毎日“同じビールの売り子”からしか買わない50代男性の狂気。個人情報を根掘り葉掘り聞き、最終的には“恐怖の展開”に

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2025年01月18日 09:20  日刊SPA!

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プロ野球の試合が開催される日には、数万人もの観客が球場に足を運ぶもの。そうなると、必然的に迷惑な客も存在することになる。ビールの売り子を務めていた佐々木史帆さん(仮名・20代)は、やっかいな客に悩んだ経験を持っている。
◆お得意さまの1人かと思いきや…

佐々木さんは学生時代、あるプロ野球の本拠地でビールを売っていたそうだ。

「野球にさほど興味はありませんでしたが、売り子をやっていた友達から『稼げるから一緒にやってみない?』と言われ、応募しました。その友達がいろいろと教えてくれたので、すんなり仕事ができるようになりました。ビールサーバーは重いし、試合中はずっと歩き回るので非常に疲れる仕事でしたが、やりがいはありました」

迷惑客との出会いは、売り子のアルバイトをはじめてから1年後のことだった。

「50代ぐらいのおじさんなんですが、私が近くに行くと必ずビールを買ってくれるようになったんです。友達に聞くと、こういうお得意様みたいなおじさんはどこにでもいるそうで、『たぶん話がしたくて買っているのだろうけど、金づるだと思って我慢していたほうがいい』と言うんです。たしかにビールを入れる際によく話しかけられて。内容はあまり頭の中に入っていなくて、適当に返していました。おじさんは、話ができて嬉しかったようですが、私はお得意さまの1人としか思ってなかった」

◆個人情報を根掘り葉掘り聞いてくる

ところが、自分のビールしか買わない男性に、佐々木さんは徐々に違和感を覚えていった。

「お得意様と思っていたのですが、徐々に自分だけから買うおじさんが怖くなってきて。友達は『そういうもの』というのですが、ビールをついでいるときに『どこに住んでるの?』『次はいつ出勤するの?』などと根掘り葉掘り聞いてきて。素直に答えたら、必ず私の出勤日に顔を出すようになってしまって……。しばらくの間、ウソを言って遭遇しないようにしていました」

意図的に会わないようにしていたわけだが、徐々に避けきれなくなったという。

「ふとしたタイミングでまた会ってしまったんです。真顔で『嘘、ついてない?』と言われて……。その場は笑ってごまかしましたが、おじさん曰く、『友だちが見たと言っていたよ?』と。『休みの子がいて、急遽出ることになった』というと、『連絡先を教えてほしい』と言ってきて……。『スマホが壊れている』と苦しい言い訳をして乗り切りました。その後、試合がある人は毎日球場に来て『私だけ』からビールを買うんです。本当に気分が悪くて、おじさんの周りを避けるようになりました。手を挙げられても、見て見ぬふりをしました。すると『こっちだ!』と大きく声を出されてしまいました。そうなると行かざるをえませんよね…」

◆しつこく付きまとわれたあげく、出待ちをされ…

徐々に、行動がエスカレートしていったそうだ。

「あるとき、いつものようにおじさんを避けていると、わざわざ席を立って、私のところに来て、『売ってくれよ』と言うんです。気持ちが悪いので一杯だけ売って、その後は反対側のエリアで販売をして、1日が終わりました。『さあ、帰ろう』と思ったら、男が出入り口にいたんです。『なにをされるかわからない』と怖くなり、マネジャーに相談しました。その日は結局、マネジャーの車に乗せてもらい、帰ることになりました」

結局、どうなったのだろうか。

「私は身の危険を感じたので、辞める旨を伝える連絡をしました。するとマネジャーは、『前にも売り子にストーカーまがいの行為をして辞めさせていて……少し待ってもらえないか』と提案。数日後、男は『迷惑行為を繰り返した』ということで、出禁になったそうです。マネジャーからは『もう来ないから、ぜひまた働いてほしい』と言われたのですが、恐怖心が強く、戻れませんでした。今でもあの顔が夢に出てくることがあります」

いかなる場所でも、他人に迷惑をかける行為は好ましくない。野球場でも、観戦ルールやマナーを守り、すべての人が楽しく過ごせるようにしたいものだ。

<TEXT/ 佐藤俊治>

【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など

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