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社長輩出率トップは「徳島県」。そんな結果が、東京商工リサーチの調査で分かった。人口比1.35%(前回1.35%)と、7年連続で1位を獲得。同社は「阿波商人の気質を受け継ぐ県民性に加え、近畿圏との活発な交流を反映したとみられる」と分析している。
●社長輩出率が最も低いのは「埼玉県」 東京都は?
この調査では、都道府県別に社長の「輩出率」(社長数/人口)を算出している。徳島県は近畿圏に面し、古くから商業や文化の結び付きが強い。産業や観光・文化などの振興が目的の「関西広域連合」に、四国で唯一加わっているのが特徴だ。
2位は「山形県」で1.14%(前回1.15%)、3位は「香川県」で1.08%(同1.09%)、4位は「秋田県」で1.03%(同1.05%)、5位は「愛媛県」で0.99%(同1.00%)だった。10位以内に四国4県、東北4県が入っている。
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一方、社長輩出率が最も低いのは「埼玉県」で0.26%(同0.26%)だった。46位が「千葉県」で0.27%(同0.27%)、45位が「神奈川県」で0.32%(同0.33%)、42位が「東京都」で0.50%(同0.50%)と、首都圏が下位に集中している。その他、44位に「滋賀県」で0.36%(同0.37%)、43位に「兵庫県」で0.45%(同0.45%)と、近畿勢が並んだ。
地区別の社長輩出率では「四国」が1.06% (前回1.07%)で、調査を始めて以来11年連続で首位を守った。2位以下は「東北」が0.88%(同0.89%)、「北海道」が0.86%(同0.87%)、「中国」が0.79%(同0.80%)、「北陸」が0.74%(同0.76%)と続き、順位の変動はない。
2024年の社長の平均年齢は63.7歳(東京商工リサーチ調べ)だった。この社長たちが生まれた1960年の人口と、2024年の人口を比較すると、埼玉県は243万人から737万人、千葉県は230万人から631万人、神奈川県は344万人から920万人、滋賀県は84万人から141万人、兵庫県は390万人から542万人と、いずれも大幅に人口が増えている。他県からの転入者を含めた人口増加が、社長輩出率の低下に影響しているようだ。
●出身都道府県と「本社所在地」の関係は?
社長の出身都道府県と本社の所在地が同一の地元率を調べると、「沖縄県」が92.4%(前回92.5%)と11年連続でトップとなった。47都道府県のうち、唯一90%台を維持している。同県内産業の中核は「3K」(観光、公共事業、基地)で、離島という地理的要因もあり、他県からの移住よりも、地元出身者による起業が多い傾向にあるようだ。
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2位は「愛知県」で88.7%(前年89.0%)、3位は「広島県」で87.2%(同87.3%)、4位は「北海道」で86.9%(同87.1%)、5位は「香川県」で85.9%(同85.9%)だった。各県とも高い地元率を維持している。愛知県や広島県は、自動車産業の集積地として取引先や関連企業が広がり、下請け企業の後継社長が地元率を押し上げた可能性がある。
一方、社長地元率の最下位は「奈良県」で64.1%(前年64.9%)だった。その後は「長崎県」で66.2%(同66.5%)、「兵庫県」で67.0%(同67.6%)、「佐賀県」で69.0%(同68.8%)、「山口県」で69.4%(同69.2%)、「鹿児島県」で69.4%(同69.5%)、「千葉県」で69.9%(同70.2%)と続き、7県が70%を下回った。
東京商工リサーチは社長の輩出率や地元率に関して、人口動態や地場産業などが影響していると分析。少子高齢化や大都市圏への若者の流出により、都市部の地元率は今後、低下する可能性が高いとみている。後継者不在の中小企業においては、M&Aや事業譲渡などの第三者承継が進み、それに伴い社長の地元率にも変化が生じると予測した。
調査は同社の企業データベース約400万社の代表者データ(個人企業を含む)から、公開された出身地を抽出、集計した。なお、同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高が大きい企業を優先し、重複企業は集計の対象外としている。集計対象外企業は31万6489社。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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