【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆両レース1勝馬が多数登録
すっきり勝って春に向かいたい、どの馬もこの春のタイトルをめざすには、これしかないと思っている。
東西の金杯は、中山では前走のマイルCS大敗から一変してアルナシームが、昨年の中京記念に次ぐ重賞2勝目を飾った。中団の内でじっくり構え、勝負どころで外から進出し、力強い末脚で抜け出していたが、2戦連続2度目のコンビだった藤岡佑騎手がマイルで惨敗したとき、2000米の方がいいと進言したと伝えられている。
この勝利で確かな手応えをつかんだと思う。この先には4月阪神の大阪杯が待っているが、橋口調教師は、体つきが以前とは全然違うと言っている。
アルナシームは明けて6歳、父モーリスに母父がディープインパクト。じっくり成長するモーリス産駒にディープインパクトの切れ味と魅力がいっぱいだ。
一方、中京で行なわれたマイルの京都金杯は、サクラトゥジュールが直線で馬群を割って末脚を伸ばし、レース史上初となる8歳馬での勝利を達成していたが、こちらは外国人女性騎手のレイチェル・キング騎手の手綱で話題を集めていた。
サクラトゥジュールは昨年の東京新聞杯をキング騎手で重賞初勝利。今後は、2月の東京新聞杯連覇が視野に入る。短期免許での騎乗初日にいきなり重賞を勝ったキング騎手は、これでJRA重賞は3勝目、騎乗予定の3月初旬までにどんな記録を残すか、こちらにも注目したい。
勝ち馬それぞれに、次なる目標を見つける楽しみも、新春だからこそのこと。幸良いスタートを切った騎手と馬の今後を見守っていきたい。
年が明けて3歳馬たちの本格的な出番を迎える。この先の可能性を広げる走りが出来たのか、なにかを克服して重賞を手にしておきたい、まだ成長途上だけに予断を許さないのだが、シンザン記念、フェアリーSには1勝馬が多く登録してきた。
ここで賞金を加算できればと出走するのだが、まだまだキャリアは浅く、大舞台への道のりは遠い。どの陣営の夢にのるかだ。
シンザン記念は、朝日杯FSで1番人気で5着に敗れたアルテヴェローチェの巻き返しに期待する。前走はスムーズさを欠き流れに乗れなかったが、放牧でリフレッシュされればサウジアラビアRCで見せた目の覚めるような末脚が見られるだろう。
モーリス産駒で母父ディープインパクト、中山金杯のアルナシームと同じと言うのも縁起がいい。同じモーリス産駒のタイセイカレントは意外性のある馬で、サウジアラビアRCで0.1秒差の2着と最速上がりが目を引いた馬。これも朝日杯FS大敗がいい試練となったと考えたい。
3歳牝馬の重賞フェアリーSは中山のマイル戦で、外回りのタフな戦いになる。同じ舞台で2勝目を上げているジャルディニエにとっては有利に働きそうだ。あとは重賞初Vを狙う嶋田騎手のレイユールの切れ味を。
「すっきりと 決めて向かうは 晴舞台」