1日のなかで時間をかけている行動といえば、睡眠です。日々寝るために何時間も使っているのに、当たり前のように寝ているので睡眠について深く考える機会は少ないかもしれませんね。そこで今回は寝具でお馴染みの西川株式会社で、スリープマスターをされている田中大地さんから、睡眠についてお話を伺いました。スリープマスターは睡眠科学や快眠環境などの専門講習を受けた眠りのプロフェッショナル。日々の睡眠のためになる専門的な話を聞けました。
赤ちゃんや幼児の寝具選びが難しい。どう選ぶ?
――寝具は毎日使うものですが、どう選ぶのがいいのか意外とわからないものです。一般的な家庭で、子どもの寝具を選ぶ場合、そのポイントは何でしょうか?
スリープマスター田中大地さん(以下、田中さん):寝具の選び方は、子どもの年齢によって異なります。赤ちゃんのときは、かための敷き布団を選ぶといいですね。一般的に「ベビー寝具」と呼ばれるものです。赤ちゃんは寝返りが上手にできないので、やわらかい敷き布団では顔が埋もれてしまい、窒息の危険性があるからです。かけ布団は保温ができること、汗や湿気を吸って発散してくれるものが適しているでしょう。保温という意味では、スリーパーを使うのがおすすめです。スリーパーは着る布団のようなイメージで、使われている素材ごとに種類があるので季節に応じて選ぶこともできます。実は私には9ヶ月になる娘がいるのですが、まさに寝返りが多くなっています。秋から冬にかけての季節は特に保温が必要ですから、スリーパーを使っていますよ。
――幼児の寝具はいかがですか?
田中さん:幼児になるとだんだん大人の睡眠パターンに近くなっていきます。眠りを誘う働きのあるメラトニンは1〜5歳が一生の内で最も多く分泌されるので、この時期しっかり眠ることはとても重要です。でも布団で寝るときは、まだまだ窒息の危険があり、さらに幼児の骨や筋肉は未発達のため、健やかな発育のためにも敷き布団には体をしっかりとサポートするかたさがあることが大切になってきます。かけ布団は、保温性を考えて季節に合わせて変えていきます。
6年間で体格が大きく変化する小学生。寝具選びで大切な2つのこと
――小学生の寝具選びはどうすればいいでしょうか?
田中さん:個人差はありますが、小学校入学から卒業まで体重が約2倍、身長は約1.4倍になると言われています。6年間でこれだけの大きな成長があるので、寝具も対応させることが重要になってきます。敷き布団で考えたいのは、バランスよく体圧を分散させる「体圧分散性」、体のラインを崩さない「寝姿勢保持性」の2つのポイントです。寝ているときの体圧は頭や背中、腰、足などで異なるので、バランスよく分散させることが大切です。そして立ったときの姿勢のまま布団に横になるのが理想の寝姿勢なので、この2つが質のよい睡眠を叶える要素となります。
――具体的にはどのような寝具がいいのでしょうか?
田中さん:少しずつ体が大きくなってくるため、敷き布団がかたすぎると体が痛くなるなど、寝づらさを感じてしまいます。かたすぎず、ある程度クッション性があって、体を優しく受け止めてくれるものが良いでしょう。子どもにも、それぞれ寝やすいかたさがあるので、まずはお店に行って試しに寝比べをしてほしいですね。
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田中さん:そんなことはありませんのでご安心ください(笑)。私たちは自分にあった寝具を選んでほしいという思いで、「まずは試してください」とお客さんに伝えるようにしています。遠慮なく試して「検討します」で帰っていただいてもいいんです。寝具は決して安いものではありませんから、その場でパッと決められるものでもないと思います。私だって悩みますから。まずはお店で新しい寝具を試して、家の寝具との違いを感じていただくことが大切だと思います。自分で納得すれば長く使うことができますから、じっくり考えていただきたいと思います。
編集後記
子どもの寝具は、年齢によって選ぶものが違ってくるようです。特に赤ちゃんや幼児のうちすこやかな発育のためにも、寝具はとても重要になってきます。また6年間で体格が大きく変化する小学生は、まっすぐ立っている姿勢と同じ姿勢になるように体重をしっかり支えられるものがいいそうで、「体圧分散性」と「寝姿勢保持性」が大きなポイントになるとのことでした。
※取材は2024年11月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。
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取材、文・川崎さちえ 編集・ここのえ イラスト・ももいろななえ
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