
ハッカーと言えば、攻撃者のイメージだが、攻撃者目線でシステムのセキュリティの弱点を洗い出す「ホワイトハッカー」(倫理的ハッカー)もいる。ホワイトハッカーは多様なスキルを生かせる仕事であるため、セキュリティ分野において魅力的なキャリアパスの一つだ。ホワイトハッカーになるには、どうすればいいのか。倫理的ハッキングに欠かせない知識やノウハウを身に付けられる、“ホワイトハッカー認定資格”とその学習コースを紹介しよう。
●ホワイトハッカー認定資格
1.Offensive Securityの「PEN-200 Penetration Testing with Kali Linux」
Offensive SecurityのPEN-200 Penetration Testing with Kali Linux(PEN-200)は、同社ペネトレーション(侵入)テスト認定資格「OSCP」(Offensive Security Certified Professional)を取得するための学習コースだ。倫理的ハッキングの技術について高度なスキルを得られるという。
|
|
PEN-200では、「ホワイトハッカーの考え方」や「既成概念にとらわれない考え方」「失敗しても諦めない方法」などを学ぶ。技術面では、内部ネットワークをはじめとしたインフラに重点を置いている。PEN-200はハッキング可能なシステムをそろえた実験室を用意し、特権昇格やラテラルムーブメント(攻撃拡大)の手法について学習できる。
OSCPの試験は合格ハードルが高いと言われている。ホワイトハッカーを目指す人は不合格を恐れず、挑戦してみるとよい。ただし、数カ月間にわたり試験勉強に没頭する覚悟が必要だ。受験に当たり、以下の知識や経験が推奨される。
・「TCP/IP」の知識
・TCP/IPとは、インターネット通信プロトコル「TCP」(伝送制御プロトコル)と「IP」(インターネットプロトコル)を中核としたプロトコル群
「Windows」と「Linux」を使ったシステムの管理者経験
|
|
LinuxなどUNIX系OSのシェル「Bash」や、プログラミング言語「Python」の経験
●2.GIACの「GIAC Web Application Penetration Tester」 (GWAPT)
Escal Institute of Advanced Technologies(SANS Instituteの名称で事業展開)が提供する認定資格GIACのGWAPTは6日間の学習コースだ。主に、Webアプリケーションのペネトレーションテスト技術を学べる。そのため、GWAPTでは、インフラ中心のPEN-200とは違う知識の取得が可能だ。
GWAPTの学習内容はSANS Instituteの認定資格「SEC542: Web App Penetration Testing and Ethical Hacking」に基づいている。Webアプリケーションのセキュリティ強化を推進するコミュニティー「OWASP」(Open Web Application Security Project)による攻撃防止手法もカバーする。GWAPT試験の内容は以下の通りだ。合格には71%以上の点数が必要になる。
・セキュリティ情報の収集
|
|
・保護対象の検出
・各種攻撃の手法
・インジェクション攻撃:アプリケーションに不正コードを注入して実行させる攻撃
・XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃:Webサイトに不正スクリプトを埋め込む攻撃
・SSRF(サーバサイドリクエストフォージェリー)攻撃:侵入したサーバから他のサーバに入り込む攻撃
・XXE(XML外部実体攻撃とも)攻撃:マークアップ言語「XML」を悪用して不正の外部ファイルを読み込ませる攻撃
・CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)攻撃:正規のユーザーになりすまし、Webサイトに不正なリクエストを送って実行させる攻撃
ペネトレーションテスト実行方法
●3.ISC2の「Certified Information Systems Security Professional」(CISSP)
ISC2(International Information System Security Certification Consortium)のCISSPは倫理的ハッキングというよりも、セキュリティ全般についても学べる。そのため、倫理的ハッキングに必要なスキルも取得できる。CISSPは以下の領域をカバーしている。
・リスクマネジメント
・IT資産のセキュリティ
・セキュリティのアーキテクチャとエンジニアリング
・ネットワークセキュリティ
・IDとアクセス管理
・脆弱(ぜいじゃく)性評価やコンプライアンス(法令順守)チェック
・セキュリティ運用
・ソフトウェア開発におけるセキュリティ
CISSPを受験するには、上記領域のうち、少なくとも2つで5年の実務経験が求められる。CISSPの試験は125〜175問の選択式問題で構成され、時間は4時間。合格に必要な点数は70%以上だ。
※本記事は米Informa TechTargetの記事を翻訳・編集したものです。