機械メーカー「大川原化工機」をめぐる冤罪事件で、公用文書毀棄などの疑いで書類送検された警視庁公安部の元捜査員が不起訴となったのは不当だとして、会社側はきょう、検察審査会に審査を申し立てました。
神奈川県横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の社長らは2020年、不正輸出の疑いで警視庁公安部に逮捕されたものの、その後、起訴が取り消されています。
この事件をめぐっては「大川原化工機」側が、捜査を担当していた公安部の捜査員だった3人を取り調べで作成した調書をわざと破棄したなどとして刑事告発し、警視庁捜査2課は去年11月、この3人を公用文書毀棄と虚偽有印公文書作成などの疑いで書類送検しました。
その後、東京地検は今月8日、「故意や共謀を認定するには疑義があると判断した」として、3人を「嫌疑不十分」で不起訴としました。これを受けて「大川原化工機」側はきょう、「不起訴は不当だ」として検察審査会に審査を申し立てました。
申し立てが受理されれば、検察審査会が不起訴が妥当だったかを判断することになります。
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申し立て後の記者会見で会社側代理人の高田剛弁護士は、「警察犯罪について公正な司法判断が行われる機会を不当に奪うもので、民意に問いたい」と述べました。
大川原正明社長は、「できれば申し立てなんかないことが望ましいが、訴えを続けていかないといけない」としました。
起訴が取り消された「大川原化工機」の社長らが国と都に賠償を求めた訴訟では、1審の東京地裁があわせておよそ1億6000万円の支払いを命じていて、捜査員が元役員の調書を作成した際、元役員に指摘された誤りを修正したように装って元役員に署名させていたことを「違法」と認定しています。
この訴訟は「大川原化工機」側と国と都側の双方が控訴していて、東京高裁は5月28日に判決を言い渡す予定です。
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