プレミアリーグで今季見ておくべき注目選手たち 水沼貴史のオススメは「チームを支えている存在」

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2025年01月06日 07:20  webスポルティーバ

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プレミアリーグ中間地点のおススメ 選手編

今、世界中から注目を集める、イングランドのプレミアリーグで見逃せない選手は誰か? 試合中継の解説を務める水沼貴史氏にオススメのプレーヤーを教えてもらった。

前編「水沼貴史がおススメするプレミアリーグ注目チーム」>>

【チームの攻守を支えている選手たちに注目】

 今季の注目選手の筆頭と言えば、リバプールのMFライアン・フラーフェンベルフ。アンカーとしてアルネ・スロット監督に見出されて信頼を勝ち取り、首位を独走するリバプールのなかで、いまや欠かせない存在だ。

 彼はアンカーの位置からもっと前へ出ていける選手だと思うが、今は周りの選手とのバランスを見ながら自重している部分もある。チームのスタイル的に縦に速いので、一見全体が間伸びしそうにも見えるが、彼が後ろでバランスを取って守備面でフィルターになったり、攻撃では前線へミドルやロングのパスが出せたりと、彼の総合的な能力は今のリバプールのサッカーには貴重なピースになっている。

 個人的に昔から好きなのが、アストン・ビラのMFジョン・マッギン。見た目は無骨で"ザ・ファイター"という風貌ながらチームの戦術的なキーマンだ。ボランチもやるし、両サイドハーフもやるし、トップ下もやる。そのなかで、相手のキーマンを潰したり、相手を攻略するために「ここにポジションを取って」という場所に動くとか、そういうこともできる選手だ。

 ストライカーやウイングなど、前線で決定的な仕事をする選手にボールを渡すために、チームとしてどうボールを運ぶか。マッギンはそうしたところで必要な選手だと思う。チャンスメイクの1つ、2つ前のところで「この選手いいところにいたよね」と、そういう目立たないけれどチームとして重要な仕事ができるマッギンのような選手は、監督としては非常にありがたい存在だ。

 FWアーリング・ハーランドやFWジェレミー・ドク(ともにマンチェスター・シティ)などは見ていてすごさがわかりやすく、そう言った選手たちを見て「やっぱすげえ!」と楽しむのもプレミアリーグの醍醐味だが、マッギンのようなチームを支えるいぶし銀のプレーにも注目してもらいたい。

 注目チームでも取り上げたが、ノッティンガム・フォレストのDFムリーリョというセンターバックも非常に面白い存在だ。なにより他のプレミアのチームのセンターバックたちと比べて体格が異質。体の横幅が広くて、一見、シニアリーグの選手がひとり混ざっているかのよう。

 けれど、シュートブロックと左足のビルドアップ能力に優れていて、隣でプレーする相方のDFニコラ・ミレンコビッチと非常にいいコンビネーションを見せる。見ていて楽しい選手なので、その異質な存在感を堪能してもらいたい。

【10代で活躍する選手たち】

 注目の若手選手では、アーセナルの17歳のMFイーサン・ヌワネリと18歳のMFマイルズ・ルイス・スケリーという10代コンビは目が離せない。アーセナルという戦術的に高いレベルを要求されるチームのなかで、ノッキングせずにしっかりとこなせており、技術はもちろん、メンタル面も非常にタフなふたりだ。

 ヌワネリは今季、すべて途中出場ではあるが、リーグ戦ですでに10試合以上出場して、ノッティンガム・フォレスト戦では初ゴールも記録した。まずMFマルティン・ウーデゴールに代わって途中交代で出てくるというだけで、一目置かなければいけない存在だと思う。ミケル・アルテタ監督の期待の大きさも非常に感じる。

 ウーデゴールが華麗にかわしていくタイプとしたら、ヌワネリはちょっとゴリゴリといくタイプ。テクニックはもちろん高いけど、力強さも感じる。現時点でもスーパーな能力を持っていると思うが、プレーエリアが狭いなかで、どうスペースを見つけ、パスを受けられるかというところが向上すれば、さらに手がつけられない存在になるはず。

 ルイス・スケリーは非常に賢い選手で、戦術理解度が高い。サイドバックでプレーして、ボール保持時にインサイドに入ってウイングを開かせるというポジションの取り方は、決して簡単ではない。立っているだけなら簡単だか、大事なのはそこでボールを受けてパスをつないだあとに何をするか。

 サポートするのか、ウイングに対してオーバーラップか、アンダーラップをかけるのか。そこの判断がちゃんとできていて、チャンピオズリーグのモナコ戦のアシストのように、鋭い縦パスを出せたり、プレッシャーをかけられてもかわすテクニックがある。さらにそのあとの判断力もある。この年齢ではそんな簡単にはできない。今季を通じて、ふたりがどれだけ躍動し、大きく成長するか楽しみにしたい。

【GKに注目するだけでも十分に楽しめる】

 ニューカッスルのFWアレクサンデル・イサクは、今季のストライカーのなかで存在感を示しているひとりだ。長身でスピードがあって、突破力もある。なおかつあの細身でしなやかな身体からパンチ力のあるシュートが打てるのが驚きで、非常に魅力的だ。

 ニューカッスルにはMFアンソニー・ゴードンのようなクロスの精度が高い選手がいて、イサクはそのクロスにヘディングで合わせるのも得意で、なんでもできるストライカーになってきた印象を受ける。以前は線の細さからひ弱さを感じることもあったが、ニューカッスルというパワフルなチームで揉まれたことで今は力強さすら感じる。

 今季もすでにふたケタ得点に乗せていて、昨季のシーズン21得点というキャリアハイを更新する勢いだ。さらなるビッグクラブへのステップアップも注目され、今後ますます目が離せない存在になりそうだ。

 最後は注目選手というわけではないが、プレミアリーグのGKは非常にレベルが高くて面白い。リーグ全体のGKのクオリティは世界一ではないかと思う。

 リバプールはアリソンが2カ月離脱している間を、セカンドGKのカオイムヒン・ケレハーが遜色ないパフォーマンスでその穴を埋めた。チェルシーのロベルト・サンチェス、アーセナルのダビド・ラヤもハイレベルで安定しているし、マンチェスター・シティで不動だったエデルソンもシュテファン・オルテガにポジションを明け渡すことも増えてきた。

 そのほかにもトッテナムのグリエルモ・ヴィカーリオやマンチェスター・ユナイテッドのアンドレ・オナナ、アストン・ビラのエミリアーノ・マルティネス、エバートンのジョーダン・ピックフォードなど、世界トップクラスのGKがゴロゴロいる。GKのプレーに注目するだけでも、十分に楽しめるのが今のプレミアリーグだ。

 日本代表の鈴木彩艶(パルマ)や小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)もポテンシャルは非常に高いと思うので、いつか日本人GKもこの最高峰のリーグに挑戦する日が来てほしいと期待している。

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