使い古したまな板を職人がきれいに削ってよみがえらせる動画が、YouTubeに投稿されました。まな板に関する解説も交えた動画は記事執筆時点で再生数12万回を超え、「木目もすごい」「感動です」などの声が寄せられています。
動画を投稿したのは、自称・世界一のまな板博士が木のまな板に関する正しい情報を伝えるべく活動しているYouTubeチャンネル「くまのよこちゃんねる」。今回は、博士のもとに寄せられた物の中から、“みんなの疑問を解消できそうな題材”として選んだ4枚のまな板を復活させます。
各まな板の素材はイチョウとヒノキ、青森ヒバ、カヤ。どれも黒ずんでおり、特にヒノキのまな板は屋外でずっと片側だけ使っていたため、長年下向きになっていた方は真っ黒になっていました。また、青森ヒバのまな板は角の部分に2つ穴をあけておいたため、削っただけではシミが取れない状態に。持ち主の要望もあり、穴の部分は今回の作業でカットします。
4枚目に紹介したカヤは、曲線的な木目が入っている「板目」で模様が荒く、樹木の油分が少ない「白太」。博士が友人にプレゼントした物で、博士の説明通りに友人は正しく使っていましたが、わずか1年であちこち黒ずんだそうで、ヒビだらけになってしまいました。“1000枚に1枚の確率で発生してしまう想定以上に状態が悪い板材”だったらしく、「これはもう100パーセント僕が悪い」と博士は友人に謝罪。このまな板は動画の題材として削った後は廃棄し、友人には無料でもっと良い物を送るそうです。
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各まな板を紹介したら、手押しカンナ盤などの工作機械を駆使した削り直し作業を開始。木口部分のシミもノコギリで削り落とし、真っ黒だったヒノキも機械に複数回通してどんどんきれいにしていきます。表面を削ったことで木の匂いが復活。イチョウのまな板からはとても良い香りがするそうです。
やはりカヤのまな板は状態が非常に悪く、削り直してもあちこちヒビ割れていてシミも残っています。博士は汚れた部分を指し示しながら、まな板において木目は非常に重要な要素であると解説しました。
青森ヒバとイチョウのまな板に使われているのは「柾目」の木材。板目の木材とは異なる切り分け方で手に入る柾目は直線的な木目が入っており、少ない量を削るだけで表面の傷やシミが全て落とせました。
また、青森ヒバのまな板は穴があった部分を斜めにカット。穴由来のシミはわずかに残っていますが、料理時には使わない角の部分だったということもあり、あえて残しておきます。今後使っていく中で新たなシミが発生するのは自明なため、一度の作業で無理にまな板を小さくしようとはせず、次回の削り直し作業でまとめて落としてしまおうという考えです。
イチョウは節の多い木材であり、ところどころに節由来の黒い点が生じてしまうものの、その節部分が少し堅いだけで問題はありません。今回取り上げたまな板は、全面が樹木の油分を含んでいる「赤身」かつ柾目。博士は「完璧なイチョウのまな板」と絶賛しています。
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外で使っていたヒノキのまな板は9ミリほど削り、真っ黒だった面もピカピカに。ヒノキ特有の香りも復活しています。木口付近にはヒビがまだ残っているものの、これは持ち主が使いやすい長さ・幅を考慮した結果とのこと。ヒビを全て除こうとすると当然ながら板は短くなり、持ち主の使い慣れたまな板ではなくなってしまいます。ヒビの有無と木材にヒビが入っていくスピードに関係はないため、客側から指示がない限り絶対に落とさず、削るとしても1ミリ程度にしておくそうです。
ヒノキのまな板の中央部分には茶色い大きなシミが発生していますが、その正体は油。魚をさばくのに使っていたそうで、調理時に出てきた魚の脂とヒノキの油が交ざり合った結果であり、まな板として使う分には全く問題ありません。なお、屋外で使う際の大敵は風や熱。ヒビ割れ対策として木口面にオイルを塗っておくと良いそうです。
今回取り上げたカヤと青森ヒバ、ヒノキ、イチョウは全て匂いが強い樹木。この匂いの成分には抗菌作用・防虫作用があるとされており、博士は最低でも4〜5年に1回は必ず削り直しに出すことをすすめています。
動画では、カンナ仕上げとペーパー仕上げの違いや木くずの意外な活用法も紹介。博士は今回の作業で削る量が少なかったのは青森ヒバとイチョウのまな板であり、どちらも柾目の木材を使っているとあらためて説明し、「皆さん木目に詳しくなってまな板を購入してください」と呼びかけました。
コメント欄には、「削りなおしたまな板のすばらしさに感動しています」「良いイチョウですねぇ…」「木に対する思いが伝わってきます」「ホンモンの職人さんや」などの感想が寄せられています。同チャンネルではこの他にも、原木からまな板製材までの工程をまとめた動画や、まな板を削り直す作業の様子などが公開されています。
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画像提供:YouTubeチャンネル「くまのよこちゃんねる」さん
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