2024年に発売したスマートフォンサイズの電子ペーパーデバイス「BOOX Palma」の後継機として、「BOOX Palma2」が登場しました。約1年という短いサイクルで新モデルがリリースされるので、まるで本当にスマホのような製品みたいです。も
「2」というナンバリングがなされていますが、実際の進化点は控えめです。内容は指紋認証機能の搭載と、AndroidのOSアップグレード(11→13)程度で、CPUは詳細が非公開ですが、前モデルの8コアと変わらず、メモリ6GB(LPPDDR4X)、ストレージ容量も128GBと変化はありません。価格は5万2800円で、前モデル(4万680円)から値上がりしています。
電子ペーパーデバイス好きの私は前モデルを使用していますが、今回はBOOX Palma2の実機を試す機会を得たので、いろいろと触ってみました。
正直、前モデルを所有しているユーザーにとっては、買い替える理由がほとんど見当たらないと感じました。しかし、これから購入を検討している方は、Palma2を積極的に選んで間違いはないでしょう。いつも通り、完成度は高いです。
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●しっかりと使える電子ペーパーデバイス
前モデルと比べると大きな進化はないものの、電子ペーパーデバイスとして十分な実用性を既に備えています。基本的な使い勝手は前モデルと同様なので、そちらのレビュー記事をご覧ください。
電子ペーパーならではの目への優しさや、長いバッテリー駆動時間は健在です。ページめくりなどに使えるスマートボタンも搭載しており、読書デバイスとしてしっかりと役割を果たせるといえるでしょう。スマートボタンはクリック、ダブルクリック、長押しの3パターンに対応しているのもグッドです。
●指紋認証は地味に便利
今回の最大の目玉といえるのが、指紋認証機能の搭載です。電源ボタンに指紋センサーが内蔵されており、認識精度も一般的なスマホと同等だと感じます。
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大きなアップデート内容が指紋認証機能の搭載、と目にして「そこまで必要かな?」と思いましたが、実際に試用してみると、やはり生体認証は便利でした。
電子ペーパーはその応答性の低さから、キーボード入力がどうしてもストレスです。入力はしっかりと受け付けているのですが、表示がワンテンポ遅れるので入力速度も落ちてしまいます。そのため、基本的に電子ペーパーで文字入力することは避けています。
しかし、入力を避けられないのが各種パスワードの入力です。アプリもそうですし、ブラウジングしていても、ログインする際には必要になってきます。
そこで活用したいのが、アプリ「1Password」のようなパスワードマネジャーです。指紋認証機能と連動してパスワードを自動入力できるようになるのですが、これは思ったより快適です。Webブラウジングの利用ハードルが下がったと感じました。
指紋認証でスムーズにロック解除できるようになったことで、Palma2をより日常的に活用する機会が増えました。一昔前の電子ペーパーのイメージをお持ちの方はピンとこないかもしれませんが、Palma2は普通にブラウジングスクロールできるレベルに達しています。
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●フリップフォールドケースは新たな魅力
今回は試す機会がありませんでしたが、新作の純正ケース「フリップフォールドケース」が登場した点も注目です。このケースはスタンド機能を備えており、電子ペーパーの利点である「常時表示」を生かした卓上時計として使用可能です。
スクリーンセーバー、要するにロック画面のことですが、時計やカレンダーを表示できるのは非常に便利です。日常生活の中でのPalmaの活用シーンを広げてくれるでしょう。
バッテリーをやや使うものの、設定にて最短1分刻みで表示をリフレッシュさせることができます。電子ペーパーはリフレッシュタイミングでしか表示が切り替わりません。間隔を長くしてしまうとウソの時刻表示になってしまいますが、1分刻みであれば大きな誤差にはならないでしょう。電池を使うとは書きましたが、数日は余裕で持ちます。私はいつも「時刻+カレンダー」表示で使っています。
●カスタマイズ性の進化は欲しい……
一方で非常に残念なのが、前モデルと比べてスクリーンセーバー機能に特段進化がない点です。表示のカスタマイズや、ウィジェットを自由に配置できるようになるなど、カスタマイズ性が高まれば、スマホにはない独自の魅力が増すはずです。英語表示ではなく日本語表示にする、表示サイズを変える、くらいは実現してほしいところです。
現在でも、ロック解除後のホーム画面ではウィジェットが使用可能です。OSがAndroidなので、同じ感覚で使えると思います。しかし、セキュリティ面を考えるとロック画面のままで使えるのが望ましいですね。
表示しっぱなしでもバッテリー持ちが良い、というのが電子ペーパーの大きな利点です。ぜひ、この強みを生かせるような進化を遂げてほしいですね。例えば、スマートホームにおける温度や各種状態の表示ができると、そうした情報表示端末としての価値も出てくることでしょう。
●さらなる進化に期待
BOOX Palma2の今後の進化としては、電子ペーパーディスプレイのカラー化やペン入力対応、防水性能の追加などが考えられます。特に読書を楽しむ観点では、防水性能の向上には期待したいところです。お風呂でゆっくりと読書、は使いたい方も多いでしょう(ただし、お湯への防水は保証外が基本なので、自己責任にはなりそうですが)。
また、Palma2はスマホサイズということで、個人的にはきちんとスマホとして使えるようにしてほしい、と感じてしまいます。iPhoneを持ちつつ、Palma2も持ち歩く、というのはあまりメリットがありません。
わざわざPalma2を持ち歩くのであれば、7型の「Boox Page」や薄型で10型の「BOOX Go 10.3」を持ち歩きます。
いざスマホとして成り立たせようとすると、SIMカード対応、NFC、GPS搭載など、さまざまな要素が必要になります。その分、重量は重く、価格も高くなると思いますが、スマホサイズを進化させるのであれば、メインスマホとして使える端末を目指していただきたいですね。
動画はBOOXシリーズが大きく苦手なジャンルなので妥協が必要ですが、もしかすると近い将来、技術の進歩である程度の品質で見られるようになるかもしれませんね。
●スマホサイズ電子ペーパー端末が欲しいなら、Palma2は間違いのない選択
総じて、BOOX Palma2は実用性の高い電子ペーパーデバイスです。他のBOOX製品と同じく、Google Playも普通に使えるので、アプリに困ることもないでしょう。
電子ペーパーならではの目への優しさやロングバッテリーは、読書や簡易的なWebブラウジングには最適です。
ただし、前モデルとの違いは少なく、指紋認証機能の必要性を感じない方にとっては買い換える必要性はないでしょう。前モデルをお持ちでなく、スマホサイズの電子ペーパー端末が欲しい方には、自信を持っておすすめできる一台です。
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