今年最後の中央競馬が12月28日に開催される。メインレースとなるのは、2歳GIのホープフルS(中山・芝2000m)だ。
昨年の覇者レガレイラが先週行なわれたGI有馬記念を勝利。一昨年の勝ち馬ドゥラエレーデはGIチャンピオンズCで2年連続3着と好走し、2019年のレースを制したコントレイルは三冠馬となるなど、ここで上位を争った馬の多くがその後の大舞台でも活躍。のちの出世馬を輩出する一戦として、年々その注目度は増している。
2017年にGIに昇格して今年で8回目。過去7回の1番人気の成績は5勝と、その信頼度は相当高い。
そして今年、1番人気が予想されているのは、前走で出世レースのGII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)を快勝し、デビュー2戦2勝のクロワデュノール(牡2歳)だ。その戦績からして、今回も1番人気に推された同馬が勝ち負けを演じる確率はかなり高そうだが、研究ニュースの藤田浩貴記者はそうした世間の見立てには首を傾げる。
「大器と評され、圧倒的な支持を集めるクロワデュノールですが、過去2戦はともにすんなりした競馬しかしていません。気性的な難しさを内包する母系からして、今回初めて経験する多頭数の競馬には不安が募ります。ポテンシャルの高さは認めますが、ここではつけ入る隙が十分にあると見ています」
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1番人気が強いレースとはいえ、一昨年の2022年には人気馬が総崩れ。3連単では200万円超えの高額配当が飛び出している。もし藤田記者が懸念するとおり、クロワデュノールが馬群に沈むようなことがあれば、一昨年並みの"大波乱"があってもおかしくない。
はたして、年末にビッグなボーナスを手にするチャンスは訪れるのだろうか――藤田記者はそんな夢を叶えてくれそうな2頭の穴馬候補をピックアップした。
1頭目は、デビュー戦を勝ち上がったばかりのジュタ(牡2歳)だ。
「セレクトセールで3億2000万円という高値で取引された良血馬です。新馬戦(11月24日/東京・芝1800m)では発馬こそひと息でしたが、スッと行き脚がついて好位のポケットに収まって追走。道中の折り合いもスムーズで、最後の直線では逃げ馬の外に出してラクに抜け出す完勝劇を披露しました。
馬体重が500kgを超える大型馬。それゆえ、戦前には速い上がりに対応できるか不安視されていましたが、その点にも難なく対応できたことは収穫だったと思います。
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この中間は、一度レースを使われたことで馬体のシルエットが良化。1週前の追い切りでは鞍上の坂井瑠星騎手が騎乗し、Wコースで80秒3−11秒0と好時計をマーク。抜群の動きを見せて、初戦からの上積みは絶大といった感じです。
スケールの大きさはこのメンバーに入っても引けを取らず、結果次第では一気にクラシック戦線の中心に名乗りを上げる可能性も大いにあります」
藤田記者が推奨するもう1頭は、アスクシュタイン(牡2歳)だ。
「新馬戦(7月14日/函館・芝1800m)、オープン特別のコスモス賞(8月11日/札幌・芝1800m)と連勝するも、その後に挑んだGIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)では7着。3回目の競馬で気持ちが高ぶって、力み加減の走りになっていました。
勝った2戦同様、先手を奪って主導権を握ったものの、向正面で他馬に早めにつつかれて厳しい展開に。息が入らず、直線ではガス欠となって、そのまま失速してしまいました。
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スピードが身上のタイプゆえ、道悪も堪えた印象でした。そういう意味では、札幌2歳Sはいくつかの要因が重なっただけ。力負けではなく、その一戦の敗戦だけで悲観することはないと思います。
今回はおよそ4カ月ぶりの競馬となりますが、この中間は放牧を挟んで心身ともにリセット。帰厩後は落ちついた雰囲気で、順調に乗り込みを重ねていました。
1週前には、レースで手綱を取る横山武史騎手が栗東まで駆けつけて、コンタクトを取って好感触を得ていました。テン乗りでもタイプ的には合いそうな脚質。馬場コンディションのいい今の中山も味方しそうで、同型をうまくさばければ、残り目は十分にあると見ています」
来春のクラシックを占ううえでも注目の一戦。再び人気馬が強さを発揮するのか、あるいは、思わぬ伏兵の激走があるのか。後者であれば、ここに名前が挙がった2頭の台頭があっても不思議ではない。