「Xiaomi 14T Pro」と「AQUOS R9」のカメラや使い勝手を比較 重視するのは性能か、安心感か?

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2024年12月29日 17:21  ITmedia Mobile

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見た目は落ち着いたデザインの「Xiaomi 14T Pro」

 日本は「ライカ」を冠するスマートフォンが複数発売される、世界的に見ても異例の地域だ。今回は11月末に発売されたXiaomi 14T Proと7月に発売されたAQUOS R9を取り上げる。両機種ともライカのカメラを搭載した10万円前後のモデルであり、立ち位置が似ている。カメラの画質や使い勝手を中心に比較していく。


【その他の画像】


●「Xiaomi 14T Pro」と「AQUOS R9」の基本スペックをチェック


 まず、両機種のスペックをチェックしていこう。Xiaomi 14T Proは中国Xiaomiのハイエンドスマートフォン。標準カメラ、超広角カメラ、望遠カメラを合わせた計3つカメラを備えており、レンズはライカの「ズミルクス」を冠した高品質なものを採用する。


 広角カメラには1/1.31型の大型イメージセンサー「Light Fusion 900」を採用し、光学式手ブレ補正を備える。超広角カメラは1200万画素、望遠カメラは5000万画素の2.6倍望遠(35mm換算で60mm相当)を備える。


 カメラ以外のポイントはプロセッサにMediaTek Dimensity 9300+を採用し、12GBのメモリを備える。ストレージ容量は256GBまたは512GBを選択できる。Dimensity 9300+はSnapdragon 8 Gen 3と同世代のMediaTek製のフラグシッププロセッサであり、基本性能はかなり高い。


 画面は6.78型のフルHD+解像度(1220×2712ピクセル)、ピーク輝度4000ニトの明るい画面を備える。144Hzのリフレッシュレートにも対応しており、動きの速いコンテンツにもしっかり対応できる。この他、IP68等級の防水性能や120Wの急速充電機能、AIによる画像生成や翻訳機能を備えるなど、この冬に登場するハイエンドスマートフォンらしい高いスペックを有する。Xiaomiオンラインストアでの価格は12GB+256GBモデルが10万9800円(税込み、以下同)。


 AQUOS R9はシャープが7月に発売したスマートフォンだ。本機種は広角カメラ、超広角カメラの2つを備え、レンズはライカの「ヘクトール」を冠したものを採用する。広角カメラには1/1.55型のイメージセンサーを採用し、以前より熱望されていた光学式手ブレ補正も備えた。AQUOS R8の後継にあたる存在なので、超広角カメラも備える。こちらも5030万画素のものが採用されている。


 プロセッサにはSnapdragon 7+ Gen 3を採用し、12GBのメモリと256GBのストレージを備える。Snapdragon 7+ Gen 3はミッドレンジの中では最も高性能なプロセッサであり、基本性能は2023年モデルのハイエンド機に匹敵する高い性能を有している。


 また、ハイエンド機では珍しくなったmicroSDスロットを備えており、容量の拡張が容易に行える。世界的にみてもこのクラスのスマートフォンでmicroSDが利用できる機種はかなり少数だ。


 画面は6.5型のフルHD+解像度、ピーク輝度2000ニトの構成。AQUOSらしく240Hzの滑らかスクロールにも対応し、吸い付くようなタッチ操作も魅力。IP68等級の防水性能に加え、MIL-STD810Hも取得するなど、より安心して使えるスマートフォンへ進化した。シャープ直販、COCORO STOREでの価格は9万9880円。


●カメラはハードウェアの差が出るものの、画質の雰囲気は似ている


 ここからはXiaomi 14T ProとAQUOS R9で撮影した写真を見比べていこう。両者ともオートで撮影しているが、Xiaomi 14T Proには多彩な撮影モードがあるため、今回は一般的なスマートフォンのチューニングに近い「Leica Vibrant」の設定で撮影している。


 同じライカコラボのスマートフォンでも、AQUOS R9の方がややビビッドなチューニングの印象。いくつか撮影してみたところ、意外にも撮影した際の雰囲気はXiaomi、シャープ共に近いものを感じられる。


 それでも、被写体をクッキリと写し出すXiaomiと“やわらかい表現”で演出するシャープという違いが感じ取れる。これには冠するレンズがXiaomiは「ズミルクス」に対し、AQUOSは「ヘクトール」という違いもあるだろう。


 花の写真では両者のハードウェアスペックの差が現れた。「自然なボケ感」では過去に紹介した1型センサーを採用するXiaomi 14 Ultraが優位だったが、Xiaomi 14T Proではセンサーサイズもひと回り小さくなったことで過度なボケ感はなくなった。それでも、Xiaomi 14T Proの方がメインカメラの性能は一枚上手であり、暗い場面や細かいディティール描写に対応できる。


 超広角カメラはAQUOS R9が5000万画素なのに対しXiaomi 14T Proは1200万画素。画角はAQUOS R9の13mmに対してXiaomi 14T Proが14mm。基本性能の差もあるため、より広くきれいに収めたい場合はAQUOS R9の方が優れている。


 望遠のシチュエーションでは、別途望遠カメラを備えるXiaomi 14T Proが優位だ。AQUOS R9では物理的に撮影が難しいシチュエーションなだけあって、ここに魅力を覚える人は迷わずXiaomi 14T Proを検討した方がいいだろう。


 多彩な撮影モードやマニュアルモードでの「追い込み」を求めるならXiaomi 14T Proをおすすめしたい。Leica VibrantとLeica Authenticの2つのモードに加え、多種多様なフィルターを利用できる。秘めた撮影表現を広げられる。


●パフォーマンスで選ぶならXiaomi 14T Pro、長く安心して使うならAQUOS R9


 前回比較したAQUOS R9とXiaomi 14 Ultraでは「カメラだけ」ならXiaomi 14 Ultraが圧倒的に優位と結論付けた。今回のAQUOS R9に近い価格帯のXiaomi 14T Proを用いた比較では、機能面もグッと近いものとなり、正直なところ「選ぶのが悩ましい」と評価するくらい拮抗(きっこう)している。


 カメラについては、どちらもライカのエッセンスを十分に感じられ、高いクオリティーに仕上がっていると評価したい。強いていうなら、より大型のセンサーと望遠カメラを備えるXiaomi 14T Proの方が「カメラ」としてみたときの満足度は高い。


 基本性能はDimensity 9300+を採用するXiaomi 14T Proの方が高い。Snapdragon 7+ Gen 3を採用するAQUOS R9も十分高性能だが、余裕があるのはXiaomi 14T Proの方だ。ゲームなどで遊ぶ機会が多い方はXiaomi 14T Proの方がより快適に遊ぶことができる。


 ソフトウェア面ではXiaomi HyperOSによるメーカー独自のギャラリーアプリなどを備えているので、画像編集などでは優位。Xiaomiのライカ共同開発スマホではおなじみのアートフレームも付けることができ、AIを用いた編集機能も利用できる。


 Xiaomi 14T Proの利点として、120Wの超急速充電に対応している。朝食を準備する間など、ほんの20分程度の時間でフル充電ができるため、筆者も急いでいた場面で何度も助けられたことがある。


 これに加えてワイヤレス充電にも対応しており、使い勝手も前世代機から向上した。普段の生活にこのようなスマートフォンが浸透すると、もう他の機種に乗り換えることは難しくなるくらい、生活に変化の生まれる機能だ。


 端末サイズやデザインは好みの世界だが、サイズはAQUOS R9の方が一回り小さく、ディスプレイも6.5型と小さい。また、AQUOS R9は電源キー一体型の指紋認証、Xiaomi 14T Proはディスプレイ内指紋認証という違いもある。このあたりは体感的に大きく異なるので、店頭で実機を確認してほしい。


 AQUOS R9の利点は、安心して使える要素が多いことだ。おサイフケータイ(FeliCa)の対応はもちろん、日本での支持が強いmicroSDが使えるハードウェア的な利点を持つ。IP6X、IPX5/IPX8の防水・防塵(じん)だけでなく、MIL-STD 810-H(16項目)を取得しており落下や低温環境といった場面でも安心できる。


 ソフトウェアも「簡単モード」をはじめとした利用者のニーズに応える機能を多く備えている。3回のOSアップデート、4年間のセキュリティアップデート提供も公表している点も長く安心して使える要素だ。


 ソフトウェアアップデートの回数や提供年数について、Xiaomi 14T Proは記事執筆時点で公表されていない。AQUOS R9がこの点をしっかりアピールしているため、長く安心して利用できるかという視点ではAQUOSの方が優位に立つと考える。


 AQUOS R9は家電量販店やECサイトをはじめとしたオープンマーケットに加え、ドコモ、ソフトバンクでも取り扱いがある。ケースや画面保護フィルムなどもAQUOS認定品を中心に数多く展開されており、家電量販店でも購入できる。購入後のサポートを考えて通信キャリアで販売されるAQUOS R9を狙うのもアリと考える。


 一方でXiaomi 14 Ultraで課題とした普段使いの要素や販路は、Xiaomi 14T Proで改善してきた。おサイフケータイ(FeliCa)の対応はもちろん、IP68等級の防水も備えており、普段使いしやすくなった。販路もオープンマーケットに加え、通信キャリアではソフトバンクが取り扱う。加えて、オープンマーケット向けにはより大容量の512GBモデルも展開するなど、選択肢が広がった。


●性能の差か? 価格はXiaomi 14T Proがやや高い


 最後に価格を見ていこう。Xiaomi 14T Proはソフトバンク向け(12GB+256GB)が12万4560円。オープンマーケット向けモデルはメーカー直販でメモリ12GB+ストレージ256GBの価格が10万9800円だ。これに対しAQUOS R9(12GB+256GB)はキャリアモデルが11〜12万円前後に設定されており、オープンマーケット向けモデル(12GB+256GB)はシャープ直販の9万9880円が安い。


 スペックが高い分、価格もXiaomi 14T Proの方がやや高いが、「日本で使うスマートフォン」として見ると、シャープの方がバランスがよい。microSDスロットや耐衝撃機能といった日本向けの機能が充実しており、単純にスマートフォンとして使いやすい。


 SNS上でもAQUOS R9について「microSDスロットがうれしい」「耐衝撃もあって安心」という声が散見されるなど、ライカ監修カメラ以外の要素でしっかりニーズに応えている。


 そんなライカのカメラを冠するこの2機種は予算や通信キャリアはもちろん、スマートフォンにおいて重視するものが「カメラ」なのか、「普段使いのバランス」なのかで大きく変わってくる。普段使いでも「カメラ性能」「スペックの高さ」に重きをおくのであればXiaomi 14T Proを、日本での「使い勝手のよさ」「長く安心して利用する」に重きをおくのであれば、AQUOS R9を選択するといいだろう。


●著者プロフィール


佐藤颯


 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。


 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。


・X:https://twitter.com/Hayaponlog


・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/



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