コーセーがインド企業に10%出資 戦略的提携でインド市場の攻略目指す

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2025年01月15日 21:21  Fashionsnap.com

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 コーセーが、インド発のスキンケアブランド「フォックステイル(foxtale)」を展開するFoxtale Consumer Pvt. Ltd.(以下、フォックステイル社)の株式を10%取得し、同社との戦略的提携の契約を締結した。コーセーが持つR&Dや商品開発の知見でフォックステイルの商品開発のサポートを行うと同時に、フォックステイル社からはインド市場におけるマーケティングのノウハウを得ることで、コーセーのインド事業を加速させる。また、コーセーとフォックステイル社の合弁会社設立の計画も進めている。

 コーセーは2030年に向けた中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner-Milestone2030」において、外部パートナーとの連携や外部アセットを柔軟に活用する「脱・自前」を掲げ、「現地起点のマーケティング・モノづくりへの転換」を推進。特に中華圏市場偏重からの転換として、成長市場のグローバルサウス地域戦略に注力し、昨年12月にはグローバルサウス地域戦略の第1弾として、タイ発のホリスティックウェルネスブランド「パンピューリ(PANPURI)」を展開するPURI CO.,LTD.を傘下に収めた。
 インドは世界一の人口を誇り、近年化粧品市場は急速に変化しながら成長し、グローバルサウスにおいても最大規模となっている。コーセーは2013年に現地法人を立ち上げ、翌年に現地専用のスキンケアブランド「スパウェイク(Spawake)」を立ち上げ、約10年展開してきたが、急激な消費者インサイトの変化に遅れをとり、課題となっていたという。そこでスピーディかつ、ち密なマーケティングで近年著しく成長するフォックステイルとの協業で、インド市場でのプレゼンス向上を狙う。
 フォックステイルは、アメリカの金融業界で経験を積んだロミータ・マズムダール(Romita Mazumdar)氏が2021年5月にムンバイ市で創業。自社ECを活用したD2Cのビジネスモデルで、消費者の体験や声に基づき試作を繰り返しながらスキンケア商品を開発する。消費者視点でのデジタルコミュニケーションとデータ解析で肌悩みに寄り添った厳選した商品展開で、ナイアシンアミドを主成分とした美容液をはじめ、ビタミンCやセラミドなどの有効成分を配合したモイスチャライザーなどを販売。ニーズに先鋭的に応える絞ったSKU数で、2024年3月期の売り上げは約12.8億インドルピー(約24億円)にまで成長し、今期は約30億インドルピー(約56億円)での着地を見込む。
 コーセーの小林一俊社長は「創業者兼CEOであるロミータ・マズムダール氏という志高いリーダーのもと、急成長の原動力となっているお客さまとの対話を大切にした商品開発や最先端のデジタルマーケティング、さらには取引先に寄り添った強い営業力は、当社がこれからインド市場を攻略する上で、大変魅力的なファクターだ。また、コーセーとは、一貫したお客さま志向の徹底や人材投資に積極的なことなど共通項も多く、同じベクトルで強みを掛け合わせた新たな挑戦ができると確信している。今回の提携により、インド市場での次の10年に向けて大きな一歩を踏み出し、さらなる存在感の確立と事業拡大を目指していく」と意気込んだ。
 マズムダール氏は、「今回の提携により、コーセーが大切にしているお客さま発想、化粧品分野での豊富なグローバル経験と、フォックステイルが持つ現地市場に関するノウハウが組み合わさることで、インド市場で大きなシェアを迅速に獲得できると信じている。また、小林社長からは非常に刺激を受けており、彼のリーダーとしてのチャレンジ精神や誠実さは我々のパートナーシップの指針になると考えている。今後、コーセーとフォックステイルの強みを活かした相乗効果により独自のポジションを確立することで、インドの消費者のニーズに応え、そして両社の企業価値を高めていきたい」とコメントした。
 まずはフォックステイルの商品開発などで協業していくが、よりスピーディかつ高いシナジーの創出に向け、合弁会社の設立を予定。既存ブランドの拡充とともに、現地向けの新ブランドの立ち上げも視野に入れる。

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