特殊清掃員がみた「認知症患者のゴミ屋敷」“ならでは”の特徴。「孤独死現場よりもひどい」実情とは

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2025年01月15日 16:10  日刊SPA!

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“ゴミ屋敷”となった家の中。画像提供:ブルークリーン(以下同)
 社会の高齢化の影響により、認知症患者が増加している。2013年の厚生労働省の調査では、65歳以上だと16%が認知症であり、80代の後半になると男性の35%、女性の44%が認知症を患っていると推計されている。
 よって、認知症患者の家を清掃する仕事も年間300件ほどあり、近年急激に増加しているようだ。都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、認知症患者の部屋の特徴や掃除する際の困難などについて話を聞いた。

◆認知症患者の家から清掃依頼がくるワケ

 鈴木さんの会社は特殊清掃が主な事業だが、依頼によっては家主にかわって普通の清掃を行うこともある。認知症患者から自宅清掃の依頼がくるケースとしては何パターンかあるという。基本的には認知症患者本人からではなく、親族の方やケアマネージャー、地域包括支援センターという自治体から委託されている民間の団体からの依頼となる。

「依頼がくるパターンとしては、ご本人が1人で生活できないため老人ホームに引っ越させることになり、今の家を引き払わなければいけないといったケースや、これから在宅での介護を進めていくにあたって家にヘルパーさんが定期的に来なければいけないが、家の中が“ゴミ屋敷”になってしまってるので片付けて欲しいといった内容が多いです。今後の介護プランを充実させていくために最初の一歩としての依頼ですね」

 玄関を開けたところからゴミの山になっていて、どうやって中に入ればいいのかわからない現場もあるという。介護リフォームをしたくてもゴミが多すぎて手すりがつけられず、バリアフリーコーチもお手上げといったときに、そのエリアの地域包括支援センターなどから依頼がくるという。

◆劣悪な環境でも「本人は無頓着」

「部屋に散らばっているゴミの種類としては生ゴミが多いですね。食べ物の腐った匂いが部屋中に充満していることも多々あります。あとは生活用品が多いですが、同じものを何度も買ってしまって床に散らばっているケースですね。

 四方八方にゴキブリがずっと飛んでいたりして、環境が劣悪なんですけど、本人は気づいていないというか危機感を持っていないんです。たまに『自分じゃどうしようもできなくて』といった認識をできている方もいらっしゃいますが、基本的には散らかっていることに無頓着な方が多いです。また、お金が部屋の至るところに裸で置いてあったり、“決まったところに物を置く”といった作業が困難になっているのだと思います」

 そういう場合、家主は認知症を患っていることが多いらしく、他にも認知症患者特有の部屋の特徴があるという。

「冷蔵庫の中からお財布が出てきたり、タンスの中からみかんが出てきたり、洗濯カゴにスーパーで買ったこんにゃくが入っていたり、規則性がない散らかり方が特徴ですね。排泄物などもトイレを外していたりと、うまくできていない場合が多いです。ペットボトルにおしっこをして溜めていたり、使用済みのオムツが1か所に大量に積み上げられていたり、セルフネグレクトだった人の孤独死現場に少し近い部分もあります」

 そのような環境でよく一人で暮らしてこれたと思うが、親族の方がいくら言っても説得に応じず仕方なく放置してしまっているのだ。

◆清掃の依頼を受けたのに「家に入れてくれないことも多い」

 また清掃の依頼を受けて困難に直面することも多々あるという。

「依頼を受けて、我々が現場に駆けつけても、ご本人が家に入れてくれないことも多いですね。そうなるとまずは信頼関係を築くところから始めていかなくてはならない。ご本人も家が荒れていることはわかっていて恥ずかしいから他人を入れたくないという気分や、知らない人に対する警戒心があるのかなと感じます。ご家族と一緒に説得する場合もあります」

 認知症患者の家の清掃は孤独死現場の清掃より苦労することが多いという。

「なんとか説得して、清掃に入らせてもらって1日目が終わることもあります。それで翌日家に行って『おばあちゃん、今日もよろしくね!』と入ろうとすると『あんた誰? 勝手に家に入らないで』と言われることもあります。

 毎回、『明日は来るからね』『カレンダーに書いておくからね』と伝えるのですが、見ていないのか、『入らないでくれ』と言われたことは何度もあります。ひどいときは、記憶が混濁して、宝石を取った犯人扱いされることもあります。本当に宝石があったのかは不明ですが、記憶が入り混じっているのでしょう」

 ただし、警察を呼ばれてしまうリスクがあるため、無理やり入るなどの強行突破は絶対にしないようにしている。

「我々が清掃に入る日は、毎回ご本人の親族やケアマネージャーといった第三者に立ち会ってもらうんですが、立ち会いがいない日もあるので、最近は許可が取れたら自分たちの写真を冷蔵庫に貼らせてもらったりして、なんとか顔を忘れないでもらおうと努力をしています。どうしても家に入れなくて清掃できなかった場合は、お代はいただかないようにしています。そういった場合の人件費はまるまる赤字になります」

◆諦めないことが大事

 認知症患者の部屋の掃除は心が折れそうになることばかりだ。しかし、諦めずに何度も記憶に語りかけることが大事だという。

「毎回、掃除の最初に 『昨日はここまでこういう流れの作業をしたでしょ?』などと断片的な記憶を呼び覚ます作業をしています。『このあんぱんカビが生えてるよ、って話したの覚えてる?』とか話しかけると、『あ〜、覚えてる。覚えてる』と記憶がよみがえることもあります。認知症患者の特徴として、全部忘れているわけではなく概念とかは覚えているので、とにかく記憶に揺さぶりかけます。時間が空くと忘れられてしまうので毎日通ってなるべく早く清掃を終わらせるように努力をしています」

 これからも増え続ける認知症患者とはどのように向き合っていけばいいのか。

「認知症患者本人と清掃の契約をして、清掃のついでに金品などを奪うような悪徳業者もいるようで、対認知症患者との契約はかなりナイーブな問題となっています。我々は基本的に認知症患者と直接契約を結ばないといったスタンスを取り続けています。清掃作業はとにかく根気強く何を言われても諦めないことが大事ですね」

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦

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  • それもこれも、人生だよ。。。、桓公ですらも、75日経って、遺骸に蛆がわいた。。。
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