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ホストらが性風俗店に女性をあっせんし、見返りに売春の売り上げの一部を受け取る「スカウトバック」を巡り、警視庁が組織犯罪処罰法違反容疑で全国で初めて立件した事件で、東京地裁が「犯罪収益を収受した」と違反の成立を認定し、東京・歌舞伎町の男性ホスト(28)に有罪判決を言い渡していたことが判明した。
悪質ホストクラブでは、高額な飲食代を請求して売掛金(ツケ)を女性客に背負わせ、支払いのために性風俗店にあっせんする手法が横行している。
性風俗店に女性を紹介したホストが職業安定法違反容疑(有害業務の紹介)で立件されたことはこれまでもあったが、捜査当局はスカウトバックには切り込めていなかった。
スカウトバックが犯罪収益に当たると裁判所に認められたことで、同種事件の抑止効果が期待できそうだ。
2024年12月19日付の判決によると、東京・歌舞伎町のホストクラブで代表を務めていた男性は、旧知の性風俗店スカウトらと共謀し、女性を大分県別府市の性風俗店に紹介。23年3〜5月、女性による違法な売春の収益の一部と知りながら、性風俗店からスカウトバック名目で約40万円を受け取った。
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公判で明らかになった男性の証言や証拠によると、女性は、男性のホストクラブの客だった。
しかし、女性は売掛金が支払えなくなり、返済のため、男性が旧知の性風俗店のスカウトに女性を紹介した。
女性は性風俗店で売春をして金を稼いだ。
スカウトから女性をあっせんされた性風俗店は、女性が得た売り上げの15%をスカウトと男性側に分配していた。
女性は、売春で稼いで手元に残った金を再び男性のホストクラブで使っていたといい、ホスト、スカウト、性風俗店が一体となって女性の弱みにつけ込み、性的に搾取していた構図が浮かぶ。
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男性は被告人質問で、過去に少なくとも10人以上の自身のホストクラブの女性客を性風俗店のスカウトに紹介したと明かした。
検察側は「女性を食い物にする犯行」だとして、男性に懲役2年6月、罰金50万円を求刑した。
東京地裁は、男性に懲役2年6月、罰金50万円、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。判決は確定した。
悪質なホストクラブへの対策を議論してきた警察庁の有識者検討会もスカウトバックを問題視し、24年12月に公表された報告書は、スカウトバックの規制をすべきだと提言している。【飯田憲】
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