資生堂が横浜の研究施設をリニューアル 肌・身体・心で美にアプローチ、3万円の”美の検診”も用意

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2025年01月15日 21:01  Fashionsnap.com

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 資生堂が、横浜・みなとみらい21地区に位置する研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」の1、2階を刷新し、「Shiseido Beauty Park」として1月22日にオープンする。「肌・身体・心がつながるサイエンスで、あなただけの美が、目を醒ます。」をコンセプトに、肌・身体・心のつながりで美を科学する先進サイエンスを体験できるコンテンツを用意。同社の価値である研究知見および研究員と生活者をつなげる5つのラボで構成し、多角的に美に対してアプローチする施設として発信する。

 同施設は2019年に前身となる「S/Park」を開設。当時も同社が持つ肌研究を生活者が楽しく触れられる施設として展開していたが、オープン後まもなくコロナにより臨時休業することになり、その後営業を再開した。
 今回のリニューアルは、美容に対する考えが肌にとどまらず、インナービューティやマインドなどを含んだ総合的により良い生活を送る「ウェルネス」を大切にしているという近年の消費者インサイトを踏まえた。美を起点により良い心身の状態へと導くイノベーションを提供する施設へと進化させた。
 同時に、研究員と生活者がつながり、未来の美の可能性を共創していく運営方針を再設定。生活者のリアルな反響を研究員が身近に捉えることで、研究および商品開発へと役立て、同社のさらなる価値を創造する考えだ。執行役エグゼクティブオフィサー、チーフマーケティング&イノベーションオフィサーの岡部義昭氏は、「人が動いて初めてイノベーションが起こると考えている。研究員が実際の生活者の声を聞き、どんな技術でどんな商品をお届けすれば生活が豊かになるか積極的かつスピーディに検討し研究を進めることで、当社のビジネスモデルの多様化にもつながる。語弊を恐れずに言うと、この施設は“未完成”で、生活者の方々の反応や研究員たちからのアイデアを吸収して、さらに唯一無二の施設へと進化していけると考えている」と期待を寄せた。
 施設内は、肌・身体・心のつながりを解き明かす先進サイエンス「Beauty Artscape(R)」を体験でき、”美の検診”を提供する「Shiseido Beauty Diagnosis Lab」、美と健康を食で支える飲食コーナー「Shiseido Kitchen Lab」、近年注目されている「オウ(AWE)」体験に着目した「Shiseido Art & Science Lab」のほか、オープンイノベーションを推進する「fibona Lab」を一般客向けに展開。加えて、イノベーションを支える研究員に向けた「Shiseido People Lab」を用意する。
 Beauty Artscape(R)は、人間の全体性(肌・身体・心のつながり)を解明する資生堂独自の先進サイエンスで、皮ふ科学と感性科学をデータサイエンスと組み合わせ、肌・身体・心の関係性を網羅的に解明することを目指している。大学機関や研究機関、他社との共同研究などオープンイノベーションにも積極的に取り組み、新施設ではその研究から生まれた独自の測定システムやアルゴリズムを応用したサービスを提供する。
 Shiseido Beauty Diagnosis Labでは、角層タンパク測定や鼻骨格測定で肌の素質や将来表われる肌悩みや内部の状態予測するだけでなく、歩容(歩き姿)から身体の内側の状態を確認する歩容美といった客観的な側面から美を紐解くことに加え、香りや味に対する感じ方から感性を深掘りする五感測定などで全13の測定を行う。測定結果より、現在の肌・身体・心のつながりが分かる144通りのBeauty Artscape(R)IDが導き出され、3年後やその先の未来の顔を予測することができる。測定結果については、研究員が肌の素質や内部の状態を解説し、Beauty Artscape(R)アドバイザーが美容や生活習慣のアドバイスを行う。測定結果に応じて、20分の肌トリートメントや、視覚から美の感性に訴えかける映像体験、飲食コーナーで肌の状態に合わせたスイーツとお茶のセットを提供する。ラボでの測定サービスは予約制で、1回約3時間、価格は3万円。

 飲食コーナーのメニューは、薬膳研究を専門とする研究員が監修。「BEAUTY YAKUZEN」をコンセプトに、年間を通じたメニューと季節限定メニューを用意する。

 Shiseido Art & Science Labは、世界最大級の16K大画面を有する「ビューティー・リトリート・シアター(Beauty Retreat Theater)」を設置。人の感覚や心理といった主観的なものを客観的・科学的なアプローチで解き明かす40年以上の化粧に関する感性科学研究を応用し、AWE体験に着目した映像を放映する。AWEとは、日本語で「畏敬の念」を意味し、果てしない壮大な風景などを前に、自分の存在の小ささを知る体験のことを指す。畏敬のような美的感性がもつポジティブな効果の応用は、世界的に注目されている研究分野だという。また、2階には同社100年の歴史をベースにしたビューティやイノベーションにまつわるユニークな展示を4つのゾーンで紹介するミュージアムを展開する。

 そしてfibona Labでは、スタートアップ企業の革新的なテクノロジーや生活者のユニークなアイデアを融合した商品開発で生まれた実験的な商品を取り扱う。オープン時は、セカンドスキン技術の特長である肌と一体化させる人工皮ふの技術を応用し、昨年発売した「スキンアクセサリー™︎」に加え、新たな商品として、パウダー状で肌に塗布するとクリームのようなテクスチャーに変化して肌になじむ香りのアイテム「香肌晶(かはだしょう)」を販売する。

 Shiseido People Labは、イノベーションを支える研究員たちのさらなる進化を目指し、サポートプログラムを提供し、それぞれの研究テーマを深化させていく。また、生活者の声をより身近に聞き、ビジネス視点で革新的な価値を創出することを目指す。通常は一般公開しないものの、スペースをワークショップやヒアリングの場などとして活用することも視野に入れる。

 なお、今回のリニューアルに際し、オリジナルユニフォームを、「シーエフシーエル(CFCL)」に依頼。白衣の要素を残しながら、よりカジュアルに着用でき、アクティブな活動につながるようにデザインした。

 リニューアル後の集客は、資生堂グループブランドのカウンターやオンラインサイトで発信するほか、SNSコンテンツも強化。まずは近隣住民や来訪者の来館を狙うとともに、インバウンド向けに、サイエンスと日本の美的感覚を融合した体験施設として誘致し、徐々に認知拡大につなげる考えだ。年間来館者はリニューアル前の2倍以上を目標に掲げる。
 今後は、同施設を中心にBeauty Artscape(R)の研究を加速させる計画で、2030年までにデータ取得人数約3万人、データ蓄積数150万個、肌・身体・心の関係について1万7000以上の研究を目指す。

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