【写真】梅原裕一郎&西山宏太朗のインタビュー撮りおろしが満載!
■10年経っても防衛部の関係は変わらない! 作品の“ノリ”もそのまま
――由布院と鬼怒川を演じるのは、伊香保温泉とのコラボ以来、数年ぶりとのこと。久しぶりに演じてみていかがでしたか?
西山:その時は演じたと言っても、とても少ないワード数だったんですよ。
梅原:そうなんです。しかも、その伊香保温泉コラボの時も数年ぶりの『地球防衛部』の収録で、その時に音響監督からディレクションされたのが「おっさんになっているから、高校生だということを忘れずに!」だったんですよね(笑)。もともと声が低いのですが、10年前に比べるともっと低くなっちゃっていたみたいで、その調整がとても難しかったです。
――(笑)。それでいうと、今回の劇場版は実際と同じく10年経った設定になっていたので、演じやすかったのでは?
梅原:そうですね。そこはリアルにできて良かったです。ただ、作中では若い頃を演じるシーンもあったので、そこは気合で(笑)。基本的なところは変わっていないので、昔を思い出しながら演じましたね。
西山:10年経ってはいるけれど地続きの物語なので、しっかり昔の感覚を思い出して演じなければいけないと思い、アフレコ前に全シリーズを見返しました。正直、すごく恥ずかしかったです(笑)。あと、「声も演技も若い!」と思ったのですが、音響監督からもしっかり「ちょっと年齢が上がっているね」と言われました(笑)。ですが、あの頃の鬼怒川を皆さんにしっかりお届けしなければと、なるべく近づけるよう監督とディスカッションしながらアフレコしました。
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梅原:台本をいただく前に主題歌のレコーディングがあって、そこでプロデューサーから「劇中も現実と同じく10年経っているよ」と聞きました。どんな物語になるんだろう? とワクワクして台本を受け取りましたが、『地球防衛部』の“ノリ”はこんな感じだったなぁと懐かしく感じ、また所々に挟まっている細かいギャグやドタバタ感が何も変わっていなくて、安心感を持ちました。
西山:驚く内容もありつつ、防衛部のみんなは10年経ってもそのままだな、と。学生時代に仲が良くても、卒業したらパッタリ関係が途絶えてしまうことってあるじゃないですか。だから5人の関係値も変わってしまっているんじゃないかと思いましたが、有基のピンチに駆けつけて、再び防衛部として戦う姿を見て「すごく良いな」と思いました。別々の道を歩んではいるけれど、5人集まれば何も変わらないんだなって。
――西山さんが言った「驚く内容」は、5人の“10年後の姿”も関係していると思います。彼らの成長に対する思いも聞かせてください。
西山:鬼怒川は「そうだろうな」と納得だったのですが、煙ちゃんは本当にビックリしました。人付き合いもなんだかんだ上手で、どこでも上手くやっていけて、成功者になっているかと思いきや、あんな感じになっているとは……。
梅原:人生はそう簡単に上手くいかないものですね(笑)。確かに由布院は「なんだかんだ上手くいく」というスタンスで生きていて、僕も西山さんと同じように「由布院は成功している」と思っていたのですが、まさかこんな未来が待っていようとは。みんなが想像していたものとは違う展開で、夢を壊す感じが良いなと思いました(笑)。
■『防衛部』での経験が“財産”に
――キャラクターと同じく、お2人も声優として成長した姿でアフレコに挑まれました。何か自身で感じた変化などはありましたか?
西山:実は今回、収録日に体調を崩していまい、僕だけみんなと一緒に録れなかったんです。『防衛部』のアフレコって団体芸というか、みんなで合わせて一緒にツッコんだりリアクションしたりするシーンがあり、そこを1人でやって合わせられるのか? と不安だったのですが、先にアフレコしていた4人の音声を聞いていると自然と息が合って、これまでの積み重ねを感じた瞬間でした。
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――アフレコではない部分で感じた変化はありましたか? 例えば、それぞれの印象とか……。
梅原:印象の変化でいうと、やはり西山さんは変わりました。10年前はネイルなんてしてなかったし。
西山:目についたもの言っているだけじゃん(笑)! じゃあ僕も梅原さん。10年前はおでこ出してなかったから。
梅原:完全に時代の流行りだよね(笑)。
西山:『防衛部』の過去のインタビューの写真を見せてもらう機会があったのですが、10年前はみんな前髪重めでした(笑)。
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――そんな10年前を振り返って、この『美男高校地球防衛部』で学んだこと・得た経験で、今の声優としての活動の中で活かされていることはありますか?
西山:ニコニコ生放送やイベント、ライブで歌ったり、ダンスをしたり、本当にいろいろなことをやらせてもらいました。お芝居以外も学べたことは、本当に良かったなと思います。とてもガッツがつきました。今だったら絶対にできない。あれだけ頑張れたのは、若かったからだと思います(笑)。
梅原:本当にそう思う。今はもう無理できないよね(笑)。だからこそ、後輩には「今のうちにいろいろやっといた方がいいよ」と言っています。
西山:実際に僕たちも先輩方から言われていたしね。『防衛部』はゲスト怪人を演じる方々がとても豪華だったので、若い頃にそんな先輩方と掛け合うことができたことは財産になったと感謝しています。
――梅原さんは初めて名前のある役、西山さんは初めて30分アニメのメインキャラを務めたのがこの『美男高校地球防衛部』シリーズだったそう。改めて、お2人がこの作品に抱いている思いを聞かせてください。
梅原:若い声優さんから「『防衛部』見ていました」と言われることもあって、誰かの心に残る作品になっていることを嬉しく感じます。また、由布院は怠惰な性格で話し方も気だるげなキャラクターなのですが、デビュー間もない時期にそんな役を演じられたことも良かったと思っています。最初の頃に演じた役って、その後のスタンスに大きく関わってくるんですよ。僕自身がそんなに元気な人ではないので(笑)、もし最初に元気のあるキャラを演じてそのイメージが定着してしまったら、すごく苦労しただろうなと。由布院を演じたことで、自分の武器となる演技も見つけることができました。
西山:僕にとっては、景色を変えてくれた作品ですね。
梅原:どんな感じに?
西山:やっぱり、こう……。
梅原:どんな景色がどう変わったんですか?
西山:掘り下げてくるなぁ(笑)。作品はみんなで作るものだと学ばせてもらった現場でした。名前もない役でアフレコに行っていた時は……。
梅原:みんなで作るものではないと思っていたってことですか?
西山:急にすごく聞いてくるじゃん!?
梅原:気になったから(笑)。
西山:もちろんみんなで作るものだと理解していましたが、例えば、男子1とか敵1みたいな役をいただいていた時に「自分はいなくてもいいのかな」とネガティヴな方に考えてしまうことがあったんです。でも、初めてメインキャラクターを演じたことで、作品にはどの役も欠かせない存在なのだと気づくことができました。実際、『防衛部』のあとの現場でモブ役を演じたらすごく褒められて、「お芝居のスタンス変わったよね!」と言ってもらえたんです。『防衛部』は僕の声優としての考えを変えてくれた、本当に大切な作品です。
(取材・文:米田果織 写真:吉野庫之介)
劇場版『美男高校地球防衛部ETERNAL LOVE!』は、1月24日より全国公開。