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三菱UFJ銀行の東京都内の支店の貸金庫から金品が繰り返し盗まれた事件で、窃盗容疑で逮捕された元行員の今村由香理容疑者(46)が、盗んだ現金の帯封を自宅に保管していたことが捜査関係者への取材で判明した。顧客が貸金庫を開けた際に盗難が発覚するのを防ぐため、補塡(ほてん)する現金に元の帯封を付けていたとみられる。
捜査関係者によると、今村容疑者は2020年4月ごろからの約4年半にわたり、勤務先の練馬と玉川の2支店で、顧客60人以上の貸金庫から、現金は約10億円、金塊は時価総額で約7億円以上を盗み出していたとされる。
遅くとも5年ほど前から、外国為替証拠金取引(FX)への投資や競馬などで約10億円の損失を出し、「返済に窮していた」などと供述しているという。
今村容疑者は、被害に遭った顧客の来店時などには、盗んだ金品を別の顧客の貸金庫から一時的に補塡して、被害の発覚を防いでいたとみられる。さらに、現金を盗み出す際には、紙幣を束ねる帯封と、札束の一番上にある紙幣1枚を自宅に保管していたという。
帯封や札束は、引き出した時期や金融機関によって特徴があるため、それらを使って盗み出す以前の状態と同じように偽装していたとみられる。金塊についてもシリアルナンバーを確認して、同じ物を質請けして貸金庫に戻し、発覚を防いでいた可能性がある。
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警視庁捜査2課は、今村容疑者が顧客の来店する時期などのパターンを把握したうえで、貸金庫に金品を穴埋めする「自転車操業」を繰り返していたとみている。
また、今村容疑者は顧客が貸金庫の鍵を紛失した時のために銀行が保管する「予備鍵」を悪用していたとされる。三菱UFJ銀行では通常、予備鍵は封をした封筒に入れて管理しているため、金品を盗み出した後に、予備鍵を戻した封筒を再びのり付けしていたとみられる。今村容疑者は「あとでチェックされると思い、のりをはがす時にも丁寧にやっていた」と供述しているという。
今村容疑者は24年9月下旬ごろ、支店長代理を務めていた練馬支店で、予備鍵とマスターキーを使って男性顧客2人が利用する貸金庫を開け、金塊あわせて約20キロ(時価総額約2億6000万円相当)を盗んだとして逮捕された。【遠藤龍、加藤昌平】
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