ダイヤモンド・コンサルティングオフィスはこのほど、セクハラ認識のズレに関する実態調査の結果を発表した。調査は2024年12月4日〜12月12日、職場において、あとになって「自分の言動行為は、セクハラだったかもしれない」と、思い当たる経験のある男女1,000名を対象にインターネットで行われた。
○自分の言動が「セクハラだったかもしれない」と思った理由
職場での言動について、あとになって自分の言動が「セクハラだったかもしれない」と思った理由としては、「時間が経って冷静に考えられるようになった」が33.8%で最も多く、特に男女間で差が開いた項目は「若い人の意識と自分の感覚にズレがあると感じた」だった(男性が女性よりも10.6ポイント高い結果)。
○「セクハラだったかもしれない」と気づいたエピソード
あとになって「セクハラだったかもしれない」と気づいたエピソードには、「後輩女性にお尻を触られ、同じことを返したらセクハラだと言われた」、「単純に自分が受けてきた指導を今の後輩に行うと事案になると気付いた」、「友人との会話で、昔は許されたけど今こんなこと言ったらセクハラだよねという会話になったから」、「ニュース番組を見ていて、このような言動も場合によっては『ハラスメントです』と言われ、自分も過去には同じようなことを言っていた記憶がよみがえってきました」、「研修でハラスメントの例として紹介された」、「退職する子に『頑張ってね』と肩を軽く叩いたが、ボディタッチになると後で気付いた」、「社内で、あとで陰口を叩かれていると知ったこと」といったものが寄せられた。
○セクハラだったかもしれない言動をしてしまった相手
セクハラだったかもしれない言動をしてしまった相手は、全体では「同僚」が約4割に上るが、特に男女間で差が開いたのが「部下」に対してで、男性は女性よりも18.2ポイント高い結果となった。
○なぜそのような言動をしてしまったか
「振り返ってみて、なぜそのような言動をしてしまったと考えますか」と尋ねたところ、「相手が不快に思っている様子が見受けられなかった」(28.7%)、「過去の経験から「これくらいなら問題ない」と思った」(20.3%)などが全体では上位を占めた。特に「相手が不快に思っている様子が見受けられなかった」は、男性が女性よりも15.4ポイント高い結果になっており、認識の差が顕著となった。
○相手が嫌がっていると感じるサイン
相手が「嫌がっているサイン」は、どのように読み取れば良いのか。全体では、「視線を合わせないようになった、または睨まれた」(22.4%)、「その場から離れようとしたり、物理的な距離を取るようになった」(20.6%)、「「忙しい」「予定がある」など、その場をやり過ごす返答をされた」(20.3%)といった言動を嫌がっているサインとして捉えている人が多い結果となり、男女間でも大きな差は見られなかった。
具体的には、「無言」「愛想笑い」「不機嫌な顔をしていた」「態度が冷たくなった」「避けられる頻度が高くなる、嫌味を言われる」「必要最低限の会話に減った時」「無視される」といったエピソードが寄せられた。
○相手が嫌がっていると感じなかった理由
相手が嫌がっていると感じなかった理由を尋ねたところ、「表情が柔らかかったので、そこまで真剣に捉えてないと思った」「笑っていたから」「社交辞令や笑顔混じりだと本心が分かりにくい」「いつものコミュニケーションだと思っていた」「普段と変わらない態度」「過去の経験上問題ないと考えていた」といった回答が寄せられた。
○相手が自分に対して好意を持っていると感じた理由
「相手が自分に対して好意を持っていると感じた」と回答した人に、どのような言動から、そのように感じたか聞いた。特に、職場に限らず、社会人として当たり前の項目で最も男女間の差が開いており、「笑顔で挨拶をしてくれたから」(男性:46.7%、女性:29.4%)が17.3ポイント男性が高いという驚くべき結果が明らかに。他にも、「仕事中によく目が合ったから」(男性:41.7%、女性:26.5%)で、男性の方が15.2ポイント高く好意として捉えている実態があるようだ。
相手が自分に対して好意を持っていると感じた言動エピソードには、「挨拶がとても笑顔だった」「ため口」「よく質問や雑談をしてくれる」「話す時に不快な表情でなかった」「いつも笑って話してくれる」「体調不良のとき心配してくれたから」といったものが寄せられた。
○今後、同様の事態を防ぐための対策
最後に、「今後、同様の事態を防ぐために、どのような点に気をつけようと思うか」質問したところ、、「プライベートな接点を持たない」(30.4%)、「性別に関係なく、適切な距離感を保つ」(30.4%)、「業務上の関係性を超えない」(29.8%)といった項目が上位を占めており、男女間でも認識に大きな差はみられなかった。
○この経験から学んだこと
この経験から学んだことや、今後気をつけたいことを尋ねた。「こちらはコミュニケーションのつもりであっても、相手がそう感じないならば、プライベートな質問はしないことにする」「世代間のギャップを認識する」「相手が笑顔だからといって嫌がっていないわけではないと学んだ」「距離感に気を付けることや、何がハラスメントに当たるのかしっかりと学習をする」「プライベートの話や仕事に関係しない話は避けること」「自分にそのつもりがなくても相手がどう受け止めるかを考えなければいけない」といった回答が寄せられた。(Yumi's life)