャーを無視しました」

 そして、高島さんはコンビニに車を停車させることに……。

◆あおり運転の相手は常習犯

「私は警察に通報しようと携帯を取り出したのですが、セダンの運転手はUターンをしてコンビニに突っ込んできたんです」

 車を降りて詰め寄ってきた中年男性。高島さんの車の窓を叩きながら、「こっちは急いでるんだよ! 謝れよ!」と激しく怒鳴ってきたという。

「ニュースで、“こういう状況では窓を開けないように”と忠告していたので、私は窓を開けずに、男の怒鳴り声を聞き続けました」

 すると、突然背後からパトカーのサイレン音が鳴り響く。警察官が駆け寄ってきたのだ。どうやら、コンビニの店員が状況を見て通報をしたようだったと高島さん。

「男は警察官にも突っかかり、最終的にはその場で取り押さえられました。私は警察官にあおり運転の詳細を説明し、ドラレコの映像を提供しました」

 周囲には野次馬も集まり、男性は恥ずかしそうに顔を隠していたそうだ。

「コンビニの店員からは、『あの人、ここら辺では有名な“問題児”で、よくあおり運転をしてる』と言われました」

 今回は警察のおかげで無事に解決したものの、高島さんは“あおり運転の恐ろしさ”を実感し、心底恐怖を感じた出来事だったと話した。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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