久保建英、現地メディア絶賛の決勝ゴールで「道を広げる」 急浮上、アーセナル移籍はあり?

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2025年01月14日 17:11  webスポルティーバ

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 2025年のラ・リーガ初戦。レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は、5位のビジャレアルを本拠地に迎えて、1−0と勝利を収めている。ヨーロッパリーグ(以下EL)出場権を得られる5位まで、2ポイント差に迫った。

 決勝ゴールは久保建英だ。

 後半6分、味方が自陣で敵の攻撃を跳ね返したあとのロングカウンターだった。ミケル・オヤルサバルが裏に蹴ったボールに対し、走り出した久保は追走していたダニエル・パレホ(際立ったテクニシャンだが、スピードはない)に競り勝つと、力強く前へボールを運ぶ。そして追いついてきた敵ディフェンスの股をとおし、食らいついてきたGKをあざ笑うように、左足でファーサイドに叩き込んだ。

 一連の果断さ、スピードのなかでのボールコントロール、裏を取るテクニック、冷静なフィニッシュなど、正真正銘、ワールドクラスの一撃だった。何より、0−0で拮抗した場面でのゴールの価値は大きい。あらためて入団以来、「久保がゴールしたら負けない」というタリスマン(お守り)の効果を発揮した。ゲームMVP受賞も当然だ。

 口うるさい現地メディアも、半ば「クボ祭り」だった。

「久保がアノエタ(レアレ・アレーナスタジアムの古くからの通称)を熱くする! ヨーロッパカップ戦出場権争いへ」(「エル・ムンド・デポルティーボ」紙)
「久保が極寒の夜に火をつけた!」(「アス」紙)
「久保の天才性が、ラ・レアルに勝利をもたらした」(「マルカ」紙)

 スペイン大手スポーツ紙はこぞって、久保のパフォーマンスを激賞している。主要3紙とも、久保に両チームを通じて最高の星3つを与えた。

 2025年、久保はどこへ向かうのだろうか―――。

〈ラ・レアルを勝たせる〉

 それが今後も、久保のミッションになるだろう。簡単な仕事ではない。ビジャレアル戦も、久保以外からはチャンスの匂いが薄かった。

 ブライス・メンデスが本来の出来には程遠く、セルヒオ・ゴメスはバックパスばかりでブレーキ。アンデル・バレネチェアはケガもあってフィットせず、オーリ・オスカールソンは適応している段階。ウマル・サディクに至っては使い物にならず、100万ユーロ(約1億6000万円)の格安のレンタル料(移籍金はクラブ史上最高の2000万ユーロだった)でバレンシアに貸し出した。

【最適の移籍先のひとつだろうが...】

 逆境のなか、久保はひとりでチャンスを作り出していた。久保番のセルジ・カルドナを中心に、ボランチ、サイドMF、左センターバックでビジャレアルに強固な防御線を敷かれていたが、自分にマークを引きつけながら翻弄。力の差を見せつけた。

 前半22分、久保はマルティン・スビメンディからのロングパスを収めると、3人を引きつけて、ルカ・スシッチのミドルをお膳立てしている。33分には、ナイエフ・アゲルドのロングパスを収めると、久保番のセルジ・カルドナを縦に振り切りって放った右足クロスが跳ね返されると、そのこぼれ球から再び縦に切り込み、マイナスクロスをスシッチにアシスト。だが、シュートはポストを叩いた。

 なかなかゴールネットを揺らせずにじりじりとしていたが、後半6分、冒頭に記したように久保が独走して今シーズン4得点目を決めた。

 その後、チームはポゼッションを守備に使い、久保も相手を引きつけながら味方を生かしていた。実に老獪な試合運びだった。後半38分にお役御免で途中交代するまで、チームを引っ張っていた。

 こうした試合を重ねることで、チームは順位を上げている。EL、スペイン国王杯はタイトル獲得のチャンスが十分にある。その結果、中心選手である久保の道も広がるはずだ。

 今冬には、プレミアリーグ、アーセナルの移籍の噂がにわかに湧きあがっている。アーセナルが久保に興味を持っているのは事実で、符合性も高い。実際に多くの選手が両チームを行き来し、プレーモデルも近く(ミケル・アルテタ監督はサン・セバスティアン出身で、1シーズンだがラ・レアルでもプレーしている)、今シーズンはミケル・メリーノが新天地を求めたばかりだ。

 そしてレフティアタッカー、ブカヨ・サカがケガで離脱。これを契機に、「久保待望論」となったわけだが......。

 久保にとって最適の場所のひとつだろうが、冬の移籍は現実的ではない。

 シーズン途中のリーグをまたいだ移籍はリスクが高く、今や多くのクラブや選手が消極的になっている。異なるリーグ、異なるチームに、シーズン途中で加入する移籍は成功率が低く、適応に時間がかかる。クラブも話題を提供するだけで、費用対効果が低いのだ。

 なかでも主力選手のケガの穴埋めで入るような移籍は難しく、いきなりサカ以上のプレーができるはずはない。にもかかわらず、少し失敗が続くだけで、「期待外れ」と烙印を押される。また、好条件のオファーに飛びつくような選手の姿勢はファンから不興を買い、愛されている選手ほど憎まれる。こうした悪感情は後々、選手を鎖で縛ることにもなりかねない。

 シーズンが終わった時に、久保は去就の決断を下すべきだろう。

 1月16日、ラ・レアルはスペイン国王杯ラウンド16で、ラージョ・バジェカーノと対戦する。日程的には厳しい。その後、ラ・リーガでバレンシア戦、ELでラツィオと連戦になる。

 久保にとって、今後を占う試合となる。

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