連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第82回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
* * *
年末年始、皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか? 今シーズンはカレンダーの並びがよく、12月28日から1月5日まで9連休だったのでのんびりされた方も多いと思います。そんな中、私はゴリゴリ自転車を漕いで配達しておりました。そこで今回は、この年末年始の配達について書こうと思います。
|
|
私がウーバーイーツの配達を始めて行なったのは2018年1月2日。1月1日にライターとしての仕事があり、その翌日から稼働を始めました。以降、2025年のお正月まで、年末年始は本業が入る日以外はほぼ毎日配達しております。
この時期に配達する一番の理由は稼げるから。最近はクエストと呼ばれるボーナスが加わらない限り、1日働いても1万5000円に届きません。ところが年末年始は配達料の単価も注文数も増えるので、効率よく配達できれば2万円を超える日もあります。クエストボーナスを合わせれば週に10万円稼ぐことも可能です。
そういったことから私は年末年始の配達のとりこ。そこで、例年通り高級住宅地の近くにあるちょっと高めのすし店周辺に待機して、新年のご祝儀チップが期待できる配達依頼を待ったり、ウーバーによる配達サービスを行なっているケーキ店の近くで待機してチップが期待できるクリスマスケーキの配達依頼を待ったりしていました。
ところが、この年末年始は配達依頼の傾向が大きく変わりました。
12月24日の朝から1月3日の夜までの間、205回配達して一番多かった店は定番のマクドナルド、クリスマスや年始に注文が増えるケンタッキーフライドチキン、スシローなどでもなく「まいばすけっと」でした。
|
|
まいばすけっとは都心部などに多い、コンビニとスーパーの中間に位置するような店で、イオンが展開するミニスーパー。2024年6月にウーバーイーツの買い物代行サービスであるPPP(ピック・パック・ペイ)がスタートしてから配達依頼がくるようになったお店です。
PPP開始当初、まいばすけっとからの依頼は10時間稼働して1回あるかないか程度の頻度でしたが、この年末年始は10時間で4、5回。多い日は10時間で7、8回ほど依頼が届きました。
特に増えたのは12月28日以降。注文内容は「6缶セットのビールや酎ハイ、ソフトドリンク、お菓子、乾き物」など、みんなでワイワイ楽しんでいるであろう方からのものか、「スポーツドリンク、レトルトのおかゆ、ゼリー飲料」など体調を崩されて外に出られない方からのものでした。
12月31日には「カット白菜、豆腐、長ネギ、肉」といった、すき焼きをやっていて材料が足りなくなったんだろうな、という方からの依頼も3件ほどありました。
まいばすけっと以外のスーパーからもPPPの依頼は多く、PPPのサービスを行なっていないスーパーからの依頼もそこそこありました。以前はウーバーイーツといえば「料理」というイメージがあったと思いますが、最近利用されている方は「いろんなものを配送」というイメージに変わって来ているのかもしれません。
|
|
また、私が普段配達するエリアには箱根駅伝のコースがあり、1月2日と3日には大規模な交通規制が敷かれます。スタートとゴールのある大手町に近いため、往路の2日は交通規制の影響がほぼありません。ですが、復路の3日は1、2時間ほど道路の横断が出来なくなります。
しかも、ランナーが通る2時間以上前から沿道には人が集まるため、沿道近くのお店探しは大変です。
ウーバーイーツの運営もメールで配達員に交通規制に関する注意喚起をしています。
長年、このエリアで配達をしている私は注文依頼の画面を見て「これなら駅伝の影響はない」と判断できるので、銀座や新橋など駅伝コースに近い店からの依頼をガンガン受けていたのですが、店に取りに行くたびに聞かれたのがこんな言葉でした。
「きょうは配達員が不足しているの?」
詳しく聞くと、普段はウーバーから注文依頼が届くと15分以内に配達員が料理を受け取りに来るのに、この日は1時間経っても来なくて困るとのこと。
注文された方にも同様なことが起こっているようで、銀座の店で受け取った料理を配達に行くとこんな言葉が。
「配達予定時刻より1時間以上遅いんですけど!」
おそらく、最初に依頼を受けた配達員が細かい内容を見て「箱根駅伝のコースに近い」と思い依頼をキャンセル。到着予定時刻は、最初に受けた配達員の現在地などによって決められていると思われるので、以降、配達員が決まるまでの間は到着予定時刻がガンガン延長。なんだかんだで私が配達することになるまで時間がかかり、結果、当初の予定から大幅に遅れて怒りが沸点に達したのでしょう。
本来であれば、配達員に出した注意喚起同様、箱根駅伝の沿道に近い利用者の方には、注文用アプリを通じて注意喚起を出したほうがいいのでしょう。ですが、それは銀座や新橋のウーバーイーツ加盟店への不買を勧めることになってしまうので注意喚起が出せない。そんな事情からこのようなトラブルが発生するのでしょう。といったわけで「配達員としてのプロ意識が足りない」というBAD評価を数件いただきました。
稼ぎ的には12月24日から30日と1月2日から5日が1日1万7500円、12月31日と1月1日が1日2万1000円だったので、最近の自転車配達としては結構稼ぐことができました。次の年末年始も自転車を漕いで、人気の店や稼げる金額の変化を楽しみながら配達しようと思います。
文・写真/渡辺雅史