2025年は1月4日が土曜、5日が日曜にあたり仕事始めが6日月曜となったところも多い。さらに例年は仕事納めとなる昨年の12月28日は土曜日だったため、前日の27日から休みが始まる“奇跡の9連休”が生まれた。
だが、休みが長すぎる分、緊張の糸が切れてしまったのか退職代行の利用者が急増しているという。退職代行のシステムについて転職エージェント事業を手がける業界関係者が語る。
「退職代行は退職にかかわる手続きの一切を代行できるサービスです。自身で退職届を作成し、業者に送ればその後の手続きを行ってくれます。書類上の事務的な手続きはもちろん、自身の持ち物も返送などの調整も行ってくれます。一般的な相場料金は2〜3万円ほど。お金を振り込めば作業を行ってもらえますので、家から一歩も出なくても退職が可能となります」
「“辞めグセ”が心配で…」
退職後、ハロワークから失業保険を受け取るためには会社から支給される離職票の提出が必要となる。会社側にとっては社会保険や雇用保険などの手続きも必要になる。従業員の退職に関わる手続きは思いのほか多い。退職代行サービスはそれらの一切を代行してくれるものだが、単なる利便性のみで利用されているわけではない。深刻な事情が絡むケースも多いようだ。
実際に退職代行サービスを利用した20代男性のAさんに話を訊いてみた。
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「新卒後にIT企業でSEとして働いていたのですが、とにかく残業が多くて参りました。もっともひどい時には月100時間を超える時も。あとは直属の上司が体育会系のパワハラ気質だったので、とにかく気が合わなかったですね。彼に退職の意向を伝えれば、慰留という名のお説教をされるのは目に見えていたので、退職代行サービスを利用しました。業者はネットで見つけたものですが、驚くほどスムーズにできた印象です。今は同業他社に転職していますが、あまりにも簡単なため“辞めグセ”がついてしまわないか心配になります」
退職代行の業者の中には、1年以内の利用に対して“リピート割引”を実施しているところも。気軽に利用できるため、X上では《退職代行の利用者はブラック社員の典型です。どうせ次の会社でも通用しない。新卒で最初から一人前の仕事が出来るわけないんだから踏ん張れよ》《退職代行が急増?疾病ならやむを得ない。しかしそうでないなら、言いたいことも言えないこのクズども!と言いたい》といった厳しい声も聞かれる。
ただ、年明けに退職代行の利用者が急増しているのは事実。これまで退職代行は、いわゆる“5月病”が生ずるシーズンと重なるゴールデンウイーク明けや、お盆休み明けなどの利用者が多かった。
おめでたいはずのお正月休み明けに退職代行が増えているのは、それだけ世の中が世知辛くなっていることの証左なのかもしれない。
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