傷だらけのお顔が綺麗になり、人間に甘えることも好きになってくれた――。愛猫の風太くんを愛でるたび、その変化を嬉しく思うのは飼い主・もふもふの家さん(@mofumofunoie)。
【写真】腕や首に傷が…痛々しい状態だった猫さん 心配のあまり保護を決意しました
「普段はのんびりしていて“休日のおじさん”にしか見えないのに、お気に入りのおもちゃで遊ぶ時は俊敏。ちゃんと猫なんだなって笑っちゃいます」
地域猫へのご飯タイムに“見知らぬ野良猫”が参加
自宅の敷地内で地域猫(※特定の飼い主がおらず、地域住民が協力してお世話している猫)にご飯をあげていた飼い主さん。風太くんは2020年頃、その食事会に参加し始めました。
外猫だった風太くんはご飯を食べに来たり来なかったりと、気ままに飼い主さん宅に現れていたそう。
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その後、数カ月ほど見かけない時期があり、久しぶりに再会すると、腕に傷が…。心を痛めた飼い主さんは化膿を心配し、自宅にあった猫用の抗生剤にちゅーるをつけて与えました。
先住猫がいたことから保護は迷いましたが、数日後、再び会った風太くんの首に噛み傷ができ、酷い状態になっていたことから覚悟を決意します。
「暑くなってくる時期だったので傷が膿んでしまったら…と心配になり、夫に相談して保護を決めました」
捕獲は、動物病院で去勢手術の予約が取れた日に決行。手術時には怪我の状態も診てもらいました。
幸い、怪我は大事には至るものではありませんでしたが、血液検査で猫エイズキャリアであることが発覚。同居猫と接触しないよう、傷が塞がるまでケージで過ごしてもらうことになりました。
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こたつに引きこもる“家庭内野良猫”だった3年間
飼い主さんにとって、成猫の保護は風太くんが初めて。家慣れまでにかかる時間や先住猫と関係性など、不安なことはたくさんありましたが、風太くんの心を最優先にして家慣れを進めていきました。
「傷が塞がった後は、目の届く時だけケージの扉を開放していましたが警戒し、しばらくケージから出てきてくれませんでした」
人馴れも、風太くんが困惑しないペースを厳守。風太くんは外猫時代から頭を撫でさせてくれることはあったものの、時には威嚇や猫パンチをされることも。お迎え後もすぐに触ることはできませんでしたが、飼い主さんは焦らず交流を深めていきました。
そうした温かい気持ちが伝わったのか、やがて風太くんは少しずつケージから出てくるように。行動範囲は、どんどん広くなっていきました。
家猫となった風太くんが特に心を奪われたのは、ニャン生初のこたつ。居心地の良さを知り、こたつに引きこもる“家庭内野良猫”になりました。
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そんな生活が3年ほど続いた、2024年の夏。飼い主さんは風太くんを思い、夏でもこたつに薄い掛布団をかけていましたが、思い切って布団を撤去してみることに。
すると、“こたつ猫”だった風太くんの行動が変化。部屋の中でくつろいでくれるようになりました。
「ソファー型の爪研ぎがお気に入りになり、触れる時間も増えたんです。距離間もグっと近くなりました」
旦那さんとのお喋りを楽しむ穏やかな日々
風太くんは現在、10匹の同居猫と生活中。人間に甘えることや自分の意志を訴えることを覚え、マイペースな日々を送っています。
「我が家の子たちは臆病で神経質な子ばかりなので新入り猫ちゃんは威嚇され、受け入れるまでに時間がかかるのですが、風太は同居猫に一度も威嚇をし返しませんでした」
大家族であるからこそ、飼い主さんは爪研ぎやトイレ、水飲み場を多く設置し、一部のクローゼットも開放するなどして、猫たちが少しでも快適に暮らせるように工夫しています。
風太くんが好きなのは、旦那さんとのお喋り。その光景を見るたび、飼い主さんは「私が呼んでも返事すらしてくれないのに…」と、嫉妬をします。
「エイズキャリアだし、年齢も不明なので、あとどのくらい一緒にいられるか分かりませんが、のんびりマイペースに少しでも長くニャン生を過ごしてくれたら嬉しい」
たくさん傷つきながらも、優しい性格のままでいてくれた風太くん。ありのままで愛される穏やかな日々が、これからも長く続きますように。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)