「秋田では子どもを産みたくない」と妻に言われ…家族連れで地元に移住した30代男性の後悔「楽しいのは自分だけだった」

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2025年01月15日 09:01  日刊SPA!

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テレワークの普及により、地方に移住するのも珍しくない時代になった。ただ、もちろんうまくいく人ばかりではない。秋田県在住の山岡源太さん(仮名・30代)は、移住をきっかけに思わぬ事態に直面した経験を持っている。
◆秋田に戻りたい意思を妻に伝えたら…

山岡さんは秋田県出身で、高校を卒業後、大学に通うため上京。卒業後も都内の会社に就職し、生活していた。

「新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、会社が完全テレワークになりました。通勤しなくていいのは楽なのですが、子どもがいるので、狭い我が家では部屋で仕事に集中するのが難しいときがあって。どうしてもオンとオフの切り替えができないし、将来的に地元の秋田で暮らしたいと思っていたこともあって、これを機に戻ろうと思いました。

東京出身の妻に『秋田に住まないか』と切り出すと、『寒いところは苦手』『そんなところには行きたくない』『あなたの両親と暮らすのは絶対に嫌だ』と猛反対されました。言っていることは理解できたので、秋田で戸建ての賃貸物件を探し、『こんなに広い家に安い家賃で住むことができる』『大自然で子どもを育てたほうが良いと思う』と熱弁。内見をしてから再度説得すると『住宅環境は良いし、引っ越してもいいかな』とのこと。無事引っ越すことになりました」

◆秋田の人がなにを話しているかわからない…

希望通り秋田で暮らすことになった山岡さん。地元ライフは、かなり充実したものになったそうだ。

「仕事部屋を確保したことで、日常業務にも身が入るようになりました。とにかく空気と水がおいしいし、秋田の料理も口に合う。徐々に仕事でも結果が出るようになって、『すべての歯車がうまく回っている』と感じていました。

でも、秋田で半年ほど暮らしたとき、妻が『東京に帰りたい』と言いだしたんです。理由を聞くと、『秋田の人がなにを話しているかわからないので、ママ友と会話できない』と。標準語でしゃべればいいと私は言ったのですが、『相手のしゃべっていることが理解できない』と話していて。

また、『友達が1人もいなくて、ストレスがたまる』『車がないとなにも出来ない』『田舎すぎて娯楽がない』などと、かなり不満が溜まっている様子でした。それでも『まだ半年だし、もう少しすれば慣れる。住宅環境はいいんだから』と説得しました。妻のことは愛していましたが、私は地元の秋田も愛していましたので、悪く言われるのは少し不満でした」

◆「秋田では子どもを産みたくない」とまで…

妻の不満は、溜まっていく一方だった。

「不満を説得した直後から、『秋田では子どもを産みたくない』『あなたは地元の女友達とも遊んでいるから、身体を触らせたくない』と言われて、レスになったんです。自分はそれでも妻を愛していましたから、ほかの女性に手を出すことはありませんでしたが、やっぱり男ではあるので、欲求不満にはなりましたね」

夫婦の溝は、徐々に深いものになった。

「妻は部屋に閉じこもりがちになりました。家事は分担していたのですが、『やる気になるまで休んでていい』と声をかけて、私が全部やるようになりました。そのうち、なにもやらずにずっと寝ている妻の態度に不満を感じ、『しばらく東京の実家に帰ってみてはどうか』と提案しました。子どもは置いていってほしかったけれど、『一緒じゃないと嫌』と言うので、しかたなく子連れで帰ってもらい……。移住して楽しいのは自分だけだったのではないかと少し反省しました」

◆「家族を捨てた」という噂が流れてしまう

山岡さん夫妻は結局、どうなったのだろうか。

「東京に帰ってから、連絡の頻度も減り、秋田に戻って来る気配は全くありませんでした。仕方がないので休みを利用して東京に迎えに行くと、『私はもう秋田には行かない』と。また、子どもも妻に吹き込まれたのか『秋田は嫌』というんです。妻の身勝手な言動が許せず、『秋田に来ないなら、もう離婚する』といいました。

妻と両親から『自分の都合で秋田に家族を連れて行って、合わないと言ったら、別れを切り出すなんて、とんでもない男』と……。三行半を突きつけられる形で、離婚が成立しました。

そのうち『あいつは家族を捨てた』と変な噂が広まって、地元の友達と疎遠に。さらに、会社が突然テレワーク廃止を通告してきました。いまさらかっこ悪くて東京に戻れないので退職しました。今は親元で暮らしつつ、転職活動を進める日々です」

世帯を持っている場合、移住は家族の問題となる。1人の意思を優先させるのではなく、パートナーや子どもの意見もしっかり聞いて、可否を決めたいものだ。

<TEXT/佐藤俊治>

【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など

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