【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【アファームド】
1978年にアメリカ競馬史上11頭目の三冠馬となりました。通算29戦22勝、G1を14勝し、米年度代表馬に二度選出された歴史的な名馬です。
現役時代にライバルだったアリダーは、種牡馬になるとチャンピオンサイアーとなって大成功を収めました。それに比べると産駒成績は物足りない、という意見もありますが、タイプの違いで評価されづらかった部分はあると思います。主要な産駒はフローレスリー、ゾーマン、ビントパシャ、トラステッドパートナー、ザティンマンなど芝向き。ダート競馬が主流のアメリカでは過小評価されたように感じます。
ストームキャットとの相性が良好で、バーンスタイン、ハーランズホリデー(6年連続北米チャンピオンサイアーの座についたイントゥミスチーフの父)は、この組み合わせから誕生しています。さらに、アファームド、ストームキャット、サンデーサイレンスのトライアングルも実績があり、カラコンティ(BCマイル、仏2000ギニーの勝ち馬。北米G1を3勝したシーフィールズプリティの父)、アユサン、ショウナンマイティ、アルキメデス、ヒシイグアス、チカッパ、ロンドンムーン(ブラジルで14戦11勝、G1を4勝)などがいます。ニックスといえるでしょう。
日本に繁殖牝馬として入ったレガシーオブストレングス(スティンガー、サイレントハピネス、アーバニティの母)、フローラルマジック(ナリタトップロード、ホウシュウサルーン、フローラルグリーンの母、マツリダゴッホの2代母)、プリンセスリーマ(メイショウドトウの母)などは、優れた産駒成績を残しました。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「2025年に産駒デビューする新種牡馬の馬産地における評判は?」
今年の注目はなんといっても三冠馬コントレイル。セリにおける高い評価は、乗り込みを開始したあとも変わっていません。手先の軽さがあり、ストライドが大きく速く、仕掛けるとスーッと伸びます。調教が進むにつれて身体が立派になり、見栄えは良好。サイズが大きくなりすぎると重い動きになる懸念はありますが、現時点ではまず問題なさそうです。
ダート戦線で大活躍したクリソベリルは、背は高いものの、幅はさほど無く、硬さもありません。そのため素軽さがあり、芝でも行けそうな感じ。真面目な性格で、気性的に問題なし。
ダノンキングリーは、サイズ的に小ぶりですが、弾むような動き。いかにもディープインパクト系らしい軽さがあります。いわゆるゴムマリ的な感触です。
ポエティックフレアは、馬体、健康面とも問題なく、完成度は高め。メンタルは内向きで難しさがあります。輸入種牡馬ですが、走りがしっかりしていて動けています。日本の馬場にも対応できるでしょう。
インディチャンプは、ステイゴールド系だけに早くからバリバリ、というタイプではありませんが、この系統特有の気性の悪さはいまのところ感じられず、スピードもありそうです。
ダノンスマッシュは、ロードカナロア譲りのスピードが武器で、やはりマイル以下がベストでしょう。サンデーサイレンスが入らない血統だけに、芝だけでなくダートでも走る仔を出しそうです。
ベンバトルは、落ち着いた性格で、成長力が感じられるタイプ。これからどんどん良くなってくるでしょう。