北九州中3殺傷　男子生徒を刺した直後に女子生徒を襲ったか

殺人容疑で再逮捕へ

　北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件で、男子生徒（15）に対する殺人未遂容疑で逮捕された無職の平原（ひらばる）政徳容疑者（43）が、男子生徒を刺した直後に女子生徒（15）を襲ったとみられることが捜査関係者への取材で判明した。女子生徒は腹を刺されて死亡しており、福岡県警は勾留満期の9日にも女子生徒への殺人容疑で平原容疑者を再逮捕する方針。

　事件は2024年12月14日午後8時25分ごろ、小倉南区徳力（とくりき）1の「マクドナルド322徳力店」で起きた。レジの列の最後尾に並んでいた男子生徒は腰を刺され、深い傷を負って一時入院した。腹を刺された女子生徒は失血のため亡くなった。

　捜査関係者によると、2人は塾などの帰りに同店に立ち寄った。一方、平原容疑者所有の黒のワンボックス車が事件前、店舗近くを往来しており、2人の入店とほぼ同時刻に店舗駐車場に入ったことが防犯カメラ映像などから判明していた。駐車位置は窓から店内が見える場所だった。

　十数分後、2人がレジに並んで間もなく車から1人が降車し、店内に向かった様子も映っており、直後に事件が起きた。列の前方には別の4人が並んでいたが、いずれも素通りして2人を襲い、容疑者の入店から逃走まではわずか十数秒だったという。

　ただ、男子生徒は「全く知らない人に刺された」という趣旨の説明をしており、県警も2人は平原容疑者と面識はなく、全く落ち度はなく突然襲われたとの見方を強めている。県警は黒のワンボックス車から血の付いたナイフ（刃渡り約10センチ）を押収しており、凶器とみて、2人を襲った動機を追及している。

　平原容疑者は殺人未遂容疑については認めているが、取り調べ中に声を荒らげることもあるという。県警は平原容疑者の刑事責任能力に問題はないとみているが、検察は公判を見据え、鑑定留置も検討するとみられる。【河慧琳、井土映美】