「ドロップキャッチ」という言葉をご存じだろうか。更新されなかったドメイン名が再登録できるようになった瞬間を狙って登録する行為のことで、登録者は前の使用者が築いたドメインパワーにただ乗りできてしまう。
前の使用者には“なりすまし”やブランド毀損など、使われ方によって様々なリスクが生じる。しかし、そうしたリスクについて啓蒙しているセキュリティベンダーも完全には防げなかったようだ。
2024年の年末、以前マカフィーが日本向けにセキュリティ情報を発信する技術ブログに使用していた「blogs.mcafee.jp」というドメインが、いつの間にか「パパ活アプリ」のアフィリエイトブログサイトに変わっていると、X上で話題になった。
最初に指摘したのは、以前の技術ブログをRSSリーダーに登録していたXユーザーだった。このように外部からリンクが張られるなど参照される機会が多いドメインほど狙われやすく、被害も広がりやすい。
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例えば23年には岡山県が過去に使っていた5つのドメインが第三者に再取得され、県は「無関係」と広く注意を呼び掛ける事態に発展した。
24年には、NTTドコモが21年まで提供していたウォレットサービス「ドコモ口座」のドメイン「docomokouza.jp」がドメイン登録サービスでオークションに掛けられて話題に。その後402万円で落札され、落札者は不明ながらも当該ドメインはドコモの管理下に戻った。
マカフィーの場合はどうだったのか。
同社は取材に対し、該当ドメインが「弊社が過去に使用していたもの」であり、「その後、第三者によって取得された可能性がある」と認めた。「事態を深刻に受け止めている」という。
同社によると、旧技術ブログの運営終了後、該当ドメインは利用を停止し、現在のマカフィーとは別の法人によって管理されていたという。しかしその後、マカフィー法人ビジネスの売却に伴い、管理者によってドメイン管理が「放置されていた」ため、このような事態が発生した可能性があるとしている。
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マカフィーは「弊社の名前や過去に使用していたドメインが利用され、消費者をミスリードするような不適切な内容が発信されたことを非常に遺憾に思う。現運営のサイトについては、ユーザーの皆さまに安心してマカフィーのサービスをご利用いただけるよう、引き続き適切な対応を徹底していく」としている。
●ドメイン名にも終活が必要
JPNICやJPRS、IIJなどでつくる業界団体・日本DNSオペレーターズグループは、安易なドメイン名の廃止はリスクが大きいとして、サービスやサイトの「終活」が必要と訴えている。
ドメインを廃止する場合でも、一度休眠させ、検索エンジンや被リンクサイトへの削除依頼、アーカイブサイトからのコンテンツ削除といった“逆SEO対策”を行い、DNSクエリ数があらかじめ定めたしきい値を下回ってから判断する、といった運用方法を推奨している。
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